2013年3月6日水曜日

悪夢の細菌:カルバペネム耐性エンテロバクター科:CRE ・・・ 医療機関起因

CDCから、悪夢の細菌:“nightmare bacteria” と称されている。エンテロバクター科だけでなく、プラスミド経由で他細菌にまで、多剤耐性を広める可能性が有り、まさに、悪夢。

エンテロバクター科は、大腸菌を含む70種超の細菌種類の集まりで、消化管に本来存在。これた次第にカルバペネムという抗生剤に耐性を持つようになってきた。
19名の患者発症し、12名死亡、うち、7名で抗生剤耐性Klebsiella肺炎が直接の死因というような集団発生事例をNIHが行っている。

Vital Signs: Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae
Early Release
March 5, 2013 / 62(Early Release);1-6
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm62e0305a1.htm?s_cid=mm62e0305a1_w
【背景】Enterobacteriaceae:エンテロバクター科 は医療施設院内感染原因・地域内での感染でも多い。エンテロバクター科の間で、広域スペクトラムカルバペネム抗菌薬耐性はまれだった。ここ10年で、カルバペネム耐性エンテロバクター科(CRE:carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)が医療施設で、高死亡率を伴う治療困難病原菌として認識されるようになってきた。
【方法】 2012年 cs (HAIs)から、少なくとも一つのCRE報告ある急性期病院比率を2012年National Healthcare Safety Network (NHSN)へのデータ推定。
CRE比率を2つのサーベイランスシステムを用い計算
1) National Nosocomial Infection Surveillance system (NNIS) とNHSN ( 2001 、 2011)
2) Surveillance Network–USA (TSN) (2001 、 2010)

CRE培養陽性エピソード特性を、3つの州のEmerging Infections Program (EIP)で行われた、住民ベースCREサーベイランスプロジェクトとして収集データ利用し決定 

【結果】 2012年、急性期病院の4.6%で少なくとも1つのCRE HAI(Emerging Infections Program (EIP))、短期滞在病院では3.9%、長期急性期病院では17.8%

CREである、エンテロバクター科比率は、2001年 1.2%から、2011年 4.2%(NNIS/NHSN)、2001年 0% → 2010年 1.4%(TSN)

Klebsiella 属でも増加が見られる(NNIS/NHSN 1.6% → 10.4%)

EIPサーベイランスでは、 CREエピソードの92%が、医療機関での暴露で生じている


【結論】エンテロバクター科で多いカルバペネム抵抗性はここ10年でさらに増加。多くのCREは医療機関感染と関連する






非虚血性拡張型心筋症:心筋線維化指標によるリスク層別化

"midwall hyperenhancement (MWHE) on late gadolinium enhancement cardiovascular magnetic resonance (CMR) imaging"による心筋線維化評価が、拡張型心筋症の様々な予後推定にかなり役立ち、左室駆出率を凌駕する。


Association of Fibrosis With Mortality and Sudden Cardiac Death in Patients With Nonischemic Dilated Cardiomyopathy
Ankur Gulati,  et. al.
JAMA. 2013;309(9):896-908. doi:10.1001/jama.2013.1363
【序文】非虚血性拡張型心筋症のリスク層別化は主に左室駆出率(LVEF)により行われている。より優れた予後要素によりICDやマネージメント決定の患者選別の改善がなされるかもしれない
【目的】心筋線維化(遅延ガドリニウム取り込み心血管MR:LGE-CMR)が、拡張型心筋症の死亡率・心突然死の独立した、漸増的予後因子となるかどうか?
【デザイン・セッティング・患者】2000年11月から2008年12月までのGMR画像UKセンター受診の472名の拡張型心筋症の前向き、長軸研究(midwall replacement fibrosisの存在と広がり)、2011年12月までフォローアップ
【主要アウトカム測定】プライマリエンドポイントは全原因死亡率。セカンダリエンドポイントには、心血管死亡率・心臓移植;心突然死のうつの不整脈要素、心突然死中断エピソード(適切ICDショック、非致死的心室細動、持続性心室頻拍);心不全死、心不全入院、心移植組み合わせ
【結果】死亡:midwall線維化あり 38名(26.8%)/142名  vs  線維化無し 35名 (10.6%) / 330  (ハザード比 [HR], 2.96 [95% CI, 1.87-4.69]; 絶対リスク比, 16.2% [95% CI, 8.2%-24.2%]; P < .001)、フォローアップ中央期間 5.3 年間 (フォローアップ人年 2557)

不整脈 組み合わせイベントは、線維化あり 42名(29.6%) vs 線維化無し 23(7.0%) (HR, 5.24 [95%CI, 3.15-8.72]; 絶対的リスク差, 22.6% [95% CI, 14.6%-30.6%] ; p < 0.001)

LVEF・他の通常予後因子補正後、線維化存在(HR, 2.43 [95% CI, 1.50-3.92]; P < .001) 及びその広がり (HR, 1.11 [95% CI, 1.06-1.16]; P < .001) は、全原因死亡率と相関 し、漸増的に関連。

 線維化は、また、心血管死亡率や心移植と独立した相関 (by fibrosis presence: HR, 3.22 [95% CI, 1.95-5.31], P < .001; and by fibrosis extent: HR, 1.15 [95% CI, 1.10-1.20], P < .001)
同様に、心臓突然死、心臓突然死中断エピソード (線維化存在による: HR, 4.61 [95% CI, 2.75-7.74], P < .001; 線維化の広がり: HR, 1.10 [95% CI, 1.05-1.16], P < .001)、心不全構成要素 (線維化存在: HR, 1.62 [95% CI, 1.00-2.61], P = .049; 線維化広がり: HR, 1.08 [95% CI, 1.04-1.13], P < .001)と相関。

左室駆出率に線維化という要素を加えることで、全原因死亡率や心臓突然死成分でのリスク再分類改善 (ネットの再分類効果 : 0.26 [95% CI, 0.11-0.41]; P = .001、 0.29 [95% CI, 0.11-0.48]; P = .002)
【結論・明確化事象】
拡張型心筋症において、LGE-CMR画像でのmidwallの線維化の評価は、左室駆出率の上を行く、独立した予後推定要素。拡張型心筋症におけるリスク層別化でのLGE-CMRの役割は今後さらに検討が必要。

関節リウマチ:抗TNF治療開始は帯状疱疹再活性化と関連せず

帯状疱疹のreactivationは、不均等にリウマチ患者に影響を与えるが、抗TNF治療の帯状疱疹リスク増加との関与不明。

関節リウマチや他の炎症性疾患患者において、抗TNF治療開始患者において、非生物学的製剤治療レジメン開始患者と比べても、帯状疱疹リスク増加と関連せず

Association Between the Initiation of Anti–Tumor Necrosis Factor Therapy and the Risk of Herpes Zoster
Kevin L. Winthrop,  et. al.
JAMA. 2013;309(9):887-895. doi:10.1001/jama.2013.1099.

2013年3月5日火曜日

RLS治療:システマティックレビュー・メタアナリシス

日本神経治療学会/標準的神経治療:Restless legs 症候群 2012年1月
http://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf
1.ドパミンアゴニスト
・非麦角系 :プラミペキソール、ロピニロール、タリキペソール
・麦角系 カベルゴリン
2.L-DOP/DCI製剤
3.BZ系:クロナゼパム
4.抗けいれん薬:ガバペンチン
5.オピオイド
6.鉄剤
が、薬物療法代表的薬剤となっているが、プラミペキソールのみが保険適応
(ビ・シフロール錠0.125mg/ ビ・シフロール錠0.5mg)

上記では、抗けいれん薬としてガバペンチン記載されてるが、下記では、カルシウムチャンネルα2δリガンドとして、プレガバリンとともに標記。

"Pharmacologic therapy for primary restless legs syndrome:
a systematic review and meta-analysis"
Wilt T, et al
JAMA Intern Med 2013; DOI: 10.1001/jamainternmed.2013.3733.
29の登録RCT、高強度エビデンスは臨床的有意奏功患者比率を、IRLS(International Restless Legs Syndrome)ベースラインからの50%以上と事前定義
プラシーボ比較でドパミンアゴニスト治療は奏功患者比率高い(61% vs 41%) (リスク比, 1.60 [95% CI, 1.38-1.86]; 7 トライアル)

ドパミンアゴニストはまた、患者報告睡眠スケールスコア・QOL測定値改善

カルシウムチャンネルα2δリガンドはIRLS奏功率増加の高強度エビデンス (61% vs 37%) (リスク比, 1.66 [95% CI, 1.33-2.09]; 3 トライアル)

吐気・嘔吐・眠気といったドパミンアゴニスト副事象関連性

α2δリガンド副事象イベントは、眠気と歩行不安定、めまい 



 http://www.psychiatrist.com/brainstorms/br6505jap.pdf
プレガバリン(リリカ)とガバペンチン(ガバペン)は、電位依存性シナプス前N型・P/Q型カルシウム チャネルの阻害により、活性ニューロンの神経伝達を減少させます。N型・P/Q型カルシウムチャネルでは、シナプス系神経伝達中に神経伝達物質放出が調整されます。すなわち、カルシウムがこれらのシナプス前チャネルを移動する際に、神経伝達物質が放出されるのです。プレガバリンとガバペンチンは、これらのシナプス前カルシウム チャネルの特定サブユニットに対し、高親和性結合をします。このサブユニットはα2δ サブユニットと呼ばれるため、これらの抗痙攣薬は α2δリガンドと呼ばれます。

マイスリー:老人介護施設転倒股骨折事故増加;新規使用、軽度・中等度認知症、移動部分介助者で影響大きい

zolpidem tartrate(マイスリー)、 eszopiclone(フルナイト)、 zaleplon(ソナタ)といった非ベンゾジアゼピン系薬剤

日本販売されてるのはマイスリーのみ
マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要 2012/11/21
SMART療法で全国に喘息患者に迷惑をかけてるアステラス製薬販売の薬


股関節骨折のリスクは、ナーシングホーム居住者で、上記薬剤使用者に多い
そして、新規使用、軽度・中等度認知機能障害、移乗での部分介助必要者でもっともその影響が大きい
ナーシングホーム居住者において、これらの薬剤処方時には注意をすべき

Nonbenzodiazepine Sleep Medication Use and Hip Fractures in Nursing Home Residents
Sarah D. Berry,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-8. doi:10.1001/jamainternmed.2013.3795.

学術研究下症例交差研究
50歳以上の米国ナーシングホーム長期滞在居住者15528名(2007年7月1日から2008年12月31日)

研究登録者のうち、転倒事故前非ベンゾジアゼピン系睡眠薬服用 1715(11.0%)
リスク暴露無し 927を含み検討。

被験者平均(SD)年齢 81.0(9.7)歳、女性 77.6%
股関節骨折リスクは非ベンゾジアゼピン使用で多い  (OR, 1.66; 95% CI, 1.45-1.90)
非ベンゾジアゼピン睡眠薬使用と股関節骨折の相関は新規使用者に若干多い   (OR, 2.20; 95% CI, 1.76-2.74) 、軽度 vs 中等度・重度認知障害で多い  (OR, 1.86 vs 1.43; P = .06)、 中等度 vs 総・重度機能障害 で多い (OR, 1.71 vs 1.16; P = .11)、 移動時限定的介助必要 vs 完全介助必要で多い  (OR, 2.02 vs 1.43; P = .02)、 Medicaid病床の少ない施設で多い (OR, 1.90 vs 1.46; P = .05)
研究解釈上の問題点として、
・処方量情報無し
・基礎疾患関与の可能性

老人施設入所者に対するマイスリー処方に関しては 十分な配慮が必要とMedpage
http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/Sleepdisorders/37651

マイスリー&高齢者でググると、薬剤師がいかに製薬会社の宣伝文句に左右されているかがよくわかる。「処方数が多いから目立つ」だの、中には「高齢者向き」だの・・・後者は販売時のアステラスMRの宣伝文句だったやつ。・・・これが未だに効いてるようだ。

発売当時の「藤沢薬品工業株式会社」の宣伝
藤沢薬品工業株式会社は、同社、サノフィ・サンテラボ株式会社ならびに藤沢サノフィ・サンテラボ株式会社の三社にて共同開発した入眠剤「マイスリー錠」(一般名:酒石酸ゾルピデム)を12月13日に、新発売しますのでお知らせします。

 従来、不眠症治療の第一選択薬としてはベンゾジアゼピン系睡眠薬が使われていますが、中枢神経系にはこれらの薬剤に高い親和性を示すω(オメガ)受容体と呼ばれる受容体があります。ω受容体には2つのサブタイプがあり、ω1受容体は催眠鎮静作用に、ω2受容体は抗痙攣作用、抗不安作用及び筋弛緩作用に深く関与しているものと考えられており、不眠症の治療にはω1受容体に選択的に作用する薬剤の開発が待たれていました。
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/fujisawa/001211b.html
「ω1選択性=筋弛緩作用無し」と信じ込む人に良い医師・薬剤師さんたちが・・・未だに、転倒事故を誘発させている。

結論としては、アステラス製薬の営業は優秀だということ。そして、悪害を振りまく効果も抜群・・・。
「喘息発作がでたらシムビコート吸ってたら大丈夫ですよ」って言う(ベースの吸入ステロイド使用の重要性無視した)馬鹿医者を大量生産しつつあるのもここの営業活動が優秀なおかげ・・・。


経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加 投与4-14日めがリスク最大

GLP-1アナログ製剤も、DPP4阻害剤も急性膵炎入院と関連 2013年02月26日 の同月同雑誌記載の報告

経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加

住民ベース症例対照研究
6161名の急性膵炎と、61637名の対照
急性膵炎リスクは経口ステロイド現行使用vs非使用者で、オッズ比 1.53:95% CI, 1.27-1.84
薬剤使用4日〜14日で最もリスクが高い(オッズ比 1.73、95%CI, 1.31-2.28)で、その後はリスク減少
最近ステロイド使用とか、かつての使用とかは、リスク増加と関連せず

Association of Oral Glucocorticoid Use With an Increased Risk of Acute PancreatitisA Population-Based Nested Case-Control Study
Omid Sadr-Azodi, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2737.


発熱性好中球減少症:FNガイドライン遵守 抗生剤使用に関しては病院・医師の経験により改善 しかし ガイドラインにない治療も・・・

発熱性好中球減少症(FN)
日本では、「発熱:1回の腋窩温 37.5度以上または口内温 38度以上、好中球減少 1000/μLで、500/μLに減少することが予測される場合」と定義されているらしい

20120426 日本臨床腫瘍学会 発熱性好中球減少症ガイドライン ドラフト版

もちろん、対象は、日本のガイドラインじゃなくて、IDSAのガイドラインの方
http://www.idsociety.org/uploadedFiles/IDSA/Guidelines-Patient_Care/PDF_Library/FN.pdf
 Vancomycin (or other agents active against aerobic gram-
positive cocci) is not recommended as a standard part of the
initial antibiotic regimen for fever and neutropenia (A-I)
CSFs are not generally recommended for treatment of
established fever and neutropenia (B-II)
要するに、バンコマイシンもCSFも標準治療としては認められてない。

これを前提に、「ガイドラインベースの抗生剤使用頻度は高いが、ガイドラインにない治療であるバンコマイシン・GCSFの使用頻度が高い。医師や病院要素により、ガイドラインベース及び非ガイドラインベースの治療に影響を強く及ぼしている」

Deviations From Guideline-Based Therapy for Febrile Neutropenia in Cancer Patients and Their Effect on Outcomes
Jason D. Wright, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-10. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2921.

ガイドラインベース推奨コンプライアンス調査

FN受診25231名のうち、ガイドラインベースの抗生剤使用は79%
バンコマイシン37%、GCSF 63%

FN volumeの高い病院 (odds ratio [OR], 1.56; 95% CI, 1.34-1.81) 、FN-volumeの高い医師  (OR, 1.19; 95% CI, 1.03-1.38)  、ホスピタリスト管理患者 (OR, 1.49; 95% CI, 1.18-1.88)で、ガイドラインベースの抗生剤使用が多い(p < 0.05)。

バンコマイシン使用は2000年17%から2010年55%へ増加
GCSF使用は 73%から55%へ減少

低リスクFN患者において、ガイドラインベースの抗生剤適正開始は、ナーシング施設への転院及び死亡減少と関連 (OR, 0.77; 95% CI, 0.65-0.92 、OR, 0.63; 95% CI, 0.42-0.95)







HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...