2012年3月28日水曜日

スタチン治療中LDL:主たるCVD予測因子ではない!



スタチン治療中は非LDL-Cが最も重要な心血管イベント指標

Association of LDL Cholesterol, Non–HDL Cholesterol, and Apolipoprotein B Levels With Risk of Cardiovascular Events Among Patients Treated With Statins: A Meta-analysis
S. Matthijs Boekholdt, et. al.
Benoit J. Arsenault,
JAMA. 2012;307(12):1302-1309.doi:10.1001/jama.2012.366 
序文 スタチン治療患者での、LDL-C、非HDL、apoB値と心血管イベントの相関は信頼できるほど記載が十分ではない。

目的 スタチン治療患者の、LDL、非HDL-C、apoBの心血管リスクとの関連性の相対的strength評価
 
デザイン 通常の脂質・アポリポ蛋白をベースラインと1年フォローアップ時で、ランダム化スタチントライアルからの個別データによるメタアナリシス

データソース 2011年12月31日までのアップデートされたはっきりしたトライアル。62154名、8トライアル(1994-2008年出版)

データ抽出 LDL-C、非HDL-C、apoBに関し、1-SD増加毎の主たる心血管イベント確立リスク要素補正後のハザード比と95%信頼区間(CI)

結果 スタチン治療38153名のうち、致死的心筋梗塞 158 、 非致死的心筋梗塞 1678、他の冠動脈疾患イベント 615、 不安的狭心症入院 2806、致死的・非致死的卒中 1029

1-SD増加あたりの主要血管イベント補正HRは、LDL 1.13 (95% CI, 1.10-1.17) 、非HDL-C 1.16 (95% CI, 1.12-1.19)、 apoB  1.14 (95% CI, 1.11-1.18)

これらのHRsは、LDL-C、apoBに比べ、非HDL-Cの方が有意に高値  (P=.002、.02)

apoBとLDL-C に有意な差認めず  (P= .21). 


結論 スタチン治療患者において、治療中のLDL-C、非HDL、apoBは、それぞれ将来の主要心血管イベントと相関するが、その関連性は、HDL-C、apoBより、非HDL-Cがより強い。



私が、スタチン以外の脂質系薬剤の製薬会社プロモーション担当者なら、 このデータを利用して、プロモーションをかけるだろう。

だが、この報告の真意は、各種ガイドラインでは、一次予防・二次予防ともLDL-C値をターゲットにしているが、スタチン治療の有効性検討では、LDL-C値降下以外に、心血管イベント低下ベネフィットを示す要素が認められつつある。

LDL-C を主たる予測因子、あるいは間接的な主要治療ターゲットとするのは不適切であるという話になる。

非HDL中の何が?・・・ということになる。

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