2019年2月14日木曜日

インフルエンザ:タミフル投与の死亡率軽減効果検討 すべてのウィルス型が同等効果でない可能性

ゾフルーザ vs 対照で、有症状率をKaplan-meyer曲線で結局は差が無くなるのだから意味が無いという趣旨のウェブ記載をみて、乱暴な理論で目眩を感じた

高リスク群を含めインフルエンザ患者全般において抗ウィルス薬の死亡率、合併症、治療コスト、欠席・欠勤など社会的コスト、患者本人のQOLなど含めた形で議論すべきなのに・・・

タミフルの死亡率検討

Effect of early oseltamivir treatment on mortality in critically ill patients with different types of influenza: a multi-season cohort study
Theodore Lytras, et al.
Clinical Infectious Diseases, ciz101,  https://doi.org/10.1093/cid/ciz101
Published: 07 February 2019  Article history
https://academic.oup.com/cid/advance-article-abstract/doi/10.1093/cid/ciz101/5308530

ギリシャのICU入院検査確認インフルエンザ成人全員 (2010–2011 to 2017–2018の8季) とオセルタミビル治療を検討
早期オセルタミビル使用と死亡率との関連性は、対数二項モデルならびに死亡および退院の原因別および下位分布の危険性を推定する競合リスク分析を用いて評価した。 影響推定値はインフルエンザの種類によって層別化され、複数の共変量について調整。


1330名を検討、ICU死亡 622(46.8%)

A/H3N2患者の内、早期治療は有意に死亡率低下と関連  (相対リスク 0.69, 95% CrI 0.49–0.94;
部分分布ハザード比:subdistribution Hazard Ratio 0.58, 95% CrI 0.37–0.88)(subdistribution参照→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjb/29/2/29_2_141/_pdf)

この効果は純粋に退院に対する患特異的ハザードによるもので、死亡に対する疾患特異的ハザードで増加はしていない

生存者間では、ICU滞在期間中央値は治療群で 1.8日間(95% Crl 0.5-3.5日間)短い

A/H1N1とインフルエンザBで死亡率の影響観察なし

結論:重度インフルエンザ診断患者において迅速にオセルタミビル治療することは、特にA/H3N2流行期において重要。オセルタミビル有効性はインフルエンザ全てのサブタイプで確認できず


IDSAがらみなのでギリシャの一地方の報告というよりは重きを感じなければならない報告では?

序文から
インフルエンザは世界的に死亡率の主要な原因であり[1]、オセルタミビルが最も頻繁に処方されているノイラミニダーゼ阻害剤(NAI)は、インフルエンザを治療するために現在利用可能な唯一の抗ウイルス薬です。重症患者や合併症のリスクが高い患者には、NAIの早期使用(症状の発症から48時間以内)が推奨されています。それにもかかわらず、これらの勧告を支持する証拠については議論が続いている。死亡率に対するNAIの影響に関する無作為化試験からの証拠の欠如[6]、および重症患者を倫理的に無作為化することの難しさは、勧告が必ず観察研究に頼っていることを意味します。しかし、入手可能な観察証拠は、質が低く、バイアスの危険性が高く、交絡、特に徴候による交絡については不完全に調整されていると批判されてきた。研究では死亡率が低く、比較的若く健康な患者を登録する傾向があります。
さらに重要なことに、NAIおよびインフルエンザ関連死亡率に関する事実上利用可能なすべての証拠は、インフルエンザA / H1N1pdm09に関連しています。しかしながら、すべての種類のインフルエンザに対してNAIが同等に有効であると推測するべきではありません。例えば、オセルタミビルはin vitroおよびin vivoでインフルエンザBに対して有効性が低いことが観察されており、ある研究では、オセルタミビル治療はインフルエンザA / H3N2患者の間で流行前A / H1N1患者よりも熱の持続時間が短かった。
この背景に対して、ギリシャの集中治療室(ICU)に入院した重症インフルエンザ患者のコホートにおいて、早期(症状発症から48時間以内)対後期オセルタミビル治療と死亡率との関連性を調べた。我々は、単なるA / H1N1型ではなくすべてのインフルエンザ型に焦点を当て、オセルタミビルの過去の観察研究で提起された一般的な方法論的問題に取り組むことによって現在の証拠を拡大しようとした。



ダイレクトなインフルエンザウィルスによる臓器障害というよりは併発・合併・続発症などの影響が大きそう・・・




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