2012年3月17日土曜日

冠動脈性疾患:IL6受容体変異との関連 炎症性経路の役割

大規模遺伝子・バイオマーカーデータでは一貫してIL6R関連経路と冠動脈疾患のcausal associationみられる。

Interleukin-6 receptor pathways in coronary heart disease: a collaborative meta-analysis of 82 studies
 The Lancet, Early Online Publication, 14 March 2012
doi:10.1016/S0140-6736(11)61931-4



IL6シグナル化により、downstreamの炎症性カスケードを促進し、この経路が冠動脈疾患に関係することを、IL6Rシグナル化functional genetic variantを通して検討

 Asp358Ala のminor allele頻度は 39%

これは、脂質濃度、血圧、adiposity、血糖以上、喫煙と関連せず (p value for association per minor allele ≧ 0.04 )

一方、358Ala全コピー遺伝に対し、IL6Rの平均濃度は34.3%(95% CI、30.4-38.2)増加し、IL6は14.6%(10.7-18.4)%増加、平均CRP濃度は7.5%(5.9-9.1)減少し、フィブリノーゲンは1.0%(0.7-1.3)減少。

358Alaの全コピー遺伝に対し、冠動脈性疾患リスクは3.4%(1.8-5.0)減少

Asp358AlaはIL6R mRNA濃度、IL-6単球産生と関連せず

持続性炎症が心血管疾患の病態形成上の様々なステージに寄与しているという仮説が、観察研究・実験研究で支持されているが、causalityについては不明。たとえば、CRPやフィブリノーゲンなどは冠動脈性疾患との関連が示されている。しかし、特定のdownstrean inflammation biomarkerが直接の原因的な尤度として遺伝性のDNA変異と関連していることは示されてなかった。

可溶性IL6は肝細胞・白血球の膜結合型受容体を活性化し、downstream proinflammatory cascade開始と関連する。

Asp358Alaは膜結合IL6Rを減少させ、、classic IL6Rシグナル化障害が存在する。

この変異と、冠動脈疾患の関連を評価し、causalityについて検討した報告




もうひとつは、 IL6R SNP (rs7529229)を利用した、133449名を含む40研究での、いわゆるmendelian randomisation analysis

IL6R blockadeで、冠動脈疾患リスク減少効果

 関節リウマチ治療に用いられる、抗interleukin-6 receptor (IL6R) monoclonal antibody (tocilizumab)でIL6Rをブロックすることで、冠動脈性心疾患リスク減少するかは不明。
mendelian randomisation principleを利用、IL6RのSNPsで、一次予防として、IL6R抑制の有効性安全性を検討。リウマチ患者のランダム化トライアルを利用、tocilizumabの遺伝的所見と効果を比較。


The interleukin-6 receptor as a target for prevention of coronary heart disease: a mendelian randomisation analysis
The Interleukin-6 Receptor Mendelian Randomisation Analysis (IL6R MR) Consortium
The Lancet, Early Online Publication, 14 March 2012doi:10.1016/S0140-6736(12)60110


IL6R SNP (rs7529229)は non-synonymous IL6R  variant (rs8192284; p.Asp358Ala)のマーキングした場合、血中IL6濃度増加 (increase per allele 9·45%, 95% CI 8·34—10·57) 、CRP減少  (decrease per allele 8·35%, 95% CI 7·31—9·38) 、フィブリノーゲン濃度減少 (decrease per allele 0·85%, 95% CI 0·60—1·10).

リウマチ患者ランダム化トライアル研究で見られる、tocilizumab(4-8 mg/kg 4週毎)注入によるIL6R blockade効果と同様

25458名の冠動脈疾患、100740名の対照で、IL6R rs7529229 SNP は、冠動脈疾患イベント減少と関連  (per allele odds ratio 0·95, 95% CI 0·93—0·97, p=1·53×10−5).



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