呼気中の中枢気道虚脱:ECAC、気腫・COPD有無にかかわらず呼吸器系QOL増悪と関係する ・・・ 新しい病態とでも言えるかもしれない
気管気管支軟化症(TBM)は横断面・矢状断面でダイナミックな気道狭窄を生じる病態。これは気管膜様部と関連するかどうか。さらに慢性気管支炎、肺気腫、喘息、喫煙関連においてECACがある症例存在する。膜様部においては長軸弾性線維の減少・萎縮により気管の脆弱性、軟骨密度の低下により気道の虚脱を生じる。先天性や創刊後、外傷、感染後、長軸外的圧迫、慢性炎症などが原因らしい。
Association Between Expiratory Central Airway Collapse and Respiratory Outcomes Among Smokers
Surya P. Bhatt, et. al. ; for the Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) InvestigatorsJAMA. 2016;315(5):498-505. doi:10.1001/jama.2015.19431.
序文 呼気時腔内面積50%超の中枢気道虚脱(ECAC)は、喫煙・COPDと関連する
しかしその頻度や臨床的意義不明
研究目的 ECACが、基礎肺疾患と独立して、喫煙者の呼吸系合併症と関連するか否か?
デザイン・セッティング・被検者 米国内21の臨床センタ、COPDGene研究の大規模多施設研究の吸気・呼気CTペア解析と喫煙既往
2008年1月〜2011年6月まで登録、2014年10月まで長軸フォローアップ。
定量法:吸気・呼気時気管直径最小axisの30%縮小以上を検知
スクリーン陽性スキャンサンプルから、気管横断面積を3つの事前決定レベルでマニュアルに3ヶ所測定し、EACを確認(横断面減少50%超)
暴露 呼気中枢気道虚脱
主要アウトカム・測定
- プライマリ・アウトカム: ベースライン呼吸 (St George’s Respiratory Questionnaire [SGRQ] scale 0 to 100; 健康状態最悪 100; minimum clinically important difference [MCID], 4 units)
- セカンダリ・アウトカム: ベースライン呼吸困難度 (modified Medical Research Council [mMRC] scale 0 to 4; 4 represents worse dyspnea; MCID, 0.7 units)、6-minute walk distance (MCID, 30 m)、長軸フォローアップ中 (100人年あたり)
結果 COPD有無を含め8820名登録(平均年齢 59.7[SD, 6.9]歳、男性 56.7% 4667名、 現行喫煙 51.7%、4559名)
ECAC頻度は5%(443名)
年齢・整・人種・BMI、FEV1、喫煙pack-year、肺気腫補正後
ECAC存在患者はECAC非存在患者に比べフォローアップ(中央値、4.3[IQR, 3.2 - 4.9 ] 年間)後、ECAC患者は
- SGRQ score悪化 (30.9 vs 26.5 units; P < .001; absolute difference, 4.4 [95% CI, 2.2-6.6])
- mMRC scale scores悪化 (median, 2 [4分位 [IQR], 0-3]) vs 1 [IQR, 0-3]; P < .001])
- しかし、6分間歩行距離の差は有意でない (399 vs 417 m; absolute difference, 18 m [95% CI, 6-30]; P = .30)
- 急性増悪回数増加 (58 vs 35 events / 100 人年あたり; 発生比[IRR], 1.49 [95% CI, 1.29-1.72]; P < .001)
- 入院必要な急性増悪 回数増加(17 vs 10 events / 100 人年あたり; IRR, 1.83 [95% CI, 1.51-2.21]; P < .001)
結論・知見 現行喫煙・喫煙既往者において、ECACの存在は呼吸器QOL増悪と関連する
臨床的アウトカムとの長期関連性評価必要
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