2012年3月21日水曜日

日本OHCA:病院収容前エピネフリン投与は生存率改善せず

“院外心肺停止に対するボスミン投与:収容前循環は改善するが、アウトカムにつながらない?  2011年 07月 15日で、“院外心肺停止例へのアドレナリン(エピネフリン)投与二重盲検プラシーボ対照トライアル”を紹介している。
エピネフリンは病院外心停止患者蘇生に広く用いられている薬剤である。 しかし、その有効性は確立していない。日本の研究者である萩原らは、417188名の院外心停止患者の登録データを解析し、病院収容前エピネフリンと死亡率、生存者間の機能状況の関連性を検討。

病院収容前エピネフリン使用と、病院到着時自発循環回復は相関するも、1ヶ月時点での生存率尤度低下、良好機能状況生存率も低下。



Prehospital Epinephrine Use and Survival Among Patients With Out-of-Hospital Cardiac Arrest
Akihito Hagihara, et. al.
JAMA. 2012;307(11):1161-1168. doi: 10.1001/jama.2012.294 

前向き非ランダム化観察propensity analysis
417 188名の日本のOHCA (2005-2008)、EMS到着前18歳以上で、EMSにて処置され、病院搬送患者例


病院到着前自発循環改善
総サンプル
エピネフリン群 2786 /15 030 (18.5%) 
非エピネフリン群 23 042 / 402 158 (5.7%)  (all P<.001)
propensity-match化患者(13401名)
エピネフリン群 2446(18.3%)
非エピネフリン群 1400(10.5%)   (all P<.001)


生存者解析
総サンプルでの1ヶ月生存、CPC1/2、OPC1/2生存者
エピネフリン群 805 (5.4%)、 205 (1.4%)、 211 (1.4%)
非エピネフリン群 18 906 (4.7%)、8903 (2.2%)、 8831 (2.2%)   (all P<.001)

propensity-matched患者での対応数
エピネフリン群 687 (5.1%)、173 (1.3%)、 178 (1.3%)
非エピネフリン群で 944 (7.0%)、413 (3.1%)、 410 (3.1%)  (all P<.001)



全患者で、 収容前エピネフリンと収容前自然循環回復に正の相関 (補正化 OR [OR], 2.36; 95% CI, 2.22-2.50; P < .001)
propensityマッチ化患者でも正の相関認める  (補正化 OR, 2.51; 95% CI, 2.24-2.80; P < .001)


一方、全患者において、収容前エピネフリン使用と長期アウトカム測定値との負の相関 (補正化 OR: 1-month survival, 0.46 [95% CI, 0.42-0.51]; CPC 1-2, 0.31 [95% CI, 0.26-0.36]; and OPC 1-2, 0.32 [95% CI, 0.27-0.38]; all P < .001)

同様に、propensity-match化患者でも負の相関  (補正化 OR: 1-month survival, 0.54 [95% CI, 0.43-0.68]; CPC 1-2, 0.21 [95% CI, 0.10-0.44]; and OPC 1-2, 0.23 [95% CI, 0.11-0.45]; all P < .001)





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