2013年4月18日木曜日

重症疾患へのグルタミン酸・アンチオキシダント投与 :無効もしくは予後悪化

病態を説明するにはオキシダント・アンチオキシダントは必須だろうが、創薬として真に成功した薬剤って存在するのだろうか?

一応、グルタミンサプリメントの重症疾患への感染症合併症率低下、入院期間短縮効果が示されている
Glutamine supplementation in serious illness: a systematic review of the evidence.
Crit Care Med. 2002 Sep;30(9):2022-9.
否定的な報告が多くなった
Andrews PJ, Avenell A, Noble DW, et al. Randomised trial of glutamine, selenium, or both, to supplement parenteral nutrition for critically ill patients. BMJ 2011;17:1542-1542 

今回の報告で、グルタミンに関する有害性が明らかになったが、正確なメカニズムは不明。仮説として、サンプルの問題、30g/日以上の高用量すぎる例があった問題、投与タイミングの問題など、筆者等は、グルタミン濃度低下では必須と考え、投与していたが再考の時期と考えられるとのこと。サプリメントに関しては、セレニウムなど地域土壌的な問題も議論されている。


A Randomized Trial of Glutamine and Antioxidants in Critically Ill Patients
Daren Heyland, et. al.
for the Canadian Critical Care Trials Group
N Engl J Med 2013; 368:1489-1497April 18, 2013

盲験2×2区分トライアル、1223名の重症患者(カナダ・US、ヨーロッパ 40施設ICU)
多臓器不全で、機械式人工呼吸患者

グルタミン、アンチオキシダント、両者併用、プラシーボの比較

グルタミンサプリメントをICU入室後24時間内に投与し、静注・経口で投与

プライマリアウトカムは、28日めの死亡率
interim-analysisモデルのため、p値は最終分析では0.044未満を統計学的有意とする


(グルタミン関連)
グルタミン投与患者では、非投与患者と比べ、28日めの死亡率増加傾向
(32.4% vs. 27.2%; 補正オッズ比, 1.28; 95% 信頼区間l [CI], 1.00 to 1.64; P=0.05)

6ヶ月め在院合併症・死亡率は有意にグルタミン投与群で非投与群比較で多い

グルタミンは、臓器障害、感染性合併症に関して影響認めず

(アンチオキシダント)
アンチオキシダントは、28日目の死亡率に影響与えず  (30.8%, vs. 28.8% with no antioxidants; 補正オッズ比, 1.09; 95% CI, 0.86 to 1.40; P=0.48)
他の全てのセカンダリエンドポイント(ICU滞在期間、感染性合併症発症、多臓器不全スコア、人工呼吸期間、入院期間、抗生剤使用、6ヶ月目の死亡率)でも同様

重篤な副作用に関する群間差なし(P=0.83)






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