2014年1月29日水曜日

肺MAC症:マクロライド・アゾリド系長期治療の耐性問題なく微生物学的効果あり、しかし、再感染多い

日本の肺MAC症ガイドライン:肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂

ATS:非定型抗酸菌群


今思うに、HTLV-1関連肺疾患という中に、どれほどの、NTMDが存在してたのだろう。感染確率の多い地域でのNTMDをすべてこの疾患としている医師の一群がいたのではNTMDと、気管支拡張との関係、とくに気管支拡張性MAC症と、びまん性汎細気管支炎との関連性の記載はしっかりなされてるのだろうか?そういう思いをしながら診療をしている。


マクロライド系長期使用に関しては、びまん性汎細気管支炎症例でさえ無知の医師・薬剤師・保険者により邪魔されながら使用している。MAC症においても同様でガイドライン上のクラリスロマイシン600mgから800mg使用するとほぼ疑義照会がなされる。まぁセーフティーネットが効いてるといえるのだからそれは良いのだが、納得しないアホが時々・・。

MAC症やNTMDは、さほど珍しい疾患では無い。「肺が汚い」とか「拡張症」などと言われたり、肺がん検診でみつかることも多くなっている。遺伝子診断進化しており、診断機会が多くなってきている。だが、治療はというと・・・


Macrolide/Azalide Therapy for Nodular/Bronchiectatic: Mycobacterium avium Complex Lung Disease
Richard J. Wallace,  et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2538 


背景:  MAC肺疾患に関する現行治療ガイドラインが適切か否かの評価のための大規模研究はない。結節性/気管支拡張性(NB)MAC肺疾患へのマクロライド/azalide系を含むレジメン評価後顧的単施設レビュー

方法:  微生物の反応評価を行う現代のガイドラインに従い治療
MAC分離株へのマクロライド感受性を、治療開始時、治療6-12ヶ月後、初回微生物学的再発時評価する。微生物学的再発分離株をオリジナルな菌株と比較してgenotypingを行う。

結果:  180名をマクロライド/azalide系 12ヶ月超治療施行。喀痰培養陰性への喀痰治療効果 86%(154/180名)。
クラリスロマイシン、アジスロマイシン間に反応の差認めず
連日治療で、間欠治療より、治療レジメン修正が多い(daily 24/30 (80%) vs intermittent 2/180 (1%) therapy (p = 0.0001)
治療期間中マクロライド抵抗性発生は無い
治療中微生物学的再発は14%、 MAC再感染 73%、真の再発 27%(p = 0.03)
包括的には、治療成功、すなわち、喀痰conversion(真の微生物学的再発無し)は、84%。微生物学的再発は治療完遂後74/155(48%)。再感染分離株は75%、真の再発は25%。


結論:  非結核性MAC肺疾患に対するマクロライド系・アゾリド系治現行療ガイドラインは、多くの患者では、微生物学的アウトカム良好な結果で、しかも、マクロライド抵抗性促進は認めない。間欠治療が連日治療より、より有効で、耐用性良好という有意な結果。
治療期間中・治療後微生物学的再発は多く、多くは真の再発で歯内が、MAC genetype群の別の再感染が多い。

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