2016年1月25日月曜日

重症喘息:自然免疫生体防御活性が低下 BAL中SP-D濃度低下

血中・気管支肺胞洗浄液(BAL)中のSP-D(surfactant protein D)の濃度測定

SP-Dは、自然免疫防御の必須構成要素


重症喘息では自然免疫生体防御活性が低下する。即ち、BALのSP-D濃度低下し、気道好中球とともに存在する細菌の存在しやすくなる。



Airway surfactant protein D (SP-D) deficiency in adults with severe asthma
Rose-Marie A. Mackay, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.012

健康対照者(n=10)・軽症喘息(n=22)症例と比較して、BALのSP-D値は、重症喘息症例(n=28)で、有意低下 (p < 0.001)。
血中SP-Dは健康対照者・軽症喘息症例と比較して、重症喘息で増加 (p< 0.001)
BAL/血中比は、重症喘息で低下  (p< 0.001)

BAL誘導SP-Dの減少は、血中・SP-Dのdegraded fragment増加、BAL好中球・LPS値増加と関連









コレクチンは,コラーゲン様ドメインとC型レクチンドメインを有するハイブリッドタンパク質で,分泌型コレクチンとしては,肺コレクチンのSP-AとSP-Dおよびマンノース結合タンパク質(MBL)がこれに属する.
肺コレクチンは,肺サーファクタントの構成成分である.
・・・
生体防御レクチンとして機能するコレクチンは,自然免疫を構成する重要な因子の一つである.自然免疫は,病原微生物に存在する特有の分子パターンを認識することによって自己と非自己を区別して排除し,生体を守る最も基本的な生体防御機構である.
パターン認識分子として,リポ多糖(LPS)やペプチドグリカン(PGN)などの病原微生物構成成分(pathogen-associatedmolecularpatterns,PAMPs)を識別するCD14やToll様受容体(TLR)およびレクチンがある.
CD14やTLRはともにエンドトキシン受容体(pathogenreceptor)として機能し,エンドトキシン惹起細胞応答のシグナル伝達に必須な分子で,パターン認識受容体と呼ばれている.気道・肺胞系の呼吸器は外界に開放しており,病原微生物侵入の危険に常に曝されているので,肺コレクチンのSP-AとSP-Dが担う自然免疫生体防御はきわめて重要である.

"SP-AはTLR4/MD-2発現細胞に対するsmooth LPSの結合を阻止し、LPS惹起炎症を抑制した。SP-Aの機能ドメインは糖鎖認識領域(CRD)であるが、コラーゲン様領域を除去した CRF(collagenase-resistant fragment)は、TLR4に対する結合親和性が著明に低下しており、LPS惹起炎症抑制効果も認められなかったので、18量体からなるSP-Aの多 量体構造が機能発現に重要"である一方、"SP-Dは、LPS惹起炎症反応を挿制することが示されたが、SP-Aと異なり、血清型の異なるsmooth LPSとrough LPS両者の惹起する炎症を抑制"


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