2013年2月27日水曜日

Aldo-DHF研究:駆出率正常心不全に対しスピロノラクトン拡張能改善するも・・・

Aldo-DHF研究


プライマリアウトカムは、拡張能と心肺機能改善の2つ、前者は改善したが、後者は改善せず・・・6分間歩行距離においては減少

薬剤だけでは真の改善は見込めないのでは?

Effect of Spironolactone on Diastolic Function and Exercise Capacity in Patients With Heart Failure With Preserved Ejection FractionThe Aldo-DHF Randomized Controlled Trial
Frank Edelmann, et. al.
for the Aldo-DHF Investigators
JAMA. 2013;309(8):781-791. doi:10.1001/jama.2013.905.



重要性  拡張期心不全:Diastolic heart failure (ie, 駆出率正常心不全)は、確立した治療法のないが、コモンな病態であり、アルドステロン刺激がその病態進行に関与している可能性がある。

目的  駆出率温存型心不全での長期アルドステロン受容体遮断の有効性安全性評価。プライマリな目的は、スピロノラクトンのプラシーボ比較で、拡張性心機能と最大運動能力の改善が駆出率温存心不全患者でみられるかどうか

デザインとセッティング  Aldo-DHF トライアル、多施設、前向き、ランダム化、二重盲験、プラシーボ対照化トライアル、2007年3月から2012年4月、ドイツ、オーストリアの10施設、422の外来患者(平均年齢 67[SD, 8])年間、女性52%)、NYHA分類 II、IIIで、左室駆出率温存 50%以上、拡張期機能障害のエビデンスの存在

介入  患者をランダムに、スピロノラクトン1日1回 25mg (n=213)、 マッチングプラシーボ (n=209)に割り付け、12ヶ月フォローアップ

主要アウトカム測定  等化ランク共同プライマリエンドポイントとして、心エコー上の拡張期機能(E/e′) と心肺運動試験での最大運動能力(peak VO2)の12ヶ月時点での測定

結果 拡張期機能  (E/e′) は、スピロノラクトンで、12.7 (SD, 3.6) から 12.1 (SD, 3.7)へ減少、プラシーボでは 12.8 (SD, 4.4) から 13.6 (SD, 4.3) へ増加 ( 差補正平均, −1.5; 95% CI, −2.0 〜 −0.9; P < .001)

ピークの  VO2 は、スピロノラクトン vs プラシーボで、有意な差認めず ( 16.3 [SD, 3.6] mL/min/kg → 16.8 [SD, 4.6] mL/min/kg  vs  16.4 [SD, 3.5] mL/min/kg → 16.9 [SD, 4.4] mL/min/kg ; 差補正平均, +0.1 mL/min/kg; 95% CI, −0.6 to +0.8 mL/min/kg; P = .81)

スピロノラクトンは、リモデリング解消性に働く (左室量指標減少 ; 差, −6 g/m2; 95% CI, −10 〜 −1 g/m2; P = .009)、神経内分泌活性化改善  (N-terminal pro–brain-type natriuretic peptide 幾何平均比 , 0.86; 95% CI, 0.75-0.99; P = .03)
しかし、心不全症状・QOL改善せず
6分間歩行距離は軽度減少  (–15 m; 95% CI, –27 〜 –2 m; P = .03)

スピロノラクトンもまた、軽度血中カリウム値を増加 (+0.2 mmol/L; 95% CI, +0.1 〜 +0.3; P < .001)し、eGFR減少(−5 mL/min/1.73 m2; 95% CI, −8 to −3 mL/min/1.73 m2; P < .001) 、入院率への影響なし

結論・新知見  このランダム化対照トライアルにて、左室駆出率温存型の心不全患者では、アルドステロン受容体遮断剤長期使用で、左室拡張機能改善するが、最大運動能力、患者症状、QOLへ効果なし。
このAld-DHFトライアルでは、左室機能改善するかどうかが臨床的意義に関連するか、意味不明になっており、今後大規模な研究が必要となった。

E/e'
http://spo.escardio.org/eslides/view.aspx?eevtid=33&fp=1126

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note