2013年7月24日水曜日

愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療

複雑性悲嘆(complicated grief)ってことになってるけど、なんだかしっくりこない訳と感じてる。 PTSDもそうだが、日本語訳のため、無駄な議論が日本だけ続いた気がする。
この場合の"complicated"とは、”合併症”存在の意味だと思う。故に、brief reaction(悲嘆反応)に終わらない、心的病理的部分を含む心身合併症とともにある状況を指すと思う・・故に、「複雑性」という表現は・・・

精神・心理範疇では昔から誤訳がめだつ。「place phobia」などは「広場恐怖」じゃなく、本来は「場所恐怖」だし・・・

死別した家族への配慮というのが医療関係者に求められる傾向もある。いかなるアプローチが正しいか、一つの課題だろう。

Treating Complicated Grief
Naomi M. Simon, et.al.
JAMA. 2013;310(4):416-423. doi:10.1001/jama.2013.8614.
研究重要性  愛する人の死というのは人生最大、不変のストレッサーで、臨床的介入無く遺族の大部分は適応に成功する。遺族の一部に、死別悲嘆に他の問題が重なり、治癒困難となる。この複雑性悲嘆(complicated grief)にともなう症候群により、重要なdistressや機能障害が死別数年間でも継続する場合があるが、それへの介入時期・方法に関しては未だに解決してない。


研究目的 様々な診断、リスク要素、complicated griefの管理について、利用可能エビデンス及び臨床観察結果に基づき議論


Evidence Review  MEDLINE を1990年1月から2012年10月まで検索。選別研究リファレンス・レビュー記事から追加引用。complicated griefに対する有益治療研究を含む。



結果  強力な文献検索で、DSM-5によるcomplicated griefを参照
( 意味合いは、特異な外傷・ストレッサー関連疾患のサブタイプとして持続的複雑性死別疾患)するも、今後より多くの研究がフォーマルに要求される状況であり、適切な命名、診断クライテリアについて未だ議論進行中の病状である。

信頼性のあるスクリーニング法は利用可能で、推定発生率は死別の7%

ランダム化対照データにより、ターゲット化心理療法の有効性が支持され、それはcomplicating problemの改善を促進し、自然治癒プロセスを育てるエレメントを含む。

予備研究にて、うつ治療薬物も有用な可能性


結論・意義  健康アウトカムに多大な悪影響を有する複雑性悲嘆者を診断し、自殺リスクを評価し、他の病的状況合併状況、うつ、PTSDなどを評価し、治療を考慮すべきである。

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