2012年9月25日火曜日

ACS後:抗血小板治療に経口抗凝固薬上乗せ ・・・ 出血リスク劇的増加 、血栓イベント軽減効果はさほどない オフセット判断可能か?

“経口抗凝固薬rivaroxabanと抗血小板療法の併用はACS患者の心血管イベント2次予防に有効”などと第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)で報告されていたが、以下のシステマティック・レビュー&メタアナリシスをみるとちょっと違和感。

Use of New-Generation Oral Anticoagulant Agents in Patients Receiving Antiplatelet Therapy After an Acute Coronary Syndrome:  Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials  
András Komócsi, et. al.
Arch Intern Med. Published online September 24, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.4026


【背景】  dual antiplatelet therapyに関わらず、急性冠症候群(ACS)後も血栓症イベントリスクが問題になる。経口activated Xa antagonist (anti-Xa)(e.g. エドキサバン(リクシアナ)、リバーロキサバン(イグザレルト)など)と、direct thrombin inhibitor(ダビガトラン(プラザキサ)など)がこの状況で検討されている。
ACS後の抗血小板患者でのプラシーボ比較との新規あるいはすべての抗凝固剤の有効性安全性比較評価。


【方法】  Electronic database(ACS後の抗血小板療法を受けた患者での、抗Xaあるいは直接トロンビン阻害剤の効果評価前向きプラシーボ対照化臨床トライアルで検索された)ステント血栓を、包括死亡率、重大虚血性イベント組み合わせを含む有効性測定を安全性エンドポイントとする。ネットの臨床的ベネフィットは、虚血性イベント・重大出血イベントの組み合わせ合計


【結果】  2000年1月1日から2011年12月31日まで、研究クライテリアに合致した、31286名の患者を含む7つの前向きランダム化プラシーボ対照化臨床トライアル同定
プールした結果分析に基づき、ACS後の抗血小板治療に、新世代抗凝固薬を使用することで、重大出血イベントの劇的増加と相関 (オッズ比, 3.03; 95% CI, 2.20-4.16; P < .001)
ステント血栓・複合虚血イベントリスク減少は、有意であるが、効果としては中等度で、包括的死亡率への有意な影響認めなかった。
ネットの臨床的ベネフィットに対し、新世代抗凝固剤治療はプラシーボを上回るアドバンテージ認めず (オッズ比, 0.98; 95% CI, 0.90-1.06; P = .57).

【結論】  ACS後の抗血小板剤投与患者に対し、抗Xaもしくは直接トロンビン凝固阻害剤使用をくわえることは重大出血性イベントを劇的に増加させる。オフセットとしての虚血性イベントへのベネフィットがあるかもしれない。



JACCのState of the art( J Am Coll Cardiol. 2012;59(16):1413-1425. doi:10.1016/j.jacc.2012.02.008 )に、dual抗血小板治療トライアル、 RE-DEEM、ATLAS、APPRAISE、RUBY-1のまとめが書かれている



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