心不全状況下での、メトホルミン安全・有効性に関する議論
システマティック・レビューと非トライアルエビデンス
心不全・糖尿病患者において、メトホルミンは、少なくとも他の経口血糖降下薬、対照はほとんどSU剤と比較し、安全で有効。他のトライアルデータが出現するまでは少なくとも、心不全・2型糖尿病患者の選択法考えられる。もちろん、腎機能障害やアルコール問題摂取例・シックデー・脱水・周術・高齢者などに配慮した適正使用が前提だが・・・
糖尿病心不全患者における、メトホルミンと、合併症・死亡率間相関の対照化研究の包括的研究
Comparative Safety and Effectiveness of Metformin in Patients With Diabetes Mellitus and Heart Failure
Systematic Review of Observational Studies Involving 34 000 Patients
Dean T. Eurich, et. al.
Circulation: Heart Failure. 2013; 6: 395-402 Published online before print March 18, 2013, doi: 10.1161/CIRCHEARTFAILURE.112.000162
2名のレビューアーが独立に、引用・抽出データ同定、質評価。リスク推定は適切なら抽出化・プール化。包括的安全性測定としては全原因死亡・全原因入院。
9つのコホート研究;ランダム化対照トライアル同定なし。
多く(5/9)研究は2010年出版、研究の質は良好。
メトホルミンは対照と比較し、研究質高い。
メトホルミンは、対照(SU剤がほとんど)と比べ、死亡率減少と関連:23% vs 37% (プール化補正リスク推定: 0.80; 0.74-0.87:I2 = 15%: p < 0.001)
左室駆出率減少症例での、メトホルミンではリスク増加認めず (死亡率プール化補正リスク推定値 : 0.91; 0.72–1.14; I2=0%; P=0.34)、 また、心不全なし・CKD患者でも増加認めず (プール化リスク推定値 0.81; 0.64–1.02; P=0.08)
メトホルミンは、全原因入院に関し軽度減少と相関 ( プール化補正リスク推定 : 0.93; 0.89–0.98; I2=0%; P=0.01)
メトホルミンは、乳酸アシドーシス増加と相関せず
メトホルミンみたいな安価な薬剤は、製薬メーカーはまともに新たな治験しないため、不勉強な者には目立たない薬剤であるが、、2型糖尿病治療の根本と言えるNKPDSの存在。
しかし、日本では、かつての乳酸アシドーシス懸念が臨床家の脳内に浸透しているためもあり、なかなか普及しないとみているが、最近は、ちょっと変わったようで、結構、高用量処方も浸透しているようだ。むしろ、糖尿病専門医の方が遅れてるような感じ。
まだエビデンスの乏しいDPP4阻害剤に比べれば、安全性懸念は少ないはずなのだが・・・
N社の降圧剤トライアルで観察されるとおり、新薬では、大学などの指導的役割医師たちに多くの利益提供がなされている。結果、ガイドラインなどもゆがんでいる。各学会に自浄効果など期待できない。メトホルミンの使用頻度極端に少ないことは、ゆがみの顕在化の一つ。
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