“慢性腎臓病” という概念は、臨床の場に混乱をもたらしている。たとえば、構成要素の一つの“年齢、性別とクレアチニンだけで求められる・・・推定糸球体濾過率”は、薬剤投与量を決める場合のクレアチニン・クレアランス推定式と紛らわしい。
ここで、CKD検診や治療という面で、エビデンス確立しているような代物ではないという報告が、米国の内科学会を代表する団体のシステマティック・レビューから上がってきた。
Screening for, Monitoring, and Treatment of Chronic Kidney Disease Stages 1 to 3: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force and for an American College of Physicians Clinical Practice Guideline
Ann Int Med. April 17, 2012, 156 (8)
メタボ検診にCKD検診を加えることって、詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ ・・・ かもしれない
20歳以上の11%がCKDで、その95%が早期(stage 1-3)で、CKD病期は加齢そして、医学的状態、すなわち、糖尿病、高血圧、心血管疾患に依存するのである。
すなわち、あえて、CKDという病態を創造し、検診を行い、治療を行う意味合いなんてないってこと
システマティックレビューによると、CKD検診・モニタリングの価値は今のところ不明。
ACI阻害剤・ARBによるCKD治療に特定のベネフィットは認めるが、その多くは、アルブミン尿と、糖尿病・心血管疾患患者である。
CKDなるものの合理性は、早期介入による臨床的アウトカム改善だし、評価すべきは、検診のベネフィットと有害性。
reviewerたちは1985-2011年までの文献レビュー
CKD治療のベネフィット
プラシーボに比較して、ACE阻害剤・ARBはESRD(終末期腎疾患)への相対リスク減少と相関し、ESRDのプラシーボ比較のリスク比は、ACE阻害剤で0.65(95%信頼区間 [CI], 0.49-0.88)、ARBでは0.77(95%CI, 0.6-0.90)。糖尿病・顕性アルブミン尿症患者が最もリスク低下に寄与。
微小アルブミン尿・心血管疾患・高リスク糖尿病患者では、死亡リスクがプラシーボ比較でACE阻害剤で減少 (RR, 0.79; 95% CI, 0.66 - 0.96)
eGFR異常患者/高脂血症・うっ血性心不全患者のうち、スタチンとβ遮断剤治療は、対症薬やプラシーボに比較して、有意に死亡率・心血管イベント低下と関連。
通常血圧コントロールと比較して、厳格な血圧コントロールは死亡率、ESRD、他の臨床的アウトカム減少に寄与しない。
ARBとスタチン治療は、高strength-of-evidence ratingであるが、ACE阻害剤・β遮断剤はmoderate、厳格な血圧コントロールのevidence ratingが低い。
レビューの限界と意味合い
“CKD検診・モニタリングの役割として、臨床的アウトカムへの影響は不明”
CKD治療・ベネフィットのエビデンスは主にACE阻害剤・ARBが最強であり、糖尿病もしくは心血管疾患患者のアルブミン尿症患者である。
レビューの限界は、アウトカムに関するエビデンスの不足、post hoc解析をサブグループ検討で用いたこと、報告選択・出版バイアスが見られたこと。さらに、副事象イベントのシステマティックなデータ収集が少ないことが問題。
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