腰背部痛、頚部痛など運動器系疼痛を含め、理学療法だけでなく、薬物、代替治療に関しても、臨床的有意最小変化量:MCIDで再評価する必要があると思う。
”統計学的有意差≠臨床的意義”ということが未だに周知されてない。
統計学的有意差があれば全て意味があるという誤解は、払拭できてない。研究者が(勝手に打ち立てた)帰無仮説が否定されたに過ぎないという意味しか無いのだが・・・。
Early Physical Therapy vs Usual Care in Patients With Recent-Onset Low Back Pain
A Randomized Clinical Trial
Julie M. Fritz, et. al.
JAMA. 2015;314(14):1459-1467. doi:10.1001/jama.2015.11648.
【序文】 腰痛、Low back pain (以下、LBP)は、プライマリケアでコモンなもの。ガイドラインでは理学療法へ後に照会することが推奨されている。
【研究目的】 早期理学療法(マニピュレーション、運動)が、通常のケアに比べ、decision ruleとして、LBP-フィッティングをもって患者のディスアビリティを改善するという点でより有効か評価
【デザイン、セッティング、被験者】
220名の被験者を有するランダム臨床トライアルで、2011年3月から2013年11月まで登録。直近6ヶ月間にLBP治療を行ってない、18歳から60歳(平均年齢 37.4歳、[SD, 10.3歳])、Oswestry Disability Index (ODI)スコア 20以上、16ヶ月未満の有症状期間、72時間内の膝より遠位症状無しをプライマリケア受診フォローアップ登録。
【介入】全員教育を受ける。早期理学療法(n=108)は、4つの理学療法セッション〜成り、通常ケア (n = 112)は、初めからの4週間は介入追加無し
【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、3ヶ月時点でのODIスコア変化 (range : 0 - 100 : 高値ほどディスアビリティ悪化を示す; minimum clinically important difference, 6 ポイント)
セカンダリアウトカムは、フォローアップ4週後、1年後ODIスコア、疼痛強度の変化。
4週、3ヶ月、1年フォローアップ後の、Pain Catastrophizing Scale (PCS) スコア、 fear-avoidance belief、 quality of life、 patient-reported success、 health care utilization
【結果】
1年フォローアップ完遂207名(94.1%)
共役変数解析にて、早期理学療法は3ヶ月後のディスアビリティーにおいて通常ケアより相対的改善を示す (平均 ODI スコア: 早期理学療法群, ベースライン:41.3 [95% CI, 38.7 to 44.0] → 3ヶ月後:6.6 [95% CI, 4.7 to 8.5] ; 通常ケア, ベースライン:40.9 [95% CI, 38.6 to 43.1] → 3ヶ月後:9.8 [95% CI, 7.9 to 11.7] ; 群間差, −3.2 [95% CI, −5.9 to −0.47], P = .02)
4週間後、ODIスコア有意差有意差ある(群間差, −3.5 [95% CI, −6.8 to −0.08], P = .045])も、1年後フォローアップ時点では有意差無し (群間差, −2.0 [95% CI, −5.0 to 1.0], P = .19)
4週間、3ヶ月、1年フォローアップ時点での疼痛強度改善見られず (群間差, 4週間フォローアップ時点−0.42 [95% CI, −0.90 to 0.02] ; 3ヶ月フォローアップ時点 −0.38 [95% CI, −0.84 to 0.09] ; 1年フォローアップ時点 −0.17 [95% CI, −0.62 to 0.27] )
PCSスコアは、4週時点、3ヶ月時点で改善するも、1年フォローアップ時点では改善無し (群間差, 4週フォローアップ時点 −2.7 [95% CI, −4.6 to −0.85] :3ヶ月フォローアップ時点 −2.2 [95% CI, −3.9 to −0.49] ; 1年フォローアップ時点 −0.92 [95% CI, −2.7 to 0.61] )
どの時点でも医療受診に関して差を認めない
【結論・知見】発症間もないLBP成人において、早期理学療法はディスアビリティーの統計学的有意な改善を認めるも、この改善度合いは軽度で、通常ケアに比較して、臨床的有意最小変化量:MCIDを満たしてない。
早期リハビリテーションが全て善ではない・・・早期リハビリテーションが必要というなら地道に、MCIDを示す臨床トライアル結果を提示するしかない
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