2012年2月9日木曜日

IgG4-Related Disease:IgG4関連疾患

IgG4関連疾患 スペクトラム



IgG4-Related Disease
John H. Stone, M.D., M.P.H., Yoh Zen, M.D., Ph.D., and Vikram Deshpande, M.D.
N Engl J Med 2012; 366:539-551February 9, 2012
  • Mikulicz's syndrome (唾液、涙腺関連疾患)
  • Kuttner's tumor (下顎腺腫瘍関連)
  • Riedel thyroiditis
  • Eosinophilic angiocentric fibrossi (眼窩・上気道関連)
  • Multifocal fibrosclerosis (主に眼窩、甲状腺、後腹膜、縦隔、他組織・他臓器)
  • Inflammatory pseudotumor (眼窩、肺、腎臓、他臓器)
  • Mediastinal fibrosis
  • Retroperitoneal fibrosis(Ormond's disease)
  • Periaortitis and periarteritis
  • Inflammatory aortic aneurysm
  • Idiopathic hypcomplentemic tubulointerstitial nephritis with extensive tubulointerstitial deposits
 IgG4関連疾患は、"tumefactive lesion"(腫瘍様病変)を特徴とする、fibroinflammatory conditionとして認識されてきた。

IgG4-陽性形質細胞、 花筵状の錯綜構造を示す炎症巣(storiform fibrosis)、しばしば観察されるがすべてではない所見として血中IgG4濃度増加


2003年まで全身性疾患としては認識されてなかった。”自己免疫性膵炎”として膵外病変として認識された疾患。

2001年には血中IgG4増加とリンクされ、膵組織で、IgG4陽性形質細胞を大量に見いだし、2つの疾患に病理組織学的に分類Am J Surg Pathol. 2011 Jan;35(1):26-35.
・ type 1: IgG4-related disease
・ type 2: type 1と臨床的オーバーラップはあるが、明確な病理的特徴を有する




IgG4-related disease は、バーチャルな全臓器疾患として記載;胆汁樹、唾液腺、眼窩後方組織、腎臓、肺、リンパ節、髄膜、大動脈、乳腺、前立腺、甲状腺、心外膜、皮膚臓器。

組織病理的特徴は、全器官横断的に類似。多臓器に同様の病理的特徴が存在するというのはサルコイドーシスとanalogous。



自己免疫性膵炎/IgG4関連疾患 浜野英明 信州大学医学部内科学第2講座
http://s-igaku.umin.jp/DATA/58_01/58_01_02.pdf

自己免疫性膵炎(AIP)に対する欧米の立場ヨーロッパでAIP 症例を積極的に報告していたのは主にイタリアであった。しかし本邦とは異なり,イタリアのAIP は他の様々な自己免疫性疾患に合併する膵炎を意味していた

欧米は、歴史的に、自己免疫性膵炎を全身性疾患として包含する方向に考えているらしい。


前述のAIPのtype分類の論文で、"type 1は、"hypercellular inflamed interlobular stroma"(細胞増多を伴う小葉間間質の炎症)を特徴とする。一方、type 2は、 ”significant ductal injury in the form of microabscesses and ductal ulceration”(微小膿瘍や管腔潰瘍化を伴う腺腔病変)を特徴とする。"と書かれている。 

AIPそのものと、IgG4関連疾患との関係は、NEJMの総説でも明確にされてないと思う。

NEJMの一分に、”Patients with autoimmune pancreatitis may have pancreatic disease as the major focus of their illness, but additional examination reveals that 30% also have tubulointerstitial nephritis, indicated by a distinctive radiologic appearance and the presence of mild proteinuria and nonglomerular hematuria”とあり、筆者らは、やはり、IgG4関連疾患の範疇にというのが基本スタンスのようにみえる。AIPでの多臓器所見の検索を勧めている。

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