2013年4月25日木曜日

腸内細菌による代謝産物TMAOと動脈硬化疾患:重大心血管疾患リスクの9%弱関連

腸内細菌が動脈硬化に重要な働きをすることは確かで、食事性レシチンの代謝経路に関して実験的研究・観察研究からその役割が明らかになった。

動脈硬化関連trimethylamine-N-oxide (TMAO)は腸内細菌に依存して放出され、それが抗生剤により抑制されること、そして、その後細菌が復活することで再び増加するという現象。そして、実際に心血管イベントリスクの高い群で、TMAO濃度がその後の重大心血管イベントと相関するという現象を示した報告。

このTMAO濃度は、従来のリスク要素の8.6%ほどの影響要素と推定されるとのこと

コレステロールや、中性脂肪、血糖などと同様、測定し、動脈硬化関連要素として確立し、コントロールすべきかどうか・・・

Intestinal Microbial Metabolism of Phosphatidylcholine and Cardiovascular Risk
W.H. Wilson Tang, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1575-1584

【背景】最近の動物実験研究によると、食事由来phosphatidylcholine(レシチン)中のコリン部分の腸内微生物代謝と、冠動脈疾患とに、動脈硬化促進代謝産物であるTMAO(trimethylamine-N-oxide)を通したメカニズムリンクが示されている。
食事性phosphatidylcholine、TMAO価の腸内微生物依存的代謝と心血管イベントについての関連性をヒトで調査
【方法】血中・尿中TMAO、血中コリン・ベタイン値を、 liquid chromatography とonline tandem mass spectrometryにて、phosphatidylcholine暴露(2つの固ゆで卵摂取と、重水素[d9]標識phosphatidylcholine)後測定
健康被験者に広域スペクトラム抗生物質投与後、腸内微生物抑制前後で測定
空腹時TMAO濃度と、重大副事象イベント(死亡、心筋梗塞、卒中)を4007名の待機的冠動脈血管再建施行患者の3年フォローアップで検討
【結果】phosphatidylcholine暴露後、TMAOとd9 isotopologue、コリン代謝産物が時間依存的に増加
TMAOの血中濃度は抗生剤投与後劇的に抑制され、そして抗生剤中断後再出現
TMAO血中濃度増加は重大心血管イベントの増加と相関(TMAO4分位最大・最小比較ハザード比 2.54; 95% 信頼区間, 1.96-3.28; p < 0.001)
従来のリスク要素補正後、TMAO濃度増加は重大心血管イベントリスク増加と相関(p < 0.001)し、低リスクサブグループでも同様。
【結論】食事性phosphatidylcholineからのTMAO産生は腸内細菌代謝に依存する。
TMAO濃度は、重大心血管イベントリスク増加と相関する。
(NIHなどからの研究資金)



腸内細菌ということで、ステマなどで暗躍する乳酸菌飲料会社が変な宣伝しないことを祈る。・・・ まぁ無理だろうけど・・・

RCTなどせずにopen-labelレベルなのにR−1がインフルエンザ抑制したとか「人間の起源は腸」とかアホか・・・「原腸≠腸」のミスリードばかり・・・の、インチキ会社が多い

この場合、腸内細菌が悪さをしてるわけだけど、「Y乳業のなんたらをのめば【悪玉】腸内細菌を・・・」と水戸黄門ばりの頭の悪い日本人が好む「勧善懲悪」をばい菌にあてはめる宣伝をしそうだ・・・

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