2013年6月2日日曜日

ATS ガイドライン:閉塞型無呼吸・非業務運転の居眠り運転事故リスク

 睡眠時無呼吸症候群は、日本では、SASとされるが、閉塞型無呼吸だけを検討対象に限定することが多く、閉塞型無呼吸(OSA)ということで記載されることが大部分。てんかんと同様、大きな事故があった後のみ、報道され、国民や行政の関心もその時だけ。
("無呼吸 運転 .go.jp"でググれば、国のやる気のなさが自明となる)

ATS(呼吸器学会系)で、この臨床実践ガイドラインが形成されている。日本では、免許・運転可否判断は都道府県毎に方針がなされているようだが、日本睡眠学会会員だけがこの判断決定するように内規規定されている地区がある。矛盾を感じつつ・・・

日本の居眠り運転調査 として、
睡眠時無呼吸症候群における居眠り運転事故調査
国際交通安全学会誌 vol. 35 No. 1 平成22年6月
http://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/35-1-03.pdf
"無呼吸症候群では、居眠り運転事故のオッズ比は2.52、愛知医科大学の調査では、5以上のOSAでは約9名に一人が居眠り運転事故歴、高度眠気16点以上では、事故率22.6%"というもの。寄与要素調査が不十分なためか、事故確率予測因子の解析が今ひとつと感じてた。以下のガイドライン見ても、国際的にも、医師がその後の居眠り運転事故を予測することは困難なようだ。
運転可否判断根拠に関して、さほどクリアカットなものではない

ガイドラインアップデートが掲載されていたので・・・紹介


American Thoracic Society Documents
An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline: Sleep Apnea, Sleepiness, and Driving Risk in Noncommercial Drivers
A 2012 Update
http://www.thoracic.org/media/press-releases/resources/Strohl.pdf


【背景】眠気は、自動車事故の20%まで 関連し、特に、高速道路では影響が大きい。閉塞型無呼吸(OSA)は、昼間の眠気の原因と成り、居眠り運転リスクを2-3倍にする。
このガイドラインの目的は、1994年ATSのアップデートであり、眠気、睡眠時無呼吸、運転リスクに関する記載目的

【結果】
・ 運転リスク減少のためのOSA確認・CPAP治療を、無治療より、強く推奨し、これは中等度品質エビデンスで確認されている。

・弱い推奨だが、迅速診断評価・治療開始を推奨し、覚醒薬物やCPAPエンピリック治療を運転リスク減少のために使用することには反対する。

・ 同じく弱い推奨で、品質のかなり低いエビデンスしかないが、追加的項目として、ラフに運転リスクを決定すること、眠気の原因をさらに追求すること、過剰眠気のリスク教育、臨床医に法律啓蒙することなども推奨示唆。


【結論】
• 閉塞型無呼吸症候群(OSA) versus 閉塞型無呼吸症候群非該当(non-OSA)では、交通事故の包括的リスク 2-3倍増加するが、個別のリスク推測は不正確な状況。

・高リスクドライバーとは、中等・重度昼間眠気と、以下、不注意事故、あるいは眠気によるニアミス、疲労、不注意状況のあるもの

・交通事故・同等のイベントが無い場合、無呼吸患者に関し、運転許可制限するには十分なエビデンスは存在しない。


・OSA治療で、シミュレーション運転でのパフォーマンス改善し、運転での眠気リスク・眠気による運転事故リスク減少するだろう。


・高リスクドライバーのOSA患者において、患者・家族へのタイムリーな診断評価・治療・教育は、睡眠関連事故の発生頻度減少に寄与する。

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