2019年2月18日月曜日

”喘息誤診”報告へのカウンター批評



https://kaigyoi.blogspot.com/2017/01/jama.html

「 no evidence of acute worsening of asthma symptoms, reversible airflow obstruction, or bronchial hyperresponsiveness after having all asthma medications tapered off and after a study pulmonologist established an alternative diagnosis. 」というのが誤診の定義で、喘息治療奏功あって徴候・症状安定していれば誤診という判断のようでどうなんだろ?


レビュー:
 Aaron SD, Boulet LP, Reddel HK, Gershon AS. Underdiagnosis and overdiagnosis of asthma. Am J Respir Crit Care Med 2018;198:1012–1020

医師が診断した喘息患者の研究では、喘息と診断された成人および子供の30〜35%が現在の喘息を持っていないと示唆される

これに対するResponseのto the editor記事


Diagnostic Failures in Asthma
AJRCCM Vol. 199, No. 4 | Feb 15, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201810-1953LE

診断ラベルの認識不足と不適切診断による問題点指摘と誤診(diagnositic failure)に関する注意喚起は評価するも、過小診断と過剰診断の定義を明らかにすべきとし、全てユニバーサルに視点を広げ疾患定義について議論したいと・・・
狭義では、過剰診断は、症状や有害性を生じそうもない診断的ラベル形成状況に適応すべきで、真の過剰診断とは“スクリーニングで主に生じ、lead-time biasの極端な形態"となる。例えば、前立腺がんの無分別スクリーニングはがん検出数を確かに増やすが、多くのがんは臨床的明確な疾患に進行しない。もし大規模住民へスパイロメトリ検査で無症状患者で可逆性閉塞を同定するとしても同様としてよいのだろうか?無症状のままの患者群を“診断”した場合過小診断ではなく過剰診断となってしまう。
(この辺の記述に疑問 高血圧なんてもっと無症状なのに治療してるけど・・・)
症状やQOL低下を患者が過少報告していると考えた場合(症状やQOL低下の認識不足のこと?)でも一部患者が過剰診断による結果に悩む患者がいるということを認識すべき。
臨床医は、不必要な疾患レッテル漬けや過剰治療に関してカウンターバランスをとった集約的症例発見を心がけなければならない
(批評ターゲット論文筆者の)Aaronらはアレルギー性鼻炎などの他の疾患を誤って喘息と診断している状況も記載。この状況は過剰診断ではなく、むしろ診断過誤で、「患者の健康上の問題について正確かつ適時説明確立及びその説明を患者伝達することを怠った」と考えられる。例えば患者へ自信を持たせたり、適切な診断検査アクセスを勧めることのような、喘息周囲の診断目標の診断プロセス付加的部分をターゲットとすることもできる。

Aaronらは、持続的臨床的寛解状態の患者に喘息という言葉を使ってはならぬとしてるが、批評として、これを過剰診断カテゴリーに含まれるという主張には同意できないとしている。予後診断(prognostication)、検証、治療のガイドのため意義形成の一形態として診断レッテルを貼るなら、“喘息”という病名を使うことは患者・臨床医にとって意義あることではないか!
genotypeや環境からの感受性が潜在的に存在する場合、喘息phenotypeが将来出現する蓋然性は高い

結論から言えば、このセマンティック(意味論)が、治療目標より重く扱われるべきではない(Ultimately, the semantics matter less than the goal: to provide outstanding evidence-based care to our patients. )。喘息患者をケアする場合、診断定義が必要で、その定義は患者、医師、科学者、疫学者にとって各々に適したものであるべき。診断は曖昧な部分のある科学でアリ、喘息的あるいは非喘息的と2分割(binary classification)することで思いがけない顛末をもたらす可能性がある。研究者や統計解析専門家にとって適した複雑な診断定義が、常に最前線医療で遭遇する疾患についてよりよい認識を翻訳しているとは限らない(Complex diagnostic definitions that suit researchers and specialists may not always translate to better recognition of disease at the “front line” of medicine. )。診断性向上へのチャレンジの中で、喘息コミュニティが診断クライテリアをより簡便でベッドサイドで適応でき、過剰診断と認識低下の適切なバランスを供給できるものであって欲しい




変化の激しい病態である喘息を一刀両断的に“喘息無し”あるいは“喘息有り”とする乱暴な学術報告が続いているのでカウンターは必要と感じていた。

真の喘息診断定義は存在するか?



The Impact of the Global Initiative
for Asthma (GINA): Compass, Concepts,
Controversies and Challenges
Helen K. Reddel, MBBS, PhD, FRACP
Woolcock Institute of Medical Research, University of Sydney, Sydney, Australia
http://www.brnreviews.com/files/brn_2019_5_1_04-18.pdf

Make the diagnosis of asthma early, if possible before controller treatment is started, based on a typical pattern of variable respiratory symptoms and one or more tests for variable expiratory airflow limitation

 GINAガイドライン
https://ginasthma.org/wp-content/uploads/2018/03/wms-GINA-main-pocket-guide_2018-v1.0.pdf



"無症状"・"no symptom"ならどんなに気道閉塞所見があっても喘息の診断できないとも解釈されるGINAの記載

FEV1/FVC < 85%やIOSデータの異常あるも、表面的には無徴候、よく聞いてみると、年齢不相応と思われる息切れやエリートアスリートでパフォーマンス出せてないなぁという症例・・・これって喘息でない?



0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note