2013年7月31日水曜日

慢性腎臓病:CKDに関する過剰診断の問題

CKDに関しても、存在そのものに、ネガティブな意見もある

 慢性腎臓病(CKD) 検診・治療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ 2012/04/19 

世の中の流れが一方向になることに危険性は、どの分野でもあると思うのだが、懐疑的意見にも耳を傾けることが大事。

本来の意味合いから言えば、慢性腎臓疾患にて有症状あるいは合併症存在蓋然性が高い場合を、この病名で呼ぶべきなのだが、診断基準だけが先走りして、病名が一人歩きしている現状を懸念する声が日本外では大きくなっている。 


"Chronic kidney disease controversy: how expanding definitions are unnecessarily labelling many people as diseased"
Moynihan R, et al
BMJ 2013; 347: f4298

解説記事:http://www.medpagetoday.com/Nephrology/ESRD/40754

 2002年のクライテリア(pdf)以降、アメリカ人では8名に1名以上、14%程度がこのCKDクライテリアに合致し、CKDという病名にラベリングされている。


より確固たる定義形成上の根拠は、早期に症例を見いだすことで進行期疾患への進展緩徐化もしくは停止を可能とすることである。早期疾患発見成功してもあまりに対象者が多すぎ、すなわち、過剰診断が多すぎるとMoyihanのグループが示唆している。

ノルウェーの住民ベース研究の一つ、Stage 3Aクライテリア合致したヒトの1%未満しか、8年間フォローアップ後、終末期腎疾患発症しない。

NNTから考えれば、1千名予防して1例予防可能という、あまりにコストの見合わない確率のお話。
とりわけ、Stage 3Aの年齢では正常範囲内eGFR低下/腎臓障害ダメージ尿マーカー異常なしのクライテリアが多く含まれる。

高齢者では特にこの過剰診断が多く、stage 3疾患では30%ほどが誤診されている、特に、stage 3Aのアルブミン尿無し例

臨床家は、高齢者で、CKD定義内へのeGFR低下のみの例では安易にこの疾患ラベリングをしないことが重要で、このグループは臨床的問題となる確率は低いと筆者らのグループ。




南カリフォルニアのKaiser Permanete のクライテリアでは、CKDの診断は約3%程度に低下する。さらに、eGFRの足跡、尿アルブミン検査の足跡も参考にして、単なる1回の腎機能結果でのみ診断するのは避けるべきで、他にリスク要素がない患者に対しては、軽度腎機能低下に対して、治療すべきかどうか不確かであることも説明すべき。


過剰診断の有害性は不要な治療と不要な介入であり、厳格な血圧コントロールからくる副作用、患者への不安提供である。

本来、皆が、腎疾患予防に対する最善の方法を見つけ、過剰診断リスクやコスト軽減をはかるべきと結論づけ


 Moynihanらは、予防上の過剰診断に関するカンファレンスを含む、 NHMRC STEP grantと内容を支持し、 BMJ Too Much Medicineで連続記事助言を行う

日本では、診察・診療に関しては過剰に検査・投薬制限するくせに、検診・予防に関する過剰診断・過剰検査はなぜか問題にしない。非対称性が目立つ。そし て、CKDの疾患概念に関して批判を見聞きすること少ない。 メタボに関する批判が比較的広がったのと対照的。CKDを生活習慣病として病名と認定してないから、保険給付から影響されないと、現場を知らないアホ役人 たちはみなしてるからだろうか?

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