2019年7月26日金曜日

UK Biobank研究:大気汚染と肺機能、COPDの関連性

大気汚染とCOPDの関連性ってのは動脈硬化イベントとの関連より不明瞭


大気汚染により呼吸器死亡率リスク増大はあるが、肺機能および閉塞性肺疾患への影響エビデンスは確立していない。屋外大気汚染と肺機能・COPDへの影響は示唆されていてESCAPE projectでは住宅近くの道路のPM10やNO暴露と肺機能障害の関連性示唆
 ESCAPE: a multicentre cohort study and meta-analysis. European Respiratory Journal 2015: 45(1): 38-50.
メタアナリシス行われたが正の相関みられたが、大気汚染とCOPDでは有意相関示せていない。他の研究でも同様である。

 Air pollution exposure is associated with restrictive ventilatory patterns. European Respiratory Journal 2016: 48(4): 1221-1224.


この横断的研究の目的は、大気汚染が肺機能とCOPDに関連しているかどうかを英国の非常に大規模な研究を用いて調べること。第二に、大気汚染と肺機能およびCOPDとの間の関係の潜在的脆弱性因子検討


Air pollution, lung function and COPD: results from the population-based UK Biobank study
Dany Doiron, et al.
European Respiratory Journal 2019 54: 1802140;
DOI: 10.1183/13993003.02140-2018
https://erj.ersjournals.com/content/54/1/1802140

40〜69歳の303 887人の個人に関する完全な共変量データと有効な肺機能の測定値について、英国のバイオバンクのデータを使用。横断分析では、Land Use  Regression(LUR)モデルに基づく、粒子状物質推定値(50% cut-off aerodynamic diameter 2.5μm、10μm:PM2.5、PM10;2.5-10の粗い物質:PMcoarse)、二酸化窒素(NO2)、FEV1、FVC、FEV1/FVC、COPD(FEV1/FVC 正常下限)比
影響の修正は、性別、年齢、肥満、喫煙状態、世帯収入、喘息状態および以前COPDと関連していた職業について調査


各汚染物質の高暴露ほどより低い肺機能と有意に関連

PM2.5濃度の5 µg・m-3の増加は、より低いFEV1-83.13 mL、95%CI -92.50  -  -73.75 mL)およびFVC(-62.62 mL、95%CI -73.91--51.32 mL)と関連。

COPDの有病率は、高濃度のPM2.5(OR 1.52、95%CI 1.42〜1.62、5 µg・-3あたり)、PM10(OR 1.08、95%CI 1.00〜1.16、5 µg・-3ごと)およびNO 2
(OR 1.12、95%CI 1.10〜1.14、10 µg・-3あたり)と相関

ただしPMcoarseとは相関無し




男性、低所得世帯の個人、および「危険」な職業ではより強い肺機能関連が見られ、肥満、低所得および非喘息の参加者ではより高いCOPD関連が見られた。

この大規模研究では、周囲大気汚染は肺機能低下およびCOPD罹患率の増加と関連していた。



COPDと大気汚染に関する研究として、ESCAPE研究と今回のUK biobank studyなど存在する。NO2濃度はUK biobank studyの方が低いなど対象にばらつきがある

UK biomark研究ではPM2.5とNO2とFEV1とFVCの強い相関が男性で、女性ではPM2.5とCOPD有病率の相関性が見られ。性差で影響異なった。男性では職業的影響がより強くみられた可能性。女性の方が家庭内時間が多いためという考察。



discussionに書かれているが、喘息での影響も顕著
We also found that asthma status modified the associations between PM2.5 and NO2 and COPD prevalence, with significantly stronger associations in non-asthmatics. This may be related to treatment in asthmatics, modifying adverse impacts of air pollution or alternatively, avoidance in that asthmatics aware of impact of air pollution on symptoms may choose to live in less polluted areas.


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