2012年6月11日月曜日

2型糖尿病治療:メトホルミンに加えるのは アマリール? ビクトーザ注?

メトホルミンを軽視する日本の糖尿病薬物治療はガラパゴス的

糖尿病治療はまずメトホルミンが使えるかどうかを判断して、使えない場合どうするかと考える のが日本以外の糖尿病治療。故に、順番として、メトホルミン治療の次はどうすか・・・がテーマとなる。

次にアドオンするのは、SU剤(アマリール等)とするか、GLP-1アナログ自己注射(ビクトーザ皮下注)とするか・・・というのは大事なテーマ。


2型糖尿病患者は年月と共に、進行性に血糖コントロール悪化する。第1選択薬  メトホルミン治療失敗後の治療オプションに関して議論がある。そのため、 add-on exenatide と glimepirideを比較。


Exenatide twice daily versus glimepiride for prevention of glycaemic deterioration in patients with type 2 diabetes with metformin failure (EUREXA): an open-label, randomised controlled trial
The Lancet, Early Online Publication, 9 June 2012
doi:10.1016/S0140-6736(12)60479-6
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960479-6/abstract


オープンラベルランダム化対照化128センター(14ヶ国) 2006年9月5日~2011年3月29日

2型糖尿病 18-85歳(メトホルミン治療不適)をランダムに割り付け

・1日2回 Exenatide
vs
・1日1回 Glimepiride

プライマリアウトカムは、血糖コントロール不良・代替治療必要状態(治療3ヶ月後 HbA1c 9%超、6ヶ月後続けて2回7%を越える場合)

ITT分析

ランダムに、Exenatide群 515、 Glimepiride 514名、ITT分析で、490 vs 487検討

治療失敗:Exenatide群 203(41%) vs Glimepiride群 262(54%)   (risk difference 12.4 [95% CI 6.2—18.6], hazard ratio 0.748 [0.623—0.899]; p=0.002).

HbA1c 7%未満 到達: Exenatide群 218/49(44%) vs Glimepiride群 150/487(31%(p<0.0001)

HbA1c 6.5%以下到達: Exenatide群 140(29%) vs Glimepiride群 87(18%)  (p=0.0001)

体重減少:Exenatide群 > Glimepiride群 (p<0.0001)

治療非関連死はそれぞれ5名

交感神経系関連、夜間・非夜間低血糖は有意にExenatide群の方が少ない  (p<0.0001、p=0.007、p<0.0001)

副作用薬剤中止は、6ヶ月時点までは有意にExenatide群多い(p=0.0005)が、それ以降は差は認めない。


長期使用が念頭とされるので、ビクトーザ注のadd-onの方がコントロールにおいては優れていることとなる。

コストや短期的副事象などの複合的判断が必要となるだろうが・・・


Type 2 diabetes: which drug as add-on to metformin?Type 2 diabetes: which drug as add-on to metformin?
The Lancet, Early Online Publication, 9 June 2012

ビクトーザ:
・利点:効果、低血糖のなさ、体重減少
・欠点:消化管副作用、心血管系RCT研究がない、高コスト、膵炎リスク?

SU剤
・利点:短期効果、心血管系RCTあり(必ずしも好ましいモノだけではない)、低コスト
・欠点:維持性困難(二次無効など)、低血糖、体重増加、心血管系リスク
 上記比較の上選択を!


ANCHOR サブグループ:エチルEPA 糖尿病患者への効果

スタチンにアドオンするか否かの介入。 日本のトライアル、JELIS結果を支持する検査パラメータ上の変化となったようだが・・・
ADAがらみの報告。

ANCHOR studyのサブグループ解析、EPA エチル製剤、AMR101を使用。

第Ⅲ相ANCHOR研究は、702名のスタチンバックグランドで、TG 200-500mg/dLのヒトで、AMR101 2g/日、4g/日とプラシーボをランダム比較

効果は用量依存的、2g/日ではLDL低下有意では無かった。

AMR101 4g/日投与で、LDL増加せず TG 23mg/dL減少するという報告。
LDL-Cの平均は6.3mg/dL低下

だが、ベースラインより、HDL 5mg/dLほど低下する。しかし、LDL、非HDL、apo B、総コレステロールは低下し十分な効果が期待できると筆者ら。特に、糖尿病コントロール不良な患者で期待ができるとのこと。

12週研究で空腹時血糖、HbA1c、HOMA指数、インスリンに有意差認めず、糖尿コントロールに影響を与えなかった。


Brinton E, et al "Effects of AMR101 on Lipid and Inflammatory Parameters in Patients with Diabetes Mellitus-2 and Residual Elevated Triglycerides (200-500 mg/dL) on Statin Therapy at LDL-C Goal: The ANCHOR Study" ADA 2012; abstract 629-P


日本のJELIS研究(EPAの高脂血症患者における重大冠動脈イベント抑制効果:JELIS研究 2007年 03月 31日)では、5年全死亡率 19%減少という報告があり、REDUCEーITでは2倍投与量計画しているということ。

情報ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/33188





でも、HDLコレステロール減少が気になる. 


“二次予防、すなわち、既往ある心血管疾患病歴患者で包括的心血管イベントに関する予防効果は不充分”
ω3不飽和脂肪酸(DHA、EPA) 二次予防効果に疑問  2012年4月10日火曜日


JELISではEPA 1800mg/日を用いて、 臨床的アウトカム上の有効性が示されている。
糖尿病ベースとはいえ、アウトカムに反映するにはHDL減少を考えれば不均衡なイメージを持つ。JELISも再検討したい気になる。

2012年6月9日土曜日

食物アレルギーは、田舎より都市部に多い

食物アレルギーも都市部が多い・・・という話。

喘息、湿疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎でも、都市部は田舎よりその罹患率が高いことが知られていた。一つの仮説は、いわゆる“衛生仮説”(下記参照)で、もう一つはアレルギー発症トリガーが都市部に多いことなどで説明されている。


Geographic Variability of Childhood Food Allergy in the United States
Ruchi S. Gupta, et. al.
CLIN PEDIATR May 17, 2012 0009922812448526


多変量ロジスティック回帰モデルを地域的分布と食物アレルギーの推定で行い、38464名の子供を検討。
人口密度増加に伴い食物アレルギー頻度増加
田舎 6.2%(95% 信頼区間 [CI] = 5.6-6.8)
都市部  9.8% (95% CI = 8.6-11.0)

田舎 vs 都市部のオッズにて、食物アレルギーオッズ( (オッズ比 [OR] = 1.7, 95% CI = 1.5-2.0)で、 大都市部 vs 田舎 (OR = 1.4, 95% CI = 1.2-1.5)

人種/民族、性別、世帯収入、緯度補正後も有意差残る




【衛生仮説あれこれ】
寄生虫と衛生仮説 2006年 09月 15日

衛生仮説:進歩版 “古い友人たちとの絶交がアレルギーを引き起こす” 2004年 05月 21日

あらたな衛生仮説:幼年期微生物暴露は成人CRPを低下? 2009年 12月 10日


衛生仮説:トリクロサン高濃度ほど小児のアレルギー疾患増加、成人ではBPAによる免疫系へ影響? 2010年 11月 29日

衛生仮説:H.pylori新生児期感染は気道過敏性減少と関連? 2012年3月21日

頸部マニピュレーションはやめるべき Yes vs No議論 ・・・ リスクある手技であることを認識すべき

頚部へのマニピュレーション(高速度、低振幅、エンドレンジ押しつけ(end range thrust))手技がメカニカルな頚部痛に対する処置として行われているが、多くの重篤な心血管系への合併症、特に、椎骨動脈動脈解離、椎骨・脳底動脈梗塞を引き起こす危険性を伴う


Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? Yes
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3679 (Published 7 June 2012) 
代替治療に対する非劣性結果と、安全性懸念から、頸椎へのマニピュレーションは不要で、行うべきないという主張。
 

Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? No
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3680 (Published 7 June 2012) 
頚部痛に対する、薬物、運動、mobilisation、マニピュレーション比較でベネフィット・有害性検討されたが、何れの処置にもQOL最大とする勝者は存在しなかった。
急性・亜急性頚部痛へのマニピュレーションに対して高品質

いずれにせよ、頚部へのマニピュレーション術はリスクを伴うという認識が必要


疑似医療行為や無資格疑似医療行為で行われているかもしれない日本の現状。
副事象分析が日本でも必要だろう。

ググると、“整体 AND マニピュレーション AND 頚部”と検索されるところが見つかる。


関連)
頸部へのマニピュレーション:無資格治療の危険性  2007年 03月 15日





民主党や一部自民でも、リスクに無知で、公的資格に格上げしようとする動きがある。そういう動きに同調する前に、リスク把握をするべきとおもうのだが・・・集票につながれば、国民に非利益性をもたらすことでも行おうとする議員が目立つ昨今・・・

非侵襲的出生前胎児診断が現実的に・・・

母体血清からの細胞フリーの胎児DNAによる非侵襲的検査が現実的に・・・


コストはともかく、リスクが少なく、誰でも簡単に胎児出生前診断ができるようになると、ますます、多くの倫理的問題が持ち上がることとなる。


Genomics
Noninvasive Whole-Genome Sequencing of a Human Fetus
Jacob O. Kitzman, et. al.
Sci Transl Med 6 June 2012:Vol. 4, Issue 137, p. 137ra76 


妊娠18.5週での、母体血清DNAによる胎児のgenome-wide maternal haplotyping, and deep sequencing

2.8×106両親のheterozygousサイトのInheritance(遺伝的形質) の予測は96.1%の正確性

胎児ゲノムのde novo point mutationについても39/44同定されたが、特異性に限界あり。

これらのデータのサブ解析とsecond family trioの解析で、両親ハロタイプの300kbのブロックは、母体DNAのshallow sequencingと組み合わせにより、胎児ゲノムの遺伝的要素決定に十分でった。

しかし、胎児のde novo genome-wide mutationの特異的検出のためには、母体血清DNAのultradeep sequencingは不可欠である。

テクニックや解析上チャレンジングな部分は残るが、 遺伝的変異やdeno mutationの非侵襲的分析はメンデル性遺伝性疾患劣性・優性出生前診断に役立つ。

 BBC(http://www.bbc.co.uk/news/health-18353055)に解説記事

2012年6月8日金曜日

米国若年者危険行為:飲酒運転減少・電子メール操作運転増加、ネット虐め・マリファナ増加、喫煙減少せず・・・

ここ20年従来のリスキーな運転行為は減少しているが、新しいテクノロジーによるリスクが増加している。
MMWR2012からの報告(Youth Risk Behavior Surveillance — United States, 2011 Surveillance SummariesJune 8, 2012 / 61(SS04);1-162

Teen Drivers Drinking Less, Texting More
http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/PublicHealth/33144


シートベルト未装着:1991年 26% → 2011年 8%
飲酒運転車上搭乗:1991年 40% → 2011年 20%
飲酒後運転:1997年 17% → 8%

電子メールを運転中テキスト作成、送信したのは33%程度、44の州で、この行為は禁止されている。


cyberbullying(ネット虐め)が10代の健康リスクとして出現、16%ほどが電子メール、チャットルーム、インスタントメッセージ、ウェブサイト、テキスト・メッセージ経由で経験。白人10代女性の最も多い。

 喫煙率低下は、2009年から2011年で19% → 18%と変わらず
マリファナは21% → 23% で減少してないものの、1999年の27%からは減少。
今や、マリファナ使用率の方が喫煙率より多い(23% vs 18%)




日本はどうなんでしょう?

ネット上のいわゆるカンナビスト活動や合法ドラッグなど、若者を取り巻くドラッグ環境・・・悪化しているという印象。
日本では、米国ほどでは無いものの、同様な問題を抱えているはず。
モバイルグッズ普及から考え、ネットいじめは日本の方がより問題が深刻なのかもしれない。

多発性骨髄腫:初期治療失敗例に対するポマリドマイド

以前から報告されている。検討数増加して報告・・・という形?

Pomalidomideはサリドマイド誘導体で、immunomodulatorとして働く。
Vig R, et al "Pomalidomide with or without low-dose dexamethasone in patients (pts) with relapsed/refractory multiple myeloma: Outcomes in pts refractory to lenalidomide and/or bortezomib" J Clin Oncol 2012; (suppl)30: Abstract 8016.
参照:http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/Myeloma/33145



サリドマイド誘導体レナリドミド:lenalidomide (レブラミド:Revlimid) あるいは、プロテアソーム阻害作用のあるボルテゾミブ:bortezomib (ベルケイド:Velcade) 不応性の多発性骨髄腫に対して、pomalidomide (Actimid) +dexamethasone併用治療の検討




pomalidomide 4mg(day 1-21) 28日サイクル vs pomalidomide 4mg(day 1-21) 28日サイクル+dexamethasone 40mg週1回比較

 ITT解析で、 単剤 108例 vs 併用 113例、平均年齢65歳、男性 約60%、90%がPS 0-1
全員、lenalidomideもしくはbortezomib+ステロイド治療既往

客観的治療反応は、単剤で 9%、 併用で30%

 disease control rate(minor response、objective response、stable diseae)は76%

pomalidomide単独に比べ、dexamethasone併用の方が、30%ほど客観的指標効果増加

生存率中央値は、併用群 3.8ヶ月、単剤では2.5ヶ月(p=0.007)

包括的生存率 14.4ヶ月 vs 13.6ヶ月(P=0.85)

副事象は
好中球減少:単剤 47% vs 併用 38%
血小板減少:単剤 22% vs 併用 18%
貧血:単剤 22% vs 併用 21%
背部痛:単剤 12% vs 併用8%

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note