2015年1月5日月曜日

外傷性頭部外傷と認知症リスクの関連: 中等症・重症頭部外傷では55歳以上、軽症では65歳以上で、認知症リスク増加



Dementia Risk After Traumatic Brain Injury vs Nonbrain TraumaThe Role of Age and Severity
Raquel C. Gardner, et. al.
JAMA Neurol. 2014;71(12):1490-1497. doi:10.1001/jamaneurol.2014.2668.



【序文:意義】  認知症リスク要素としての外傷性脳損傷(TBI)の重要性に関して疫学的エビデンスは相反状況である。非TBI(NTT: non- TBI trauma)患者を対照とした、加齢とTBI重症度の影響を検討した、研究は今まで少ない。


【研究目的】  近時TBI成人と、NTT成人との比較による認知症リスクの定量化


【デザイン、セッティング、被験者】  個々的コホートを2005年1月1日から2011年12月31日まで施行(フォローアップ、 5-7年間)。2005-2006年、入院期間中ベースラインで認知症や死亡しなかった55歳以上のTBI診断とNTT診断全患者  (n = 164 661)を、EDや入院のカリフォルニア州域行政医療データベースで同定。


【暴露】 軽症 vs 中等症・重症 TBI (ICD-9によるCDC及び予防クライテリアによる診断)
NTT:ICD-9による診断で、頭部・頚部骨折外の骨折


【主要アウトカムと測定項目】 TBIあるいはNTT後1年以上後のインシデンタルなED、入院での認知症診断 ( ICD-9 コードによる)
TBIと認知症リスクの相関性を、通常認知症予測因子及び寄与要素補正後Cox比例ハザードモデルを用い推定。
TBI重症度と年齢カテゴリー (55-64, 65-74, 75-84, and ≥85 歳)により層別化




【結果】  外傷 51 799 名中、TBI  (31.5%)。 このうち、  4361 (8.4%)名が認知症発症。NTTは5.9%で、有意差あり(p < 0.001)
TBIは、認知症リスク増加と関連   (ハザード比  [HR], 1.46; 95% CI, 1.41-1.52; p < 0.001)

年齢カテゴリー除外後 寄与要素補正にて、影響少ない   (完全補正 HR, 1.26; 95% CI, 1.21-1.32; p < 0.001)

層別化補正後解析では、中等度・重症TBIにより認知症リスクは全年齢横断的にリスク増加  (年齢 55-64: HR, 1.72; 95% CI, 1.40-2.10; p < 0.001; vs 年齢 65-74: HR, 1.46; 95% CI, 1.30-1.64;p < 0.001)
一方、軽症TBIでは、加齢とともにリスク要素の重要性増加   (年齢 55-64: HR, 1.11; 95% CI, 0.80-1.53; P = .55; vs 年齢 65-74: HR, 1.25; 95% CI, 1.04-1.51; P = .02; 年齢相関性 p < 0.001)


【結論と新知見】  EDあるいは入院状況下評価において、中等症・重症外傷性脳損傷の55歳以上、軽症外傷性脳損傷の65歳以上では、認知症発症リスク増加する。

高齢成人より若年成人では、軽症直近TBIの影響は、より可塑性があるのかもしれない。

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