2012年10月24日水曜日

フィブラートは軽症・中等症慢性腎疾患で効果あり ・・・ 島国での評価は・・・

フィブラート系は、スタチンとの併用差し控え、特に、慢性腎疾患(CKD) stage 3では慎重、さらにそれ以上では禁忌となっているため、イメージ上、フィブラートは腎疾患に悪影響を与えるというイメージがある。

だが、新しいメタアナリシスでは、軽症・中等症CKDでは、フィブラートは脂質特性を改善し、心血管イベント減少をもたらす。血中クレアチニン増加を示すが、長期的には、腎臓への悪影響を起こさず、人にベネフィットさえもたらすという報告となっている。

日本の腎疾患の世界(慢性腎臓病(CKD) 検診・治療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ H24.04.19)は、sCr至上主義となっており、この報告がまかり通るとは思えないが、島国以外ではこういう報告があることは知っておく必要があるだろう。


Effects of Fibrates in Kidney Disease
A Systematic Review and Meta-Analysis
Min Jun, et. al.
J Am Coll Cardiol 2012; DOI:10.1016/j.jacc.2012.07.049
pdf


Junらは、CKD患者の主たる死亡原因である心血管疾患であり、脂質異常が進行性腎疾患リスク要素である一方、クレアチニン増加この患者群に関する安全性懸念となっていた。
eGFR 60以下の軽症・中等症CKDで、フィブラートによる脂質特性改善(コレステロール -0.32 mmol/L、TG -0.56 mmol/L, HDL 0.06 mmol/L(以上は有意差)、LDL -0.01 mmol/L(p=0.83))し、主要心血管イベントを30%(RR 0.70, p=0.004)低下し、心血管死亡を40%(RR 0.60, p=0.03)減少させ、全原因死亡には影響を与えなかった。
アルブミン尿症進行減少14%(p=0.02)、血中クレアチニン 増加25%(p<0 .01=".01" m="m" min="min" ml="ml" sup="sup">2
, p=0.01)推定しかし、終末期腎疾患に検知される影響認めず (RR 0.85, p=0.575)

うますぎる話となってる新規知見にはいんちきが多い

 著明な"effect size"を示す新発見報告って、追試やメタアナリシスで、尻すぼみになることが大多数


非常に目立つ“effect size”を示す研究報告は、一般には、サンプル数が少なく、そして、追試ではその"effect size"減少となることが多い。さらに、メタアナリシスとなると、ほとんどが、"effect size"は減少する。

臨床トライアルや報告で、"画期的新発見"だと、騒ぐほど、その"effect size"は正しいのか、騒ぐほどの効果があるのか?追試だけではまだ駄目で、やはり、メタアナリシスまで待つのが正しいのだろう。

ただ、その間に、年数は経過するが・・・ 一報だけで判断してはならないというのは直感的にも正しいのだろう。

 Empirical Evaluation of Very Large Treatment Effects of Medical Interventions
Tiago V. Pereira, et. al.
JAMA. 2012;308(16):1676-1684. doi:10.1001/jama.2012.13444

【概要】多くの医学的介入の影響、"effect size"は、一般的には軽度のことがほとんどだが、時に、ベネフィット・有害性ともに"effect size"がかなり大きい報告が見受けられる

【方法】Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR, 2010, issue 7)を用いた検討

バイナリアウトカムのCDSR forest plotで、介入毎に分類
初回トライアル出版報告、初回以降トライアル報告、すなわち、追試トライアル報告(初回報告でないもの)、トライアル無しで、統計学的有意差に、すなわち、名目上 P<0 .05=".05" br="br" effect="effect" large="large" odds="odds" ratio="ratio" significant="significant" very="very">
【結果】250のトピックスを、各群毎、ランダムにサンプルし、詳細検討

85002のforst plot(3082名のレビューアによる)中で検討

初回出版トライアル報告で、"significant very large effect"のものは、8239 (9.7%) 、追試トライアル報告では5158 (6.1%)、トライアルなしでは 71 605 (84.2%)

名目上の" significant very large effect"は小規模トライアルが多い
・イベント数中央値は、初回出版トライアル報告にて 18、追試トライアル報告では 15

" very large effect"のトピックスでは、
・他のトピックスに比べ、死亡率を着眼としたトピックスは少ない (初回出版トライアル報告 3.6%、 追試トライアル報告 3.2%、 トライアル無し  11.6%)
・検査室確認有効性に着眼した場合が多い(初回トライアル報告 10%、追試トライアル報告 8%、トライアル無し 3.2%)

"  very large effect "の初回トライアル報告記事は、追試トライアル報告の" no very large effect "となる傾向がある。

初回報告・追試報告トライアルで、それぞれ、90%と98%が、メタアナリシスで、他のトライアルを含むと小さくなる。
・ 減少オッズ比中央値は、初回報告で 11.88→4.20 、追試報告 10.02→2.62

" very large-effect "トライアルの選択されたトピックス500のうち、メタアナリシスにてこの" very large-effect "を維持したトピックスは 46(9.2%、 初回、追試トライアル)である。しかし、死亡率関連アウトカムに関しては維持されたトピックスは存在しない。

すべてのCDSR横断的に検討の場合、死亡率においても" large-effect "で、 p<.001で、エビデンスの質に関して問題点が無かったのは、わずか1つの介入のみ。


末梢動脈疾患のリスク要素数による影響 ;個別リスクとしては喫煙の影響が大きい

PAD(末梢動脈疾患)の独立したリスクの組み合わせ影響の検討


米国のコホート研究だが、日本の行政関与のコホートと異なり、
正直に「PADの絶対頻度はコホートの中で1%程度と少ない」と記載。
研究対象疾患を過大評価し、 俯瞰的に評価することにない、研究費をもらうことだけが目的の科研研究とはひと味違う。

日本の某会社なんて、PADのリスク説明に喫煙一言も書いていないし・・・
 http://www.otsuka.co.jp/disease/pad/about/page8.html





こういったいんちき報告とは違い、以下の報告は、リスク要素を真に客観的に記載しているところがためになる

 Associations Between Conventional Cardiovascular Risk Factors and Risk of Peripheral Artery Disease in Men
Michel M. Joosten, et. al.
JAMA. 2012;308(16):1660-1667. doi:10.1001/jama.2012.13415.

1986年心血管疾患病歴のない米国44985名の検討( Health Professionals Follow-up Study )、25年フォローアップ

臨床的重大なPADは、下肢切断、血管再建、血管造影上50%以上の狭窄、ABI 0.9未満、医師診断PADと定義


フォローアップ中央値 24.2年間(IQR, 20.8-24.7年間)
PAD発症 537例


4つのリスク要素とは、喫煙、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病

どのリスク要素も、ほかの3つのリスク要素・共役要素補正後も、PADに関して、有意で、独立したリスク要素

年齢補正発生率は、

10万人年対は、リスク要素数として
0 :  9 (95% CI, 6-14) (n = 19 )
1 : 23 (95% CI, 18-28) (n = 99 )
2 : 47 (95% CI, 39-56) (n = 176 )
3 : 92 (95% CI, 76-111) (n = 180 )
4 :  186 (95% CI, 141-246) (n = 63 )

追加リスク要素毎多変量補正ハザード比は 2.06 (95% CI, 1.88-2.26)

4つのリスク要素無の男性では、PADハザード比は、ほかのすべての男性コホート比較で  0.23 (95% CI, 0.14-0.36)

PAD症例の96%(95% IC, 94%-98%)で、PAD診断時、4つのリスク要素のうち最低一つは存在した。
4つのリスク要素と関連した住民寄与リスクは 75% (95% CI, 64%-87%)

4つすべてのリスク要素存在する場合のPAD絶対的発症率は 1000人年あたり3.5



要約は以上だが、各リスク要素毎に検討考察がなされている。

リスクとしては喫煙が一番影響があり、非喫煙経験例比較で、1日2パック喫煙現行喫煙者の補正比例ハザードは 12.89 (95% CI 8.59 - 19.34)。
そして、禁煙後期間経過ごとにリスク減少するが、20年経過後もリスク増加 (HR 1.39, 95% CI 1.10 - 1.76)

2型糖尿病・高血圧併発期間により、PADリスク増加するも高血圧期間とはリスク関連せずしかし、2剤以上服用の高血圧重症度はリスクと関連せず、ハザード比2.07 (95% CI 1.55 - 2.78)

リスク要素のないだ陰性のハザード比は 0.23 (95% CI 0.14 - 0.36).

喫煙経験なし男性に対し、3つ以上のリスク用を有する場合のその他3つの寄与リスクは、53% 53% (95% CI 29 - 71)



2012年10月23日火曜日

2型糖尿病:豆果を用いた低GI食にて、血糖コントロール・冠動脈疾患リスク減少効果

豆果(英: Legume)
マメ科植物の多くに見られる果実。

一枚の心皮からなる子房からできた果実で、成熟すると、心皮が癒合した跡の縫合線から二片に裂開する。インゲン、エンドウ、ネムノキ、ダイズ、ハナズオウ、ルピナス、クローバー、カラスノエンドウなど。単果(たんか)、乾果(かんか)、裂開果(れっかいか)に属する。莢果(きょうか)ともいう。
http://engei-dict.882u.net/archives/2473


Effect of Legumes as Part of a Low Glycemic Index Diet on Glycemic Control and Cardiovascular Risk Factors in Type 2 Diabetes MellitusA Randomized Controlled Trial
David J. A. Jenkins, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-8. doi:10.1001/2013.jamainternmed.70.


背景  bean、chickpea、lentilを含む豆果は、 glycemic index (GI) 最小のたぐいで、米国内での糖尿病ガイドラインで推奨されている。しかし、知る限り、食事の低GI化に特異的に使用されているとは言えない。そこで、介入において豆果に焦点を当て、2型糖尿病に於ける低GI食研究を行った。

方法  121名の糖尿病被験者をランダムに
・低GI豆果食事(少なくとも豆果1日1カップ)
vs
・全粒麦製品による可溶性繊維分増加食
にわりつけ、3ヶ月間


プライマリアウトカムはHbA1cで、セカンダリアウトカムとしてCHDリスクスコア評価。


結果 
HbA1c減少
・低GI豆果食 −0.5% (95% CI, −0.6% to −0.4%)
・全粒麦食  −0.3% (95% CI, −0.4% to −0.2%)

対照の全粒麦高摂取食に比べ、低GI食後のHbA1c相対的減少は、−0.2% (95% CI, −0.3% to −0.1%; P < .001)

CHDリスク減少は、低GI豆果食で −0.8% (95% CI, −1.4% to −0.3%; P = .003)
主に、収縮期血圧減少による  (−4.5 mm Hg; 95% CI, −7.0 to −2.1 mm Hg; P < .001)


結論  2型糖尿病に関して、低GI食に豆果を加えることで、糖のコントロール改善し、冠動脈疾患リスクを減少させることができる。




2012年10月22日月曜日

スポーツアスリート: 米国vs欧州で異なるアスリートの心電図検査取り扱い

この2つの地域での、スポーツアスリートの心臓評価、特に、心電図考え方はかなり異なる。

競技スポーツ適否は、運動負荷心電図で判定すべき(ヨーロッパ vs 米国) 2008年 07月 11日


無症状対象者スクリーニング:安静・負荷心電図所見とその後の心血管イベント 2011年 09月 26日


スポーツ・アスリートの死亡事故は起きれば衝撃的だが、アスリート 10万人あたり 0.6とかなり頻度が少ないため、考え方の違いが生じている。


ESCの推奨:1-3年の検診推奨
Recommendations for interpretation of 12-lead electrocardiogram in the athlete
European Heart Journal (2010) 31, 243–259
doi:10.1093/eurheartj/ehp473
http://www.suc.org.uy/Articulos/Recommend12-leadECGathlete.pdf
Group1:洞性徐脈、1度房室ブロック、不完全右脚ブロック、早期再分極(参照)、 左室肥大QRS電位クライテリアのみ
Group2:T波陰転化、ST部位低下、病的Q波、左房拡大、左軸偏位/左枝ヘミブロック、右軸偏位/左後枝ヘミブロック、右室肥大、完全左脚ブロック或いは完全右脚ブロック、long- or short QT間隔、Brugada様早期再分極



A: Brugadaでは、STJ(J点)/ST80( 80msのポイント) 1.9
B:上段STJ/ST80 <1 (この場合0.7)
B:下段STJ/ST80 0.68
上記が、欧州のスクリーニングの考え方だが・・・


100万名近いアメリカ人アスリートがいるが、事前の心電図使用判断は曲がり角となっている。


14-35歳の1000名を越える研究で、新規心臓疾患診断はアスリートの2%程度アスリート毎に143$コストになると、Andrea Menafoglio (Ospedale San Giovanni in Bellinzona, Switzerland)。

平均19.9歳、 男性 75%、アイスホッケー選手 12%、平均週7.9時間のトレーニング、9年間平均。精査必要となったのは、6.3%、4%が心電図異常、1.4%が家族歴によるもの。身体所見によるものは1%未満。
大多数は運動負荷心電図で、一部に心臓MRI、ECG家族精査、Long QT症候群の遺伝子検査。

新規心臓疾患診断は、1.8%で、特発性心室性不整脈、特発性心房性不整脈、WPW心電図パターン。Long QT Syndrome type 1、 僧帽弁逸脱、大動脈二尖弁、収縮期高血圧などを含む。

「ロンドンマラソンの時は、5万名に1人だが、今日のその辺を歩いている250から500人に1人は死亡リスクがある。小国ではコスト効果的だろうが、アメリカでは異なる」という主張。
大動脈二尖弁を見つけても競技の参加可否に影響を与えたわけでも無く、無意味という主張。

Sudden Death: No Easy Answers on Screening Athletes
By David Pittman, Washington Correspondent, MedPage Today
Published: October 20, 2012
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/AcuteCoronarySyndrome/35449


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