2018年12月29日土曜日

60歳以上高齢者長期運動効果:頻回転倒・入院・死亡リスク減少効果認めず、運動は万能?

筆者等の結論と異なるタイトルになってしまったが・・・

All kinds of intervention structure (eg, home-based or group-based) were eligible, with unsupervised exercises being included only when a personalized exercise plan had been used; participants had to be 60 years or older at baseline or the mean population age should be 60 years or older.

この運動介入は構成要素の種類を問わず、superviseされたものでない
特定のstructure運動の有益性を見てるわけではない



高齢者における長期運動の転倒、骨折、入院、死亡リスクへの効果のメタアナリシス・システミック・レビュー

40の長期RCT、21,868名被検者
多要素トレーニング:バランス運動を含む

運動は、転倒、外傷性転倒リスクを減少示すが、骨折リスク減少有意性示せず
さらには、頻回転倒、入院、死亡リスク減少示せず

運動は万能というわけではなさそうだ


だが、結論は「 高齢者にとって、長期的運動は、転倒、外傷性転倒リスクを減少させ、骨折リスク減少の可能性有り。この効果は心臓・代謝疾患や神経疾患を有する高齢者を含む


Association of Long-term Exercise Training With Risk of Falls, Fractures, Hospitalizations, and Mortality in Older Adults
A Systematic Review and Meta-analysis
Philipe de Souto Barreto,  et al.
JAMA Intern Med. Published online December 28, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.5406


運動の死亡率・入院リスクへの関連




運動の(A)転倒者、(B)多数回転倒者リスクの関連性
Weights are from random effects analysis.



外傷性転倒、骨折



大雑把すぎるが、運動は転倒予防になるのは確か ・・・ それ以上の効果は運動のstructureやsuperviseを含め今後検討が必要



COPD:GWAS locus研究 FAM13Aの意義

CRISPR editing confirmed the allele-specific effectなどを用い、COPDのFAM13A内の機能的variant同定検証

よく分からんが、Wnt / β-Catenin Signalingと関連するようだ・・・


FAM13A遺伝子の 100kB超領域がCOPDと関連する最も早期に発見され強いGWAS相関が見られた領域

 Identification of a chronic obstructive pulmonary disease genetic determinant that regulates HHIP. Hum Mol Genet 2012;21:1325–1335.
GWASシグナルに対応する疾患原因遺伝子変異領域のbroad association peakをFAM13Aの機能として特性化させた
βカテニンの分解を開始、肺胞上皮細胞修復・再生に重要で、Fam13a -/-マウスでは喫煙誘発気腫抵抗性で、肺内のβカテニン増加と関連


FAM13A内の45の調節性variantをMPRAで同定 、うち6つを優性的に検討
3つのCOPD関連variantでallele-specific activityとして示され、うち一つのrs2013701をCRISPR-basedゲノム編集によるendogenous genomic context内検証し、 FAM13A発現のallele-specificな影響と細胞増殖、機能的特性に関与することがCOPD関連変異で示された



Identification of Functional Variants in the FAM13A Chronic Obstructive Pulmonary Disease Genome-Wide Association Study Locus by Massively Parallel Reporter Assays
Peter J. Castaldi ,et al.
AJRCCM Vol. 199 , No. 1 Jan 01,2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201802-0337OC       PubMed: 30079747





GWAS同定された20近くののsusceptibility loci
例えば

  • moderate-to-severe COPD near RIN3
  • severe COPD near MMP12 and TGFB2

Risk loci for chronic obstructive pulmonary disease: a genome-wide association study and meta-analysis
Lancet Respir Med. 2014 Mar; 2(3): 214–225.
Published online 2014 Feb 7. doi: 10.1016/S2213-2600(14)70002-5
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4176924/


HHIP

Hum Mol Genet. 2015 Feb 15; 24(4): 1200–1210.Published online 2014 Oct 14. doi: 10.1093/hmg/ddu525

AGER
Systematic dissection and optimization of inducible enhancers in human cells using a massively parallel reporter assay. Nat Biotechnol 2012;30:271–277.

2018年12月28日金曜日

明らかな心血管疾患がある場合やリスク高度の患者以外の2型糖尿病患者に、DPP-4阻害剤第2選択で何が悪い!

日本の糖尿病ガイドラインは世界の非常識で、2型糖尿病の第1選択はメトホルミンというのが相場

で、第2選択は・・・という話

プライマリアウトカムを第二次選択薬剤開始後の1回目の心血管イベント発症までの期間とした比較として、複合指標(心血管状況:うっ血性心不全、卒中、虚血性心疾患、末梢動脈疾患)

DPP-4阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、SGLT-2阻害剤、チアゾリジン系(TZDs)、basal インスリン、SU剤、メグリチニド(後にSU剤として両者とも含めた)
DPP-4阻害剤を全ての解析の比較対照とした

Association of Second-line Antidiabetic Medications With Cardiovascular Events Among Insured Adults With Type 2 Diabetes
Matthew J. O’Brien, et al.
JAMA Netw Open. 2018;1(8):e186125.
doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.6125

2型糖尿病保険加入成人 132,737(男性 55%、年齢 45-64歳 58%、白人 63%)、169,384人年フォローアップ中 3480心血管イベント発生

初回心血管イベント、保険カバー終了、ICD9からICD-9 coding の終末への移行、フォローアップ2年経過で打ち切り

患者・処方者・健康プラン特性補正後、GLP-1開始後の複合心血管イベントがDPP-4阻害剤よりリスク低い (ハザード比 [HR], 0.78; 95% CI, 0.63-0.96)が、この知見は完ドブ咳では有意性なし
SGLT-2阻害剤、TZDs治療開始後の心血管イベント発生率は両者ともDPP-4阻害剤比較で統計的差を認めず (HR, 0.81; 95% CI, 0.57-1.5、0.92; 95% CI, 0.76-1.11)

心血管イベントリスクでDPP-4阻害剤と差がついたのはSU剤 (HR, 1.36; 95% CI, 1.23-1.49)とbasal insulin (HR, 2.03; 95% CI, 1.81-2.27)




結論としては、「メトホルミンを第1選択とした2型糖尿病の場合、第2選択をDPP-4阻害剤とした場合に比較して、他の薬剤を第2選択とした場合は、治療開始後心血管イベントリスクは、明らかにSU剤、basal insulinでリスク増加するも、GLP-1受容体アゴニスト、SGLT-2阻害剤は同等であった」



明らかな心血管疾患がある場合やリスク高度の患者以外の2型糖尿病患者に、DPP-4阻害剤第2選択で何が悪い!・・・と言って良いのだろうか?


2018年12月27日木曜日

好気的運動:認知機能減少成人で実行機能改善効果

DASH食指導も有意差もう少しというところで、検出パワーなど検討必要と思う

明確に有意差みとめたのは、好気的運動で、認知機能に問題があるが認知症ではない心血管疾患リスクを有する成人で効果有り


認知機能低下傾向ある場合、自らというよりは社会的に


Lifestyle and neurocognition in older adults with cognitive impairments
A randomized trial
James A. Blumenthal, et al.
Neurology, First published December 19, 2018,
DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000006784


目的 認知症を伴わない認知障害( cognitive impairments with no dementia (CIND) )と心血管疾患(CVD)を有する成人における実行機能障害への、好気的運動  aerobic exercise (AE) とDietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) dietの独立した効果と付加的効果を判定

研究方法 2-by-2 factorial (exercise/no exercise and DASH diet/no DASH diet) randomized clinical trial
CIND及びCVDリスク要素を有する運動不足男女160名(55歳超)
被検者を、好気的運動(AE)、DASH diet栄養カウンセリング、あるいは両方、あるいは健康教育(HE)を6ヶ月間
プライマリエンドポイント:実行機能事前設定複合測定
セカンダリアウトカム:言語/会話流暢性、記憶、 modified Clinical Dementia Rating Scaleのrating

結果 好気的運動 AE割り付け被検者では、有意な実行機能ドメインの改善認めた(d = 0.32, p = 0.046)が、DASH食群では有意ではなかった (d = 0.30, p = 0.059)

AE及びDASH食併用群 (d = 0.40, p = 0.012) では健康教育群より大幅な改善が見られた

好気的フィットネス多いほど (b = 2.3, p = 0.049)、 CVD risk減少多いほど (b = 2.6, p = 0.042)、塩分摂取量減少するほど (b = 0.18, p = 0.024)実行機能改善と相関

記憶、言語/会話流暢性ドメインへの有意改善示せず


結論 予備的知見だが、好気的運動は認知機能減少を伴う成人において実行機能改善を示す

ClinicalTrials.gov identifier NCT01573546.

エビデンス分類: This study provides Class I evidence that for adults with CIND, AE but not the DASH diet significantly improves executive functioning.

Received May 19, 2018.
Accepted in final form September 18, 2018.



 実行機能とは、複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム、あるいはそれら認知制御機能の総称である[1]。特に、新しい行動パタンの促進や、非慣習的な状況における行動の最適化に重要な役割を果たし、人間の目標志向的な行動を支えているとされ[2]、その神経基盤は一般に前頭前野 (prefrontal cortex) に存在すると考えられている[3][4]。代表的な行動課題には、ウィスコンシン・カード分類課題やストループ課題(ストループ効果)などがある。
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%AE%9F%E8%A1%8C%E6%A9%9F%E8%83%BD

2018年12月25日火曜日

短鎖脂肪酸(SCFA):プロピオン酸の高血圧による臓器障害防御効果

脂肪酸:プロピオン酸は、反芻動物のみと思っていたが、腸内細菌叢から食事繊維から生成されるようだ

プロピオン酸は高血圧の影響からの防御効果。腸管内細菌叢はビタミンを含む必須微量栄養素供給をもたらすことが判明していたが、腸管内細菌叢がその産生に大きく関与しており、食物繊維の有用性を従来考えられたことと別の観点から示した。




ほぼ全部Google翻訳

The Short-Chain Fatty Acid Propionate Protects from Hypertensive Cardiovascular Damage
Hendrik Bartolomaeus , et al.
Originally published4 Dec 2018Circulation. 2018;0
open access : https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/CIRCULATIONAHA.118.036652


背景:高血圧症と臓器合併症はT細胞介在性炎症性疾患の特徴を示す。実験的抗炎症療法で高血圧による終末臓器障害改善を示す。最近、インターロイキン1βを標的とするCANTOS研究により抗炎症療法による心血管リスク減少実証。腸ミクロバイオームは、免疫恒常性および心血管の健康において極めて重要な役割を果たす。Short-chain fatty acid: 短鎖脂肪酸(SCFA)は、腸内細菌によって食物繊維から生成され、宿主の免疫恒常性に影響を与える。ここでは、高血圧性心血管障害の2つの異なるマウスモデルにおけるプロピオン酸SCFAの効果を検討。 
方法:高血圧性心臓損傷およびアテローム性動脈硬化症に対するSCFAの効果を調べるために、野生型NMRI(WT)またはApoE  -/- 欠損マウスにプロピオン酸塩(200mM)または飲用水中の対照を投与した。高血圧を誘発するために、WTマウスに14日間アンジオテンシン(Ang)II(1.44mg / kg /日皮下注射)を注入した。アテローム性動脈硬化症の発症を促進するために、ApoE  -/- 欠損マウスに28日間AngII(0.72mg / kg /日皮下)を注入した。心臓損傷およびアテローム性動脈硬化症は、組織学、心エコー検査、インビボ電気生理学、免疫蛍光法、およびフローサイトメトリーを使用して評価した。血圧はラジオテレメトリーにより測定した。 PC61抗体を用いた調節性T細胞(Treg)枯渇を用いてプロピオン酸の作用機序を調べた。 
結果:プロピオン酸塩は、両モデルにおいて心肥大、線維症、血管機能障害、および高血圧症を有意に軽減した。心室性不整脈に対する感受性は、プロピオン酸塩投与AngII注入WTマウスにおいて有意に減少した。大動脈のアテローム性動脈硬化症の病変面積は、プロピオン酸塩投与ApoE  -/- 欠損で有意に減少した。全身性炎症はプロピオン酸治療により軽減され、両モデルにおける脾臓エフェクターメモリーT細胞頻度および脾臓ヘルパーT細胞の減少、ならびにWTマウスにおける局所心臓免疫細胞浸潤の減少として定量化された。プロピオン酸塩の心保護効果はTreg欠乏AngII注入マウスで無効にされ、その効果はTreg依存的であることが示唆された。

 結論:SCFAの免疫調節的役割と心血管の健康に対する重要性が強化された。増強されたSCFA産生をもたらす生活様式の修正が、高血圧性心血管疾患を有する患者にとって有益な非薬理学的予防戦略であり得ることを示唆している。

 キーワード:アンジオテンシンII。 APOE;炎症;免疫学代謝物マイクロバイオーム。短鎖脂肪酸制御性T細胞Th17細胞。細菌代謝物

2018年12月22日土曜日

システミック・レビュー:敗血症へのステロイド治療

【敗血症とステロイド】
様々トライアル結果の解説がなされていると思う


論文序文「敗血症発生率は人口10万人対535、院内死亡率 30-45%に及ぶ。初期血行動態・呼吸器系サポートと適切な抗生剤使用とともに、ステロイドの敗血症治療是非」

序文では2つの報告、 Activated Protein C and Corticosteroids for Human Septic Shock (APROCCHSS) trial( hydrocortisone plus fludrocortisone の低用量)で90日めの死亡率減少、 Adjunctive Corticosteroid Treatment in Critically Ill Patients with Septic Shock (ADRENAL) trial( 人工換気下でのcontinuous infusion of hydrocortisone)で死亡率低下認めずという相反する報告

病態重症度が異なり、ステロイドの種類も異なり、同じ土壌で評価されたものではない
・・・ということでまだ五里霧中の世界

その中でのシステミック・レビュー


キーポイント
疑問:コルチコステロイドは敗血症患者の28日死亡率減少と関連するか?
知見:敗血症9564名37のRCTのシステミック・レビュー&メタアナリシスでコルチコステロイド投与は28日死亡率減少と関連。コルチコステロイドはまたday7でのショック改善率も高めr、ICU滞在期間減少、day7のSequential Organ Failure Assessment scoreの改善、ショック消失までの期間減少を示した。
意義:これらの所見から、敗血症患者のコルチコステロイド投与は、医療アウトカム改善有意で、28日死亡率減少をもたらす



Association of Corticosteroid Treatment With Outcomes in Adult Patients With Sepsis
A Systematic Review and Meta-analysis
Fang Fang, et al.
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.5849
18歳以上成人、敗血症・重症敗血症、敗血症性ショック、それらの組み合わせ診断
ステロイドは種類限定せず

プライマリアウトカム:28-day死亡率、院内・ICU死亡率


敗血症9564名37のRCT
11トライアルはバイアスリスクrating低い

コルチコステロイド使用は28-day死亡率減少と関連 (RR, 0.90; 95% CI, 0.82-0.98; I2 = 27%) 、 ICU死亡率減少(RR, 0.85; 95% CI, 0.77-0.94; I2 = 0%) 、院内死亡率減少  (RR, 0.88; 95% CI, 0.79-0.99; I2 = 38%)
コルチコステロイドはday7でのショック回復増加 (MD, 1.95; 95% CI, 0.80-3.11) と相関、昇圧剤不要日数 (MD, 1.95; 95% CI, 0.80-3.11)、ICU滞在期間 (MD, −1.16; 95% CI, −2.12 to −0.20)、day7のSOFAスコア (MD, −1.38; 95% CI, −1.87 to −0.89)、ショック改善までの期間 (MD, −1.35; 95% CI, −1.78 to −0.91)の減少認めた

しかし、コルチコステロイドは高血糖リスクa (RR, 1.19; 95% CI, 1.08-1.30)と高ナトリウム血症 (RR, 1.57; 95% CI, 1.24-1.99)と関連



私の記憶が確かなら


2018年12月21日金曜日

ナッツ類摂食:男性では小細胞癌リスク減少

種実(ナッツ):クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなど

これらと肺癌リスクの関連



Nut and peanut butter consumption and the risk of lung cancer and its subtypes: A prospective cohort study
Lisette Nieuwenhuis , et al.
Lung Cancer
Open Access
DOI: https://doi.org/10.1016/j.lungcan.2018.12.018 
https://www.lungcancerjournal.info/article/S0169-5002(18)30715-3/pdf



フォローアップ 20.3年間
1986年、55-69歳の120,852名の食事・ライフスタイル習慣アンケート
多変量コホート解析

ナッツ総摂取量は、男女とも、癌リスクと有意相関認めず
小細胞癌では、ナッツ総摂取量と有意逆相関が、詳細な喫煙習慣補正後男性で観察 (HR (95%CI) for 10+ g/day vs. 対非摂食 : 0.62 (0.43-0.89), p-trend: 0.024)

小細胞癌の逆相関が、男性においてはtree nutとピーナッツ摂食の連続指標解析で見られた  (1日5g量増加毎 HR (95%CI) : 0.70 (0.53-0.93) 、 0.93 (0.88-0.98))

他の肺癌サブタイプでは、男性では有意な相関認めず

女性ではナッツ摂食は肺癌サブタイプのリスクと相関認めず、ピーナッツバター摂食での相関は両性で見られず


結論:ナッツ摂食増加により小細胞癌予防効果の可能性が男性では存在。他の肺癌サブタイプでは相関見られず、女性、ピーナッツでも相関認めず。



乳製品全体は全死亡・脳血管疾患死亡リスク低下するも、ミルクは心血管疾患リスク増加と関連

脳血管に関してはミルクを含め乳製品は死亡率低下と関連
だが、ミルクだけに限れば心臓疾患死亡リスク増加と関連の可能性


Consumption Of Dairy Product And Its Association With Total And Cause Specific Mortality - A Population-Based Cohort Study And Meta-Analysis
Moshen Mazidi , et al,  on behalf of the Lipid and Blood Pressure Meta-analysis Collaboration (LBPMC) Group
Clinical Nutrition 
DOI: https://doi.org/10.1016/j.clnu.2018.12.015

NHANESデータ データセット:24474名、 フォローアップ中死亡 3520名

多変量補正Coxモデルにて総死亡率は、乳製品とミルク合算摂取量で、4分位top(Q4)では最小(Q1)に比べ、脳血管死亡率リスクは低い (ハザード比 [HR] 0.98, 95% 信頼区間 [CI]: 0.95-0.99)
そして、チーズ摂取でも同様 HR: 0.92, 95%CI: 0.87-0.97)

同じモデルで、乳製品摂取量とミルク摂取量は、各々も脳血管死亡率は負の相関 (HR: 0.96, 95%CI: 0.94-0.98, HR: 0.93, 95%CI: 0.91-0.96)
一方、ミルク摂取量は心血管疾患死亡率増加と相関 (HR: 1.04, 95%CI: 1.02-1.06)

636,726名のメタアナリシスでは、発酵乳製品と総死亡率の負の相関示唆 (RR: 0.97, 95%CI: 0.96-0.99)
一方、ミルク摂取は心血管疾患死亡率増加と関連 (RR: 1.04, 95%CI: 1.01-1.05)



これら知見は感度分析でも確認

結論:米国成人において、乳製品全体ではその摂取量増加は死亡率全体、脳血管疾患死亡率低下と関連する、一方、ミルク摂取は心血管疾患リスク増加と関連
米国内公衆衛生助言としては、乳製品全体の摂取量を減らすことは含まれるべきでない。しかし、ミルク摂取と心血管リスクの関連性は今後検討されるべき



以前の報告から・・・牛乳摂取で懸念されていた具体的記述

牛乳摂取量と炎症性サイトカインの関連性
セイブンとしてのD-ガラクトースが実験的には加齢モデルとして用いられ、酸化ストレス障害、慢性炎症、神経炎症、免疫応答低下、遺伝子転写への影響をもたらし、D-ガラクトース皮下注は100 mg/kg、ヒトにおいては1−2杯の牛乳に相当。

Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies
BMJ 2014; 349 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.g6015 (Published 28 October 2014)
Cite this as: BMJ 2014;349:g6015
https://www.bmj.com/content/349/bmj.g6015






SGLT-2阻害剤:一過性腎機能低下、長期的腎機能保護作用

SGLT2阻害剤投与後一過性eGFR低下は1−6週間続くが、予防的手立てはあるのだろうか? 飲水による予防効果に関してはcontrovertialと思うが・・・


The Renoprotective Effects of SGLT2 Inhibitors versus Placebo in Patients with Type 2 Diabetes with or without Prevalent Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis
Chen Wang, et al.
Diabetes, Obesity and Metabolism December 20, 2018
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/dom.13620?referrer_access_token=KPEhpLyi_E842d5rDEv7oota6bR2k8jH0KrdpFOxC67Yg6okzr0oIGUxUtJEZA8uyKt-14stKIXcMliYXhXP5SyhevPwsRyqNP0e0Q3mF5WQdKPMzjuUloGl276jrxtp

被検者43721名を含む25研究
治療早期、eGFRの軽度低下(WMD -4.63; 95% CI, -6.08〜 -3.19 mL/min/1.73 m2その後1−6週間観察されるが、その後経時的に影響狭まり、長期には減少から防御的となる (WMD, 3.82; 95% CI, 2.80 to 4.85 mL/min/1.73 m2)

SGLT2阻害剤はアルブミン尿を遅延  (RR, 0.71; 95%CI, 0.66 to 0.76) し、アルブミン尿改善を促進 (RR,1.71; 95%CI, 1.54 to 1.90)、eGFR減少・腎機能置換療法必要性、腎疾患死亡率の組み合わせアウトカムを改善 (RR,0.57; 95%CI, 0.49 to 0.66)し、全死亡率減少 (RR,0.84; 95%CI, 0.75 to 0.94)
一方、性器感染リスク増加する  (RR,3.43; 95%CI, 2.87 to 4.10)
メタ回帰解析にて、eGFR-保護効果は、患者の基本特性(年齢、BMI、HbA1c、eGFR値)と相関せず、薬剤投与要素(SGLT2阻害剤の治療期間、タイプ、投与量)にて影響を受ける
サブグループ解析にて、対プラシーボ腎アウトカムへの関連影響はeGFRサブグループ横断的に同等(P heterogeneity > 0.05)



Forest plot for incidence of renal composite (a composite of a sustained 40% reduction in eGFR, the need for renal-replacement therapy and death from renal causes). The left favours SGLT2is and the right favours placebo. Abbreviations: CI, confidence interval; RR, risk ratio.


2018年12月20日木曜日

高血圧:運動は降圧剤治療に匹敵?

運動 vs 降圧剤というガチンコ検討なされてないし、また、運動による降圧効果検証は高血圧患者に対して検証不十分

利用できるデータで推定すれば、表題如く、通常の降圧治療に匹敵するのではないかというご賢察


How does exercise treatment compare with antihypertensive medications?
A network meta-analysis of 391 randomised controlled trials assessing exercise and medication effects on systolic blood pressure
Naci H, et al.
Br J Sports Med 2018;0:1–12.
doi:10.1136/bjsports-2018-099921
https://bjsm.bmj.com/content/bjsports/early/2018/12/05/bjsports-2018-099921.full.pdf

目的:収縮期血圧への運動regimenと薬物の効果比較

Data sources: Medline (via PubMed) and the Cochrane
Library.

登録クライテリア:ACE-i、ARB、、β遮断剤、CCB、利尿剤を含むRCT
運動介入の発表済メタ解析をアップデートし、endurance、dynamic resistance、isometric resistance、enduranceとresistance exercise組み合わせの収縮期血圧降下効果検証 (up to September 2018)

デザイン:ランダム効果ネットワークメタアナリシス

アウトカム:ベースライン収縮期血圧平均値比較:95%信頼区間(95% Crl)、mmHg表示

結果:RCT総数 391、運動介入評価 197(被検者10,461)、降圧剤評価(被検者 29,281)
運動 vs 薬物直接比較RCTはなし
薬物療法全ては高血圧患者、運動トライアル 56だけが高血圧患者( 140 mm以上)で、比較 3508人。10%ランダムサンプルのうちバイアスリスク型各ブライド化不十分、アウトカムデータ不十分のためとされた
連結解析ベースライン収縮期血圧は降圧剤では運動介入に比べ低下
差平均 −3.96mmHg, 95% CrI −5.02 to −2.9

対照に比較して、タイプを問わない全ての運動(enduranceとresistanceの組み合わせ含む)と全てのクラスの降圧剤ではベースライン収縮期血圧低下は効果的

高血圧患者において、enduranceあるいはdynamic resistance運動と比較したとき、ACE-i、ARB、β遮断剤、利尿剤での収縮期血圧低下の検出可能な差は認めず
直接・間接比較間で検出可能な不一致性は認めず
small-study effectのエビデンスあったが、薬物療法、運動療法共に認められた

結論:収縮期血圧への運動の効果はまだ研究不十分のままで、特に高血圧患者においての検証不十分
すべての住民群横断的に、軽度だが、一定の収縮期血圧低下については一致して確認できたが、構造化運動レジメンに比べ薬物療法群で収縮期血圧低下をもたらす

同等再現推定と仮定すると、高血圧患者の運動による降圧効果は通常の降圧薬物治療と同等になるのではないか?リアルワールドの臨床状況でこの知見が一般化されるか評価されるべき








2型糖尿病もそうだけど、メーカーなどのスポンサーの少ないトライアルは数も質も乏しくなる

2018年12月19日水曜日

1日1回LAMA レベフェナシン 米国FDA認可



Theravance Biopharma and Mylan Receive FDA Approval for YUPELRI™ (revefenacin) in Adults with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
http://newsroom.mylan.com/2018-11-09-Theravance-Biopharma-and-Mylan-Receive-FDA-Approval-for-YUPELRI-TM-revefenacin-in-Adults-with-Chronic-Obstructive-Pulmonary-Disease

JAMA誌解説
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2718777


2つの第3相試験、1225名の中等・重症COPDを revefenacin 88μg、175μg vs プラシーボランダム化、12週後、FEV1の介入薬剤統計学的臨床的改善。副作用頻度の多いのは咳嗽、鼻咽頭炎、上気道感染、頭痛


Efficacy and safety of revefenacin (REV), a long-acting muscarinic antagonist for nebulization: results of replicate randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group phase 3 trials in participants with moderate to very severe COPD
Gary Ferguson, Krishna K. Pudi, Gregory Feldmann, Srikanth Pendyala, Chris N. Barnes, Edmund J. Moran, Glenn Crater, Brett Haumann
European Respiratory Journal 2017 50: PA1812;
DOI: 10.1183/1393003.congress-2017.PA1812


52週間安全性トライアル 1055名 revefenacin 88μg、175μg vs プラシーボランダム化、175μg群がプラシーボ・ 88μg群に比べCOPD急性増悪減少。副事象は12週間トライアルと同様口腔内乾燥頻度はrevefenacin群で少ない

Revefenacin, a Once-Daily, Long-Acting Muscarinic Antagonist for Nebulized Therapy of Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD): Results of a 52-Week Safety and Tolerability Phase 3 Trial in Participants with Moderate to Very Severe COPD
E.M. Kerwin,  et al.
ATS Conferences ATS 2018  B102. CLINICAL TRIALS AND STUDIES IN COPD





日本で治験されてない?
ネブライザーのみ可能な症例って結構多いと思うのだけど・・・マーケット形成できないのだろうか?

米国AASLD非アルコール性脂肪肝ガイドライン総説

American Association for the Study of Liver Diseasesのガイドライン

The diagnosis and management of nonalcoholic fatty liver disease: Practice guidance from the American Association for the Study of Liver Diseases
Naga Chalasani  Zobair Younossi  Joel E. Lavine  Michael Charlton  Kenneth Cusi  Mary Rinella Stephen A. Harrison  Elizabeth M. Brunt  Arun J. Sanyal
First published: 17 July 2017 https://doi.org/10.1002/hep.29367 Cited by: 194
https://aasldpubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/hep.29367

これの解説だが結局判明したこと少なすぎて曖昧な部分が多い
コーヒー摂取のメリット、GLP-1アゴニスト、オベチコール酸、エラフィブラノールなどを含め様々な治療薬物のベネフィット検討されている
脂肪肝と肝線維化同定するためのより正確なバイオマーカーを待ち望んでいるがNICEでは候補あるも米国内で確立していない




JAMA Clinical Guidelines Synopsis December 18, 2018
Diagnosis and Management of Nonalcoholic Fatty Liver Disease
Sonali Paul, et al.
JAMA. 2018;320(23):2474-2475. doi:10.1001/jama.2018.17365


AJOR RECOMMENDATIONS
• Patients with incidental hepatic steatosis detected on imaging who lack any liver-related symptoms or signs and have normal liver biochemistries should be assessed for metabolic risk factors (eg, obesity, diabetes mellitus, dyslipidemia) and other causes of hepatic steatosis, including alcohol consumption (>14 drinks per week for women; >21 drinks per week for men) and medications. ;肝臓関連徴候症状がなく、正常な肝生化学所見の場合、メタボリックリスク要素(e.g. 肥満、糖尿病、脂質異常)や他の脂肪肝原因(アルコール摂取:週間 女性14ドリンク、男性 21ドリンクを超す場合、薬剤使用)を評価すべき

• Routine screening for NAFLD in high-risk groups is not advised because of uncertainties surrounding diagnostic tests and treatment options, along with lack of knowledge about long-term benefits and cost-effectiveness of screening.;高リスク群のNAFLDルーチンスクリーニングは助言せず、診断検査・治療オプションの正確性欠如のため、そして、スクリーニング長期ベネフィット・コスト効果についての知識欠如故

• The FIB-4 (age, aspartate aminotransferase, alanine aminotransferase, platelets) and NAFLD Fibrosis Score (NFS, which adds body mass index and albumin) are clinically useful tools to predict bridging fibrosis.;FIB-4(年齢、AST、ALT、血小板)とNAFLD Fibrosis Score((NFS, BMIとアルブミンを追加した指標)はbridging fibrosisの臨床的有用なツールである

• Vibration-controlled transient elastography (VCTE) or magnetic resonance elastography (MRE) can noninvasively assess for advanced fibrosis.;超音波エラストグラフィーの一つであるVibration-controlled transient elastography(VCTE)やMREは進行期線維化の非侵襲的なアクセスとなり得る

• Weight loss generally reduces hepatic steatosis, either by hypocaloric diet alone or in conjunction with increased physical activity.;一般的には体重減少は脂肪肝を減少させ、低カロリー食単打奥や身体活動増加を組み合わせることでなされる

• Pharmacologic treatments should be limited to patients with biopsy-proven nonalcoholic steatohepatitis (NASH) and advanced fibrosis.;薬物的治療は、生検確認NASHと進行期線維化に限定すべき

• Statins can be used to treat dyslipidemia in patients with NAFLD, NASH, and compensated NASH cirrhosis.;スタチンはNAFLD、NASH、代償性NASH肝硬変患者の脂質異常治療として用いられる可能性



Related guidelines and other resources
FIB-4 score
http://gihep.com/calculators/hepatology/fibrosis-4-score/
NAFLD Fibrosis Score
http://gihep.com/calculators/hepatology/nafld-fibrosis-score/
NICE NAFLD guidelines (2016)
https://www.nice.org.uk/guidance/ng49
European NAFLD consensus guidelines (2016)
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-016-3902-y


2018年12月18日火曜日

心不全患者においては、COPDの治療状況と気流制限程度が死亡・入院に大きく寄与する

COPDガイドラインに従った治療であることが前提の解釈だと思う。

心不全患者においては、COPDの治療状況と気流制限程度が死亡・入院に大きく寄与する・・・という旨の報告になっている

心不全診断・入院時にスパイロメトリしてくれたらなぁ・・・と思う

Association of Medication Intensity and Stages of Airflow Limitation With the Risk of Hospitalization or Death in Patients With Heart Failure and Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Claire A. Lawson,et all.
open access  JAMA Netw Open. 2018; 1(8):e185489.
doi: 10.1001/jamanetworkopen.2018.5489
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2718091


意義:心不全 (HF)、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)は共にアウトカム悪化リスク増加させるが、COPD重症度の影響は道。高リスク群テイラー化早期介入の重要性意義

目的:COPD指定薬物強度もしくは気流制限病期と、心不全患者の入院・死亡リスクの関連性検証

デザイン・セッティング・被検者  この英国住民ベースnested症例対照研究をClinical Clinical Practice Research Datalink linked to Hospital Episode Statisticsを用いたリスク状況サンプリングで検証 2001年1月1日〜2014年1月1日

被検者 40歳以上家庭医臨床記録内新規心不全診断、データ解析は2017年から2018年において行われた

暴露  心不全患者のうち、COPD有無比較。GOLDガイドラインに基づく層別化、自動処方記録に基づく7つの薬剤強度値レベル、FEV1データルーチン要求による4つの気流制限病期で分類

主要アウトカムと測定項目 全ての初回入院、全原因死亡

結果 新規心不全50114名(年齢中央値 79歳 IQR 71-85歳)、女性 46%
心不全患者において、COPDの存在(18 478 [13.8%])は有意に死亡率増加と関連  (補正オッズ比 [AOR], 1.31; 95% CI, 1.26-1.36) 、入院も増加 (AOR, 1.33; 95% CI, 1.26-1.39)

3つの重症薬剤強度レベルは死亡率増加と有意関連

  • full inhaler therapy (AOR, 1.17; 95% CI, 1.06-1.29) から 
  • 経口ステロイド (AOR, 1.69; 95% CI, 1.57-1.81) 
  • 酸素療法 (AOR, 2.82; 95% CI, 2.42-3.28)


各々の入院への推定値は ORs  1.17 (95% CI, 1.03-1.33)、 1.75 (95% CI, 1.59-1.92)、 2.84 (95% CI, 1.22-3.63)

スパイロメトリでの検討ではデータ不足していたが、気流制限は死亡リスク増加と関連し、FEV1 80%以上 AORs 1.63 (95% CI, 1.42-1.87)、 50%-79% 1.69 (95% CI, 1.56-1.83) 30%-49% 2.21 (95% CI, 2.01-2.42)、30%未満  2.93 (95% CI, 2.49-3.43).

FEV1と入院リスクの関連性強度はFEV1によるstageで同様 FEV1 80%以上 (AOR, 1.48; 95% CI, 1.31-1.68) から FEV1 30%未満 (AOR, 1.73; 95% CI, 1.40-2.12)

結論と知見  UK HF 住民研究では、COPD重症度は死亡リスク・入院リスクと相関
指定COPD薬物強度と気流制限が高リスク群ターゲットの基礎となり得る





で、CLAIM試験

LABA/LAMAにより残気量低下→左室駆出量増加!

Effect of lung deflation with indacaterol plus glycopyrronium on ventricular filling in patients with hyperinflation and COPD (CLAIM): a double-blind, randomised, crossover, placebo-controlled, single-centre trial
The Lancet Respiratory Medicine, Vol.6 ,No5 , P368-378, MAY 01, 2018
DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30054-7

Figure 3: Effect of indacaterol–glycopyrronium on cardiac function and hyperinflation
Analysis of mean (A) left ventricular end-diastolic volume indexed to body surface area (mL/m2), (B) left ventricular stroke volume indexed to body surface area (mL/m2) and (C) residual volume (L) in the per-protocol set by treatment.
 The ANOVA model calculated outcome from treatment plus patient plus period with the patient included as a random effect. 
The change for indacaterol plus glycopyrronium compared with placebo was statistically significant. Data are the least-squares (LS) means treatment difference compared with placebo. 
LV-EDV=left ventricular end-diastolic volume. LV-SV=left ventricular stroke volume.



拡張剤は、inotropicによる心毒性懸念されるが、心負担をかけているだけではない・・・という安心報告



FLAMEだったり、CLAIMだったり、シネ(SHINE)だったり 臨床治験ネーミングがおもしろい会社がある

2018年12月17日月曜日

白米と2型糖尿病 シンガポール中華人では関連性認めないそうな・・・

白米は2型糖尿病悪化要素
White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review
BMJ 2012; 344 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.e1454 (Published 15 March 2012)



ところが 横断研究、シンガポール中華人の報告では、その関連性明らかではなかった。



Rice intake and risk of type 2 diabetes: the Singapore Chinese Health Study
Jowy Y. H. , et al.
European Journal of Nutrition 10, Dec. 2018 pp 1–12


目的:2型糖尿病(T2D)有病率はアジア人で増加。白米が主食(common staple food)で白米消費がT2Dリスク増加を示唆する報告もあるが、ライス、ヌードル、パン食が中国人種でT2Dリスクと相関するか

方法:シンガポール中国人、45,411 男女研究コホート( Singapore Chinese Health Study)、ベースライン45–74歳。ベースライン通常食を165-項目semi-quantitative food frequency questionnaireで検討。医師診断T2D自己報告2回インタビュー。


結果:11年間フォローアップ、 T2D発症 5207

食事摂食量ばらつき大きい;両端 5分位 236.5 g/日 vs 649.3g/日
しかし、米食はT2Dリスクと相関せず[5分位HR , 0.98 (95% CI 0.90, 1.08)]

但し、米の代わりの食品に正確なリスクは依存する
ライスの代わりにヌードル(麺類)へ置き換えるとHR 1.14 (95% CI 1.07, 1.22)と増加
同様、レッドミートだとHR 1.40 (95% CI 1.23, 1.60)、家禽類だとHR 1.37 (95% CI 1.18, 1.59)とT2Dリスク増加



米食の代わりに、パンだと HR 0.90  (95% CI 0.85, 0.94)、全粒パンだとHR 0.82 (95% CI 0.75, 0.90)というようにT2Dリスク減少



結論:中国民族にとって米の摂取量増加はT2Dリスク増加と相関せず
白米摂取多いヒトはT2DM予防のためには代替食品次第



discussionにもあるが、 麺類多食がめだつ民族らしい


韓国・加湿器殺菌剤事件その後・・・喘息リスク増加

こっそり、興味もっていた事件


加湿器殺菌剤事件で文在寅・韓国大統領が謝罪 2017.8.8 18:17
https://www.sankei.com/world/news/170808/wor1708080034-n1.html

HDLI:humidifier disinfectant-induced lung injuryという呼称らしい急性肺障害

Humidifier disinfectant-associated children's interstitial lung disease.
American journal of respiratory and critical care medicine 2014; 189: 48-56.
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201306-1088OC

その後、加湿器販売中止前後の比較

Exposure to Humidifier Disinfectants Increases the Risk for Asthma in Children
Jisun Yoon ,et al.
AJRCCM  Vol. 198, No. 12 | Dec 15, 2018
https://doi.org/10.1164/rccm.201805-0840LE     
PubMed: 30192634
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201805-0840LE

Panel Study of Korean Children (PSKC) studyで、3歳未満の急性細気管支炎発症及び加湿器暴露小児では12ヶ月内の喘息リスク有意増加 (aOR, 2.25; 95% CI, 1.01–5.00, data not shown)


細気管支炎既往とHD使用要素による4区分比較

12ヶ月以内の喘鳴症状リスク  (aOR, 3.61; 95% CI, 1.93–6.72)、喘息診断既往 (aOR, 4.28; 95% CI, 2.38–7.72)、12ヶ月以内喘息治療 (aOR, 5.07; 95% CI, 2.52–10.20; Table 1) が 気管支炎既往なし群より既往有り群で有意に多い  (trend p value <0 .01="" 1.a="" fig="" p="">

喘息治療発生率は空気清浄機暴露・細気管支炎既往有りで一致して高率で、直近1年間の喘息治療歴は5歳で 5.9%、6歳で 9.6%、7歳で 10.2%
逆に、空気清浄器暴露してない細気管支炎既往小児では直近1年間の喘息治療歴少なく5歳 4.5%、6歳 5.9%、7歳 2.1%



ADAM9はCOPDの病態・病因に広範に関連

ADAM9は急性肺障害や喫煙障害性肺障害ではその役割は知られていた
肺気腫との関連性指摘
1) 肺気腫 (弾力線維分解、肺pneumocyteのアポトーシス過剰、白血球集積増加、特に肺胞マクロファージの増加)
2) 小気道線維化s (上記炎症細胞集積と線維芽細胞/筋線維芽細胞コラーゲン沈着)
3) 慢性気管支炎 (気管支上皮細胞metaplasia増加・気管支炎症増加)
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201805-1012ED?af=R


ということで、ADAM9はCOPDの病態・病因に広範に関連する可能性有り


ADAM9 ADAM metallopeptidase domain 9 [ Homo sapiens (human) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/8754
This gene encodes a member of the ADAM (a disintegrin and metalloprotease domain) family. Members of this family are membrane-anchored proteins structurally related to snake venom disintegrins, and have been implicated in a variety of biological processes involving cell-cell and cell-matrix interactions, including fertilization, muscle development, and neurogenesis. The protein encoded by this gene interacts with SH3 domain-containing proteins, binds mitotic arrest deficient 2 beta protein, and is also involved in TPA-induced ectodomain shedding of membrane-anchored heparin-binding EGF-like growth factor. Several alternatively spliced transcript variants have been identified for this gene. [provided by RefSeq, Jul 2010]




A Disintegrin and Metalloproteinase Domain-9: A Novel Proteinase Culprit with Multifarious Contributions to Chronic Obstructive Pulmonary Disease
 Xiaoyun Wang  et al.
https://doi.org/10.1164/rccm.201711-2300OC
AJRCCM Vol. 198, No. 12 | Dec 15, 2018


研究理由: ADAMs (proteinases with a disintegrin and a metalloproteinase domain)のCOPDでの検討詳細なし

目的: ADAM9がCOPDと関連しているかヒト・マウスで検証

方法: ADAM9 血中・肺内測定値をCOPDと対照被検者で比較、in air- vs cigarette smoke(CS)暴露wild-type マウスでも検証
wild-type 及び Adam9−/− マウスにair かCS暴露 1-6ヶ月、COPD様病態があるか検証

測定と主要結果:ADAM9染色は肺上皮細胞・マクロファージで増加し、喫煙者、COPD患者ではより多く増加、pack-year喫煙歴に直接相関し、気道閉塞 and/or FEV1予測比に逆相関
気道上皮細胞ADAM9 mRNA値はCOPD患者で対象患者より高値、pack-year喫煙歴と直接相関
血中、BAL液、喀痰ADAM9値はCOPDと対照と同等

CS暴露はwild-typeマウス肺内でAdams9値を増加
Adam9-/-マウスは気腫発症、小気道線維化、気道粘液metaplasiaに防御的
CS-暴露Adam9-/-マウスは肺マクロファージ数減少、肺胞隔壁アポトーシス、肺elastin減少、BALF中vascular endothelial growth factor receptor-2 と epidermal growth factor receptor減少と関連


 Recombinant ADAM9は、上皮細胞のepidermal growth factor と vascular endothelial growth factor receptorが脱落、Akt prosurvival pathwayの活性化現象、細胞アポトーシス増加をもたらす


結論:ADAM9値はCOPD肺で増加し、臨床的変数として鍵
Adam9はマウスで肺気腫発症を促進し、大気道、小気道疾患も促進する
ADAM9抑制は、multiple COPD phenotypeへの治療アプローチとなり得る







2018年12月14日金曜日

牛豚肉レッドミート:カルニチン由来腸内細菌叢TMAO産生で動脈硬化促進

牛や豚肉のような"red meat"ではカルニチンやコリンを多く含む。そして、腸内細菌を介してTMAOのような動脈効果促進性物質増加する

Intestinal microbiota metabolism of L-carnitine, a nutrient in red meat, promotes atherosclerosis
Nature Medicine volume 19, pages 576–585 (2013)


主にカルニチンからの腸内細菌叢によるTMA及びTMAO産生が重要で、コリンからのものではなさそうという報告

「カルニチン」論争再燃?


トリメチルアミン-N-オキシド: trimethylamine N-oxide (TMAO)

食品中に含まれるレシチン(コリン)が腸内細菌によりトリメチルアミン(TMA)に代謝され、さらに肝臓においてFMO酵素によりTMAOへと代謝され、これがマクロファージを変化させアテローム性動脈硬化などの心血管疾患に結びついているとする論文がある。また赤肉などに含まれるカルニチンも同様に腸内細菌-肝臓代謝を経てTMAOとなり、これがアテローム性動脈硬化のリスクを高めているという報告もある。
Wiki


慢性の食事パターン上のTMAOの値、代謝、腎排泄の心血管リスク増加インパクトと腸管microbiotaの中間代謝産物:γ役割ブチロベタイン(γBB)、経口l-カルチニンサプリメントのγBB産生、TMA/TMAOへの異化についての検討


  • TMAO値、代謝、腎排泄へ食事のインパクトは?
  • TMAお値を減少/回復しCVDリスク減少するための介入は存在するか?



 "Impact of chronic dietary red meat, white meat, or non-meat protein on trimethylamine N-oxide metabolism and renal excretion in healthy men and women"
Eur Heart J 2018
DOI: 10.1093/eurheartj/ehy799.

ボランティア(n=113):ランダム化2-arm(高-、低-飽和脂肪)交叉デザイン研究
各々のarmで、3つの4週間等カロリー食(washout期間を各々設ける)を評価
蛋白は25%カロリーmetabolic kitchenで全食事準備
red meat、white meat、非meat蛋白のTMAO代謝への影響を検討

TMAOと他の代謝関連TMAを各食事期間最終で定量化
重isotope tracerにてランダムsubset(n=13)を設定調査

red meat慢性食では、white meatや非meat食とは異なり、血中・尿中TMAO増加(2倍超 P<0.0001)
red meat食はTMAOのfractional腎排出減少(P<0.05)するも、逆にカルニチン排泄増加、2つの腸管microbiota-産生代謝産物carnitine, γ-butyrobetaine,とcrotonobetaineは増加 (P < 0.05)

経口アイソトープ暴露にてred meat、white meat( vs. 非-meat)では、カルニチンからのTMA及びTMAO産生は増加 (P < 0.05)するが、choline. Dietary-saturated fat はTMAOやその代謝産物へインパクトなさなかった


慢性的red meat食では、全身性にTMAO値増加する
(i) 食事由来前駆物質増加
(ii)カルチニンからのmicrobitaによるTMA/TMAO産生増加で、コリン由来ではない 
(iii) 腎TMAO 排泄減少

red meat中止4週間内に血中TMAOは減少する


システミック・レビュー&メタアナリシス;COPD:triple therapy vs dual therapy

triple therapy vs dual therapyの比較だが、必ずしも合剤ではなさそう

急性増悪trple優位で 肺炎リスクに影響は無いような報告だが・・・・?


Triple therapy versus single and dual long-acting bronchodilator therapy in COPD: a systematic review and meta-analysis
Mario Cazzola, et al.
European Respiratory Journal 2018 52: 1801586; 
DOI: 10.1183/13993003.01586-2018

COPD患者におけるICS/LABA/LAMA vs LABA/LAMA、各々の長時間作用型気管支拡張剤単独の比較

ICS/LABA/LAMA併用剤は 対 LABA/LAMA併用剤比較で

  • 急性増悪リスク減少  (相対リスク 0.70, 95% CI 0.53–0.94)
  • FEV1改善 (差平均 in mL +37.94, 95% CI 18.83–53.89) 


3剤併用は対LABA/LAMA比較で急性増悪予防効果は、好酸球 300細胞数/μL以上で最大
(相対リスク 0.57, 95% CI 0.48–0.68)

1年間急性増悪1回回避のための症例数は、

  • ICS/LABA/LAMAでは LABA/LAMA比較で -38
  • 長時間作用型気管支拡張剤単独との比較では -21


ICS/LABA/LAMA併用剤 vs LABA/LAMA併用剤では、1年間あたりperson-based NNTは、好酸球数 300細胞数/μL以上患者で、それ未満の細胞数患者より有意に少ない (NNT値 8.58 vs 46.28)

肺炎リスクは、ICS/LABA/LAMA併用剤と各々の比較では差を認めず
NNH(number needed to harm)としては -195

メタアナリシスにて長時間作用型気管支拡張剤単独、LABA/LAMA併用治療患者は、急性増悪既往ありと血中好酸球数 300/μL以上の症例ではICS/LABA/LAMA併用剤のベネフィット可能性高い








2018年12月13日木曜日

心筋梗塞:クリスマス・新年休暇はリスク高く、イブが最大

既知:西洋社会では、クリスマスと新年休暇に心筋梗塞による死亡・入院のピークがある
心筋梗塞は、フットボールチャンピオン大会、ハリケーン、株式暴落と関連する
情緒的ストレス、身体活動、ライフスタイル変化が心筋梗塞のonsetに影響を与えることが推測される

今回研究知見:16年間の大規模研究で、心筋梗塞の最大リスクはクリスマス/新年休日、夏休日にあり、イースター休日では相関無し
クリスマスイブや、75歳超の高齢、糖尿病冠動脈疾患ある場合リスク高い。




Christmas, national holidays, sport events, and time factors as triggers of acute myocardial infarction: SWEDEHEART observational study 1998-2013
BMJ 2018; 363
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4811 (Published 12 December 2018)
https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4811

目的:心筋梗塞のトリガーとしての概日リズムの観点、国民の休日、主要スポーツイベント
研究デザイン:後顧的観察研究:SWEDEHEART:スウェーデン国内CCUレジストリー

SWEDEHEART 283,014症例(1998−2013)、症状発症は全症例、直近分数時間は88%

クリスマス/新年、イースター、夏休日、FIFA World Cup、UEFA European Championship、冬季・夏季オリンピックゲーム

休日前後2週間を対照期間とし、スポーツイベントに関しては1年前のトーナメント前後同時期を対照とする

概日・circaseptan rhythm(7日周期)解析を日曜・24:00を参照日・時間として比較

発生頻度比率はカウント回帰モデルで解析

主要アウトカム・測定:心筋梗塞の日々カウント


クリスマスと夏休日は心筋梗塞高リスクと関連 (発生頻度比率 1.15, 95% 信頼区間 1.12 to 1.19, P<0 .001="" 1.07="" 1.18="" p="" to="">
相関リスク最大は、クリスマスイブ(1.37, 1.29 to 1.46, P<0 .001="" p="">
イースター休日やスポーツイベントではリスク増加なし


リスクのcircaseptan とcircadian variation は早朝と月曜日リスク高い

75歳以上、糖尿病患者、冠動脈疾患患者で特にリスク深まる


結論:16年間近似分記載症状発症の分かる心筋梗塞入院をカバーする国内リアルワールド研究で、クリスマス、夏休日が最も心筋梗塞リスク高まり、高齢者、疾患を有する場合、脆弱な婆愛に外的トリガーとなる




2018年12月12日水曜日

スタチン心血管疾患リスク一次予防:ベネフィット・リスク

スタチンの心血管疾患一次予防治療は、与太話(薬害煽動左巻きGなど)を含め多くの議論が昔からある。ガイドラインは多く存在するが、ベネフィット・リスクに関わる体系的研究が十分でなかったからというのも理由。

患者にスタチンを処方するかどうかを決めるとき、医師はコレステロール値、BMI、喫煙などの多くのリスク要因を使用して、今後10年間に心臓発作や脳卒中に罹患する可能性を判断します。この数字が10%以上になると、多くの医療ガイドラインがスタチンの使用を推奨しています。しかし、いくつかのガイドラインではこの数字が7.5%になっていますが、スイスの一般開業医協会は20%からそうするよう提案しています。
大部分が心臓病組織によって作成されたこれらのガイドラインが信じられれば、40歳から75歳の間の全人口の3分の1以上がスタチンを予防措置として服用しなければならないでしょう。言い換えれば数億世界中の人々のPuhanによると、これらのガイドラインは、筋肉痛、白内障、肝障害、糖尿病などの望ましくない副作用を適切に考慮せずに策定されました。 「専門家によって設定された閾値は、体系的な研究に基づくものではない」
解説参照 URL


以下の研究で、筆者等の見積もりによると、スタチン推奨勧告対象者を半減することができるという

アトルバスタチンとロスバスタチンの方が、シンバスタチン・プラバスタチンよりベネフィット・有害性バランスが優れていた。


Finding the Balance Between Benefits and Harms When Using Statins for Primary Prevention of Cardiovascular Disease: A Modeling Study
Henock G. Yebyo, et al.
Published: Ann Intern Med. 2018.
DOI: 10.7326/M18-1279
http://annals.org/aim/article-abstract/2717730/finding-balance-between-benefits-harms-when-using-statins-primary-prevention

背景:多くのガイドラインは、心血管疾患(CVD)リスク一次予防のためのスタチン使用に対し、その後10年間のCVDリスク予測を用いている。しかし、ベネフィットに対し有害性がどのように考慮され、加重化されているか不明。
目的:スタチンが提供するネットのベネフィット上回るリスクの確率予測
デザイン:定量化ベネフィット・有害性バランスモデリング研究
データソース: Network meta-analysis of primary prevention trials, a preference survey, and selected observational studies
対象者:CVD既往無き40−75歳
Time Horizon:10年間
Perspective:Clinicians and guideline developers.
介入:低- or 中等-量スタチン vs スタチン未使用
アウトカム測定:ベースラインリスク、スタチンの有益性および有害性の頻度および嗜好、非CVD死亡の競合リスクを考慮して、スタチンが少なくとも60%の純便益をもたらす10年間のCVDリスク。

Base-Case Analysis:
より若年男性はより高齢男性よりその後の10年間CVDリスク低い場合でもnet benefitあり (閾値:40-44歳 14%  vs. 70-75歳 21%)
女性では、net benefit要求のためリスクが高い状態が要求される (閾値:40-44歳17%  vs. 70-75歳 22% )
アトルバスタチン(商品名:リピトール)とロスバスタチン(商品名:クレストール)は、シムバスタチンとプラバスタチンより10年リスク低くてもネットベネフィット高い



感度分析:多くの代替仮説でも同所見

2018年12月11日火曜日

COPD: 血中好酸球数減少は予後不良バイオマーカー


韓国からの報告


Blood eosinophil count as a prognostic biomarker in COPD
Published 31 October 2018 Volume 2018:13 Pages 3589—3596
International Journal of COPD 2018:13 3589–3596


【背景】血中好酸球増加はCOPD急性増悪予防に於ける吸入ステロイド反応性のバイオマーカーで、血中好酸球数減少は吸入ステロイド使用COPD患者で肺炎リスク増加と関連する。しかし、血中好酸球数に関する予後的役割の検討は少ない。COPD血中好酸球数に基づき関連因子と死亡率検討。

【目的】Lung Disease cohort (n=395) 、韓国COPD Kangwon University Hospitalの Dusty Area cohort (n=234) 。2つの合併コホートを3つに分ける:高 5%以上、中 2-5%、低 2%未満

【結果】高血中好酸球数群は

  • 6分間歩行距離長く (high =445.8±81.4, middle =428.5±88.0,  low =414.7±86.3 m)
  • BMI高値(23.3±3.1, 23.1±3.1, 22.5±3.2 kg/m2 )
  • 気腫指数低く (18.5±14.1, 22.2±15.3,  23.7±16.3)
  • IC/TLC比高い (32.6±7.4, 32.4±9.2,  29.9% ± 8.9%) (P<0.05)


生存期間は、好酸球数増加ほど増加 (high =9.52±0.23, middle =8.47±1.94, low =7.42±0.27 年間, P<0.05)

多変量線形回帰解析で、気腫指標は血中好酸球数と独立して逆相関 (P<0.05)

【結論】COPDPB類似:H31.2において、気腫重症度は血中好酸球数低値と関連し、生存期間の長さは血中好酸球増加と関連するが、多変量解析では明らかではなかった。

Keywords: blood eosinophil, COPD, biomarker

2018年12月10日月曜日

妊娠女性喫煙:子供への肺悪影響一部ビタミンCで軽減?

妊娠女性の喫煙はその子供に悪影響を与えることは確実、禁煙指導では禁煙できない場合、その子供の肺の発達を守るためには、ビタミンCが一部有効なのかもしれない


そのmaternal genotype であるα5 nicotinic acetylcholine receptor (nAChR) (rs16969968)と関連している。これは肺癌、COPDリスクと相関し、ニコチン依存性と関連するとされるが、この子供の肺発達機能への阻害にも関連するというのももう一つのこの報告からの知見






Oral Vitamin C (500 mg/day) to Pregnant Smokers Improves Infant Airway Function at 3 Months (VCSIP): A Randomized Trial
Cindy T McEvoy , et al.
 AJRCCM Issues Articles in Press
https://doi.org/10.1164/rccm.201805-1011OC       PubMed: 30522343
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201805-1011OC

意義: 妊娠喫煙者へのビタミンC連日サプリメント投与にて新生児肺機能試験改善もたらすか?現行研究にて新生児肺機能試験を用いた新しいコホート結果にて検証

目的: 妊娠喫煙者の新生児がビタミンC連日サプリメント使用にて、3ヶ月齢のFEFs改善するか、プラシーボランダム化にて比較しα5nicotinic acetylcholine receptorとの関連性を検討

方法:ランダム化二重盲検プラシーボ対照トライアル(3センター施行)。妊娠13−23週間妊娠女性251名ランダム化
ビタミンCランダム化125、プラシーボ 126

測定:プライマリアウトカム 3ヶ月齢FEF(raised volume rapid thoracic compression technique (Jaeger/Viasys))


主要結果: ビタミンC投与・妊娠喫煙者新生児(n=113)で、プラシーボ投与・妊娠喫煙者新生児(n=109)に比較して
FEF7  200.7 vs 188.7 mL/sec [補正 95% CI for difference, -3.33 to 35.64]; p=0.10)
FEF50 (436.7 vs 408.5 mL/sec [補正 95% CI for difference, 6.10 to 61.30]; p=0.02)
FEF25-75 (387.4 vs 365.8 mL/sec [補正 95% CI for difference, 0.92 to 55.34]; p=0.04)

新生児FEFはα5 nicotinic acetylcholine receptor (rs16969968)の母体リスクalleleと逆相関性あるようである




結論: 妊娠女性へのビタミンC投与により事前設定セカンダリアウトカムである3ヶ月齢FEF50、FEF25-75の改善を示した。
Clinical trial registration available at www.clinicaltrials.gov, ID NCT01723696




Yearレビュー:MedPage Pulomonology

BMJ誌のクリスマス記事とともに、年末恒例Yea in Review


Year in Review: Pulmonology
https://www.medpagetoday.com/pulmonology/generalpulmonary/76610


As-needed asthma therapy, peanut oral immunotherapy, teen e-cig use made headlines in 2018

by Salynn Boyles, Contributing Writer
November 30, 2018

軽症喘息、重症喘息、COPD全ての治療新戦略が2018年のヘッドラインを形成した。ランドマークトライアルやティーンのe-シガレットに関する新しい公衆衛生的健康問題も。


喘息に関する治療戦略の変化と新規治療
軽症喘息は連日維持療法使用は最悪で、80%が処方治療アドヒアランス不良。ICS:ブデソニド+LABA:ホルメテロールを含むfixed-dose吸入治療に、as-needed治療を加えることは、ICS単独維持療法、ICS+LABA固定の代替として有効
SYGMA 1 + SYGMA 2 trialで、急性増悪予防、肺機能低下予防のため、fixed-dose inhalerに、as-needed treatmentを加えることは有効
(N Engl J Med 2018; 378:1865-1876、ATS年次集会:5月)

軽症喘息を含めた治療に関しゲームチェンジャーとなり得るか?とのコメント
(患者任せにシムビコート投げる医者もいると聞くが・・・そうなれば医療管理じゃなくなる・・・)

10月には、ファーストライン治療によるコントロール不良治療として、5番目のバイオ製剤Dupilumab (Dupixent) をadd-on治療として承認(アチャラの話)、中等度・重度、コントロール不良喘息、好酸球性phenotypeと経口ステロイド依存状態で重要な薬剤となるだろう。type 2 炎症に関するキー蛋白 IL-4とIL-13をブロックする作用
他のバイオ製剤も重症喘息へ承認されている;  omalizumab (Xolair), which blocks IgE antibodies; and the anti-IL-5 drugs mepolizumab (Nucala), reslizumab (Cinqair), and benralizumab (Fasenra).
COPDトリプル治療は急性増悪を減少する
KRONOS trial(phase III) にて、budesonide+glycopyrrolate+formoterol を MDI(metered-dose inhalation) triple 治療投与にて肺機能改善、急性増悪減少 (RES国際会議:パリ、9月)(The Lancet Respiratory Medicine VOLUME 6, ISSUE 10, P747-758, OCTOBER 01, 2018 
AstraZenecaスポンサートライアル:glycopyrrolate/formoterol fumarate合剤 (AstraZeneca's drug Bevespi)に比べ、 PT010は24週間治療で、中等度・重症COPD急性増悪率を52%有意減少

TRIBUTE trial(The Lancet Journal VOLUME 391, ISSUE 10125, P1076-1084, MARCH 17, 2018) と IMPACT trial (N Engl J Med 2018; 378:1671-1680)で、COPD triple-therapyと急性増悪リスク減少、肺機能改善指標との関連が示された。


KRONOS trial 研究者(Gary Ferguson)は、1−2年以内に、中等症・重症COPD患者へのtriple-therapyは急性増悪リスク増加なしの治療オプションとなり得ると語った。
FDA は、また、2018年、 GlaxoSmithKline's single-inhaler triple therapy Trelegy Ellipta (fluticasone furoate/umeclidinium/vilanterol)を、気流制限患者あるいは急性増悪経験患者へ、初めてtriple therapy承認している。

食物アレルギーへの経口減感作
 peanut oral immunotherapy (OIT) trial PALISADEからの結果:investigational OIT treatment AR101 を小児・10代のピーナッツ免疫寛容有意改善報告
OIT治療1年後、4-17歳で 67.2%が症状無くピーナッツ蛋白 600mgのトレランスを得た
対照群での25名に1名にトレランス
Phase III PALISADEでは11月シアトル、ACAAI年次集会で、NEJM(N Engl J Med 2018; 379:1991-2001)報告と同時に発表
Explosive Growth in Teen E-Cig Use
今年最大の公衆衛生上の問題の一つは中高生の電子タバコ使用、特にJuulブランドのようなpodあるいはカートリッジタイプのe-Cigarette使用の増加
11月の調査では、高校生の使用率が80%近く、中学生の使用率が50%増加していることが昨年11月に確認された。


CDCの2018年国家青年タバコ調査(National Youth Tobacco Survey)(NYTS)のデータによると、2018年に360万人の青年が定期的に電子タバコを使用していた。


9月、FDAのスコット・ゴットリーブ委員長は、10代の電子タバコの使用を「伝染病」と宣言し、同代理店が「FDAの歴史における最大の協調たばこコンプライアンス努力」に取り組むと発表した。


11月、Gottliebは、FDAが、ミントとメントールのフレーバーを除いて、コンビニエンスストアや他の小売店でフレーバ付き電子たばこの販売を制限すると発表。


FDAは、タバコ対策団体やNAACPのような団体から長い間要求されてきた可燃性紙巻きタバコのメントールの使用を禁止する予定。メンソールタバコは、アフリカ系アメリカ人や喫煙を始めている十代の若者の間で特に人気があり。


その禁止を制定するには、長いルール作成プロセスが必要



2018年12月7日金曜日

非糖尿病:スタチン薬剤別血糖増加作用比較

スタチンの糖尿病促進的影響を薬剤別比較


  • アトルバスタチン(先発薬品:リピトール)とシンバスタチン(リポバス) p< 0.001
  • ロスバスタチン(クレストール)、ピタバスタチン(リバロ) p < 0.05
  • プラバスタチン(メバロチン)、フルバスタチン(ローコール)は 有意差なしだが傾向

結局、コレステロール低下作用が弱いほど検証曖昧

powerとの比較検証が必要と思う


韓国 National Health Screening Cohort

Effect of statins on fasting glucose in non-diabetic individuals: nationwide population-based health examination in Korea
Jinkwon Kim, et al.
Cardiovascular Diabetology201817:155
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0799-4





後顧的研究なのでさらなる検証必要だが、傾向は知ることができる

コレステロール低下パワーと血糖悪化作用とのバランスは?



http://www.mqic.org/pdf/UMHS_Statin_Dose_Intensity_and_Equivalency_Chart.pdf

2018年12月6日木曜日

DPP-4阻害剤は胆管細胞癌リスク2倍、GLP-1は灰色

既知:

  • GLP-1インクレチンホルモンは、胆道系の胆管細胞へ増殖作用、抗アポトーシス作用を有する
  • インクレチン・ベースの薬剤DPP-4阻害剤とGLP-1受容体アゴニストは、稀だが致死性リスク高い胆管細胞癌リスク増加の可能性有り
  • 肝臓胆汁系がんのバランス不良がインクレチンベースの薬剤の大規模ランダム化対照トライアルの一部に認められたが、観察研究としてリアルワールドセッティングでの関連性検討されてなかった。



新規知見

  • DPP-4阻害剤は胆管細胞癌リスク2倍
  • GLP-1受容体アゴニストで同様の強度の関連性が見られたが統計学的有意性まで至らず
  • インクレチン・ベース薬剤は故に、2型糖尿病で胆管細胞癌リスク増加の可能性



Incretin based drugs and risk of cholangiocarcinoma among patients with type 2 diabetes: population based cohort study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4880 (Published 05 December 2018)
Cite this as: BMJ 2018;363:k4880
https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4880



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  No of     Crude hazard Adjusted hazard ratio
Exposure* events Person years Incidence rate (95% CI)t ratio (95% Cl)
Other second or third line antidiabetic drugs 33 223531 14.8 (10.2 to 20.7) 1.00 1.00 (reference)
DPP-4 inhibitors 27 103362 26.1 (17.2 to 38.0) 1.70 1.77 (1.04 to 3.01)
GLP-1 receptor agonists 7 37041 18.9 (7.6 to 38.9) 1.20 1.97 (0.83 to 4.66)

DPP-4=dipeptidyl peptidase-4; GLP-1=glucagon-like peptide-1.
  • * Use of first line antidiabetic drugs was considered in models, but not presented in table. This group generated 38 events and 250 340 person years, yielding an incidence rate of 15.2 (95% confidence interval 10.7 to 20.8) per 100 000 person years.
  •  Per 100 000 person years.
  •  Adjusted for age, sex, year of cohort entry, obesity, smoking status, alcohol related disorders, Charlson comorbidity index score, inflammatory bowel disease, gallbladder disease, glycated haemoglobin (HbA1c) level, and duration of diabetes.



副作用が少ないため、頻用されるDPP-4阻害剤

あらためて、ベネフィット・リスク議論が必要



それにしても、がん部位は違うが・・・メトホルミンでは正反対の報告
:Metformin was associated with a reduced risk of HCC in a dose- response pattern. Users of both metformin and aspirin or metformin and statin had the lowest risk.
Metformin and risk of hepatocellular carcinoma in patients with type 2 diabetes
Liver International. 2018;38:2018–2027

肥満無呼吸vs肥満無呼吸なし:呼吸中の気道内系動的狭窄

肥満無呼吸症例は肥満無呼吸なし症例と比べ、有意に呼吸中上気道気道内径狭窄を示す


閉塞型無呼吸患者での覚醒時の上気道3次元変化は多く検討されているが、肥満存在での構造変化は明らかでないため上気道の解剖的特性と気道コンプライアンス(拡張性)について肥満OSA患者と肥満対照との比較



Dynamic Upper Airway Imaging during Wakefulness in Obese Subjects with and without Sleep Apnea
Yuan Feng , et al.
AJRCCM Vol. 198, No. 11 | Dec 01, 2018
https://doi.org/10.1164/rccm.201711-2171OC    
https://doi.org/10.1164/rccm.201711-2171OC       PubMed: 30040909
Received: November 03, 2017 Accepted: July 24, 2018



dynamic MRI:肥満OSA 157 vs 肥満対照 46
口蓋後方、舌後方、喉頭蓋の3つの体軸断面で覚醒時測定施行

気道面積と距離で比較
被検者特異的変動係数(CV)を気道サイズの変数として検証


共役要素補正後、呼吸中口蓋後方面積は対照群より無呼吸群で有意に少なく、気道の平均ベース、最大ベース、最小ベース何れでも少ない (p=0.003,0.004,0.001)

気道狭窄は、前後面、側面ともに見られる (adjusted p<0 .05="" p="">
結果は年齢、性別、BMIマッチ化サブ・サンプルで同様

AHIと、無呼吸患者の口蓋後方及び舌後方領域の気道内径の動的測定値は、有意に相関







上気道画像と測定(2次元面積と線寸法で矢状断(sagital)・体軸断(axial)面測定)
A, 中央-矢状断で体軸断面の位置を示すmid-sagittal image showing the location of the axial images (RP, RG and Epi):
B, 中央-矢状断で硬口蓋頂上による上縁設定と C4の底面による下縁設定;"上下縁の間の気道"を"中央矢状断気道面積"として、"垂直距離"を"気道長"と表現する
C-E は、3つの体軸断面の画像例 : 口蓋後方 (C)、舌後方 (D) 、 喉頭蓋 (E)
F は、気道外側及び前後次元測定方法の事例。側面及び前後次元測定は3つの体軸断面

RP = retropalatal, RG = retroglossal, EPI = epiglottal, AA = airway area, AL = airway length, UB = upper boundary, LB = lower boundary, AP = anterposterior, LAT = lateral





説明されてきたとおりだと思うが、詳細に、狭窄部位明示されたところが有意義と思う
非肥満・無呼吸症例ではどうなのか? 今後の検討に期待したい



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note