重症患者では・・・
・コルチコトロピン減少 → コーチゾルクリアランス低下
・コルチゾール産生83%増加
・コーチゾルクリアランス低下この影響で、3.5倍ほど血中コルチゾール高値
すなわち、重症患者では、コーチゾル代謝酵素蛋白の発現量低下・活性低下により、コーチゾルのbreakdown低下をもたらし、高コルチゾール血症及びコルチコトロピン抑制をもたらす。
Reduced Cortisol Metabolism during Critical Illness
Eva Boonen, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1477-1488 April 18, 2013
ICU 158名、 マッチ化対照 64名
5つの観点から測定:
・日々の濃度
・重水素標識ステロイドホルモンとトレーサーによる、血中コーチゾルクリアランス、代謝
・産生hydrocortisoneの血中クリアランス
・尿中コルチゾール値
・肝臓・脂肪組織でのmRNAと蛋白
対照群に比べ、重症患者では、一致して総・遊離血中コルチゾール高値
しかし、コルチコトロピンは低値
(p < 0.001 ;両比較とも)
重症患者では、コルチゾール産生 83%程度高値 (p= 0.02)
トレーサー注入中、hydrocortisone 100 mg投与後も、コルチゾールクリアランス50%超減少 (両比較とも、 P≤0.03 )
これら全てのファクターを考慮すると、対照比較すると、血中コルチゾール値は、3.5倍ほど増加 (P<0 .001="" br="">0>
コーチゾルクリアランスの障害もまた、コルチコトロピン刺激によるコルチゾール応答減弱と相関。
コルチゾール代謝の低下は、肝臓・腎臓でのコーチゾル不活化低下と関連する。
尿中ステロイド比、トレーサー動態、肝臓生検試料評価ともこれを示唆する (全て:P≤0.004 )
重症身体ストレスを来すような重篤な状態は高コルチゾール血症が多い。ストレスによるHPA系の活性化が関与し、コルチコトロピンによるストレス起動活性化・コルチコトロピン起動コーチゾル産生増加をもたらす。しかし、このようなストレス反応は必ずしも小河改善に関して十分とは言えず、比較的副腎機能低下をもたらしているものと考えられている。しかしながら、重症患者では高コルチゾール状態が持続しており、このような作用とは奇異的な事象となっている。
加え、コーチゾル産生には、炎症惹起性サイトカインの作用で説明されたり、コルチコトロピン抑制によるコーチゾル産生メカニズムの血中コーチゾル減少阻害効果の影響が関係していることで説明されるようになっている。上記検討がそれを支持している。
重症状態遷延化した患者の剖検例の副腎は比較的重く、充実細胞(compact cell)欠如細胞が、脂肪含有束-網状層細胞を置き換えている。多くは重症低血圧やinotropeやvasopressorを受け、SIRS合併多く、出血性壊死や壊死による構造変化を有する。副腎不全の患者の一部に糖質コルチコイド治療奏功例があることも知られている。一方、重度ストレスはHPA系を活性化するが、コルチコトロピン値は抑制、逆にコーチゾル値は増加する。この乖離の理由は不明。全身性炎症は様々なサイトカインの増加により特徴づけられ、IL-6やTNF-αの関与が考え等得る。
このメカニズムについて上記論文で報告があったわけだが、9、11、12α、12β部位重水素D4標識コーチゾルで産生や代謝を正確に測定された。11β-HSD2、5β-reductase、5α-reductase酵素による代謝転換の減少により、コーチゾルのクリアランスが低下した。
D3/D4コーチゾル比の減少はD3コーチゾルへの転換減少を示し、コーチゾンからコーチゾルへの変換が保たれてることを意味する。
0 件のコメント:
コメントを投稿