2012年9月25日火曜日

2型糖尿病降圧目標は果たして強化目標(130/80 mmHg未満)でいいのか?

日本での2型糖尿病の降圧目標は、降圧強化目標(130/80 mmHg未満)である。一方、脳卒中既往患者の二次予防に関して、標準目標(140/90 mmHg未満)が設定されている。

ところが、以下のシステマティック・レビュー/メタアナリシスで、降圧強化目標治療でのベネフィットとして卒中予防効果のみが軽度ながら認められた。しかし、死亡率に関してはベネフィット認めず。糖尿病降圧目標は標準的ターゲットでいいのではないかという疑念が生まれてくる。

Intensive and Standard Blood Pressure Targets in Patients With Type 2 Diabetes MellitusSystematic Review and Meta-analysis
Kerry McBrien, et. al.
Arch Intern Med. 2012;172(17):1296-1303. doi:10.1001/archinternmed.2012.3147


背景  糖尿病(DM)患者の高血圧治療は心血管アウトカム改善効果が示されている。
しかし、強化的降下目標の位置づけは不明瞭。標準ターゲット(収縮期140-160/拡張期85-100)と強化目標(収縮期 130/拡張期 80を上限)の有効性・安全性比較


方法  電子データベース、文献、臨床トライアル登録で、システマティック・レビュー・メタアナリシス:2型糖尿病の事前登録血圧目標比較ランダム化けるトライアル
研究特性、バイアスリスク、アウトカムデータを収集
Random-effects modelを用い、死亡率、心筋梗塞、卒中のプール相対リスク、リスク差

結果  強化血圧目標を用いることは、死亡率リスクの有意な減少とは相関しない (相対リスク差, 0.76; 95% CI, 0.55-1.05) 、心筋梗塞も同様(相対リスク差, 0.93; 95% CI, 0.80-1.08)
しかし、卒中リスク減少と相関 (relative risk, 0.65; 95% CI, 0.48-0.86)

強化血圧目標仕様によるリスク差のプール解析では、卒中リスク減少は絶対値比較では少ない (絶対的リスク差, −0.01; 95% CI, −0.02 ~ −0.00)
しかし、死亡率・心筋梗塞リスクの統計学的差は認めない

結論  降圧標準目標に比べ、強化目標を用いることは、2型糖尿病患者にとって、卒中リスクの小規模のリスク軽減と関連するが、死亡率・心筋梗塞減少としてはエビデンスとして示せない。


タイムリーなのか、でないのか・・・某商用医療系情報サイトで、“糖尿病の血圧管理 130mmHg未満 vs 140mmHg未満”で討論を企画してる。

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note