2014年1月23日木曜日

閉経後女性:ω3指数高値 なら、後年の脳・海馬のサイズ萎縮少ない

女性の疫学研究からはω3指数(RBC EPA + DHA)と、年齢関連認知機能との相関性認められなかった。

Omega-3 fatty acids and domain-specific cognitive aging: Secondary analyses of data from WHISCA
October 22, 2013 81:1484-1491; published ahead of print September 25, 2013
だが、閉経女性で、ω3指数(RBC EPA + DHA)は、8年後の脳及び海馬容積と相関するという報告がなされた。

Higher RBC EPA + DHA corresponds with larger total brain and hippocampal volumes
WHIMS-MRI Study
Published online before print January 22, 2014, 
 doi: 10.1212/WNL.0000000000000080 
 Neurology 10.1212/WNL.0000000000000080


脳のサイズと機能的な推移の関連性にばらつきが見られる。

アトピー性皮膚炎:ブドウ球菌バイオフィルムが、汗腺閉塞・掻痒に影響を与える

アトピー性皮膚炎症例での、ブドウ球菌バイオフィルム形成は汗腺閉塞に重要な役割を果たし、炎症と皮膚掻痒をもたらす。

他剤抵抗性ブドウ球菌のうち、主要菌種は、黄色ブドウ球菌 42.0%、表皮ブドウ球菌 20.0%
全例、細胞外ポリサッカライドとバイオフィルム陽性(strong biofilm 85.0%、 moderateからweak 15.0%)
PCRによるバイオフィルム関連 icaD(93.0%)、aap(12.5%)遺伝子検出
皮膚組織から微生物検出同定、細胞外biomass形成、biofilm形成、ブドウ球菌biofilmを検討。
PAS陽性・Congo red陽性汗腺閉塞
アトピー性皮膚でのToll-like受容体2活性化 (感染近傍直下)にてproteinase-活性化受容体2関連皮膚掻痒を生じる可能性、そして、MyD88介在spongiosis発症の可能性。


The Presence and Impact of Biofilm-Producing Staphylococci in Atopic Dermatitis
Herbert B. Allen,  et. al.JAMA Dermatol. Published online January 22, 2014. doi:10.1001/jamadermatol.2013.8627 


専門外だけど、アトピー皮膚症状と特定の細菌感染及びそのバイオフィルム特性が関連していることは、病状・治療管理上からも納得。

食事由来フラボノ−ル摂取増加:2型糖尿病発症抑制的に働く

茶、チョコレート、ベリー内に含まれるフラボノイドであるフラボノ−ルが、特に、2型糖尿病抑制的に働く。

2型糖尿病リスクに関わるフラボノイド内のクラス毎の違いはありそうだが、非常に限定されたエビデンスであった。長期研究少なく発症リスクとの関連性示せなかった。フラボノイド・クラス別評価で、フラボノ−ル摂取の有益性が明らかとなった。

カテキンなどのフラバノールとは異なる、フラボノ−ル
黄色色素として広く存在
→http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/phytochemicals/flavonoids/flavtab3.html
あらゆる食品に存在するが、タイム・セロリは少なく、タマネギ、ケール、ブロッコリー、赤ワイン、ブルーベリーなどに多いようだ。


ロンドン、University of East Anglia and King's College研究者等は、アントシアニンなどのフラボノイドを多く含むほどインスリン抵抗性低下させ、血糖調整上優位に働くことを示した。

約3千名女性の研究で、食事アンケート(フラボノイド摂取総量推定、6つのフラボノイドサブクラス分類可能)を行い、採血にて血糖調整、炎症所見のエビデンス調査。



Higher Dietary Flavonol Intake Is Associated with Lower Incidence of Type 2 Diabetes
Paul F. Jacques
J. Nutr. September 1, 2013 vol. 143 no. 9 1474-1480

Framingham Offspring cohort(1991年から2008年)、2915名をフォロー
糖尿病をこの場合空腹時血糖 7 mmol/L以上、もしくは、血糖降下薬使用開始と定義

フラボノイドを6つのクラスに分け、そして総量と共に推定。

平均 11.9年(range 2.5 - 16.8年)間、フォローアップ期間での、2型糖尿病発症308例

多変量因子補正、経過時間依存解析、長期間フラボノイド摂取を考慮上解析
  • flavonol 2.5倍摂取増加毎、26% [HR = 0.74 (95% CI: 0.61, 0.90 2型糖尿病発症率減少 P-trend 0.003
  • flavan-3 ol 2.5倍摂取、11%[HR = 0.89 (95% CI: 0.80, 1.00] 2型糖尿病発症率減少 P-trend 0.06
フラボノイドクラスと2型糖尿病リスクに、他の相関性認めず
フラボノイド摂取と2型糖尿病リスクに優位なベネフィット的関連性を認めた。




Classification of flavonoids


Flavonoid class Flavonoid compounds
Flavonols Quercetin, kaempferol, myricetin, isohamnetin
Flavones Luteolin, apigenin
Flavanones Eriodictyol, hesperetin, naringenin
Flavan-3-ols Catechin, gallocatechin, epicatechin, epigallocatechin, epicatechin 3-gallate, epigallocatchin 3-gallate
Anthocyanins Cyanidin, delphinidin, malvidin, pelargonidin, petunidin, peonidin
Polymeric flavonoids Proanthocyanidins (dimers, trimers, 4–6 mers, 7–10 mers, polymers, excluding monomers), theaflavins, thearubigins


TABLE 2
Flavonoid intake for members of the Framingham Heart Study Offspring cohort at 5th through 7th examinations1
Flavonoid class Exam 5 (1991–1995) Exam 6 (1995–1998) Exam 7 (1998–2001)
mg/d mg/d mg/d
Flavonols 10.6 (6.6, 16.4) 10.9 (6.9, 16.5) 10.9 (7.1, 16.5)
Flavones 1.6 (0.8, 2.5) 1.8 (0.9, 2.7) 2.0 (0.9, 2.8)
Flavanones 33.8 (10.5, 61.0) 38.9 (11.8, 62.6) 38.3 (11.6, 62.2)
Flavan-3-ols 21.8 (11.8, 49.4) 22.5 (12.3, 49.3) 23.4 (12.6, 51.5)
Anthocyanins 9.0 (3.4, 17.2) 10.1 (3.6, 18.1) 12.4 (3.9, 20.0)
Polymeric flavonoids 114 (60, 222) 116 (62, 225) 123 (64, 238)
Total flavonoids2 210 (124, 368) 214 (132, 379) 225 (136, 386)
  • ↵1 Values are medians (25th, 75th percentiles), n = 2915.
  • ↵2 Total flavonoid intakes exclude isoflavones, which were not measured in this study.                         

インフルエンザ:解熱剤で、罹患数増加、死亡数増加 ・・・ 季節性インフルエンザで特に明確

過度の解熱剤使用は結果的には症状を不顕性化し、住民レベルで伝播促進的に働く・・・


インフルエンザ流行期・・・【かぜに早めのパブロン】というコマーシャルは、倫理的に許されるのだろうか?


Population-level effects of suppressing fever
David J. D. Earn,et. al.
Proc. R. Soc. B. 2014 281 20132570;
doi:10.1098/rspb.2013.2570 (published 22 January 2014)

感染性疾患不快症状治療のために使用される解熱剤のため、発熱は通常軽減される。解熱行為の負の作用について、住民レベルで明らかな影響懸念。住民レベルに影響を与える感染伝播性高い場合、解熱剤頻用は使用しない場合より、より疾患数増加、死亡数増加をもたらす可能性。

季節性インフルエンザの個別要素推定公表データを集積。データは不完全で、heterogeneityがあるが、全体的には、米国内で、解熱により、インフルエンザ症例数増加し、死亡数を増加することが示唆された。
reproduction number R  〜1.8で、パンデミックインフルエンザ推定1%(95% CI: 0.0 - 2.7%)、季節性では5%(95% CI: 0.2 - 12.1%)



帯状疱疹:卒中・TIAのリスク要素

卒中とTIAは、急性帯状疱疹の合併症という認識がなされつつある。逆に、帯状疱疹も、心血管疾患(卒中・TIA)や心筋梗塞)のリスク要素となる。

11万名弱のを対象としたUK住民での症例対照検討

帯状疱疹症例で血管疾患リスク要素有意に増加。TIA・心筋梗塞の補正ハザードは増加するも、卒中では認めない(AHR [95%CI], 1.15 [ 1.09 - 1.21 ]、 1.10 [1.05 - 1.16])
40歳未満では卒中、TIA、心筋梗塞とも増加(1.74 [1.13 - 2.66]、 2.42 [ 1.34 - 4.36 ]、 1.49 [1.04 -  2.16])

Herpes zoster as a risk factor for stroke and TIA
A retrospective cohort study in the UK
Judith Breuer,  et. al.
Neurology  Published online before print January 2, 2014



2014年1月22日水曜日

【英国】痛風:王様の病気は増加し、治療不十分が目立つ

日本の常識は世界の非常識で有名な尿酸治療の世界;痛風と関係なく、無症候性高尿酸血症(Asymptomatic hyperuricemia)への治療がなされる。

尿酸低下治療原理主義者たちだけが幅をきかす日本

これの是非に関するエビデンスに基づく議論が必要なはずだが、まともな議論がなされず、尿酸低下治療が唯一の痛風予防策のようなミスリードがなされる。実際に痛風に関する強い予測要素は、年齢、BMI、高血圧、コレステロール値、アルコール摂取であり、尿酸値がその予測要素とならないという報告もある。


閲覧者には、Medpage解説を冷ややかに見て欲しいのだが・・・


痛風治療英国内住民調査がなされてる。

Medpage解説によると、痛風という「王様たちの疾患」は、現代では一般庶民の疾患となった。米国内では830万名、住民の3.9%の罹患率。20年間で約2倍となり、40年間では3倍、これは肥満罹患率の増加、降圧利尿剤使用、高齢化に関係していると想定される。歴史的に見て、贅沢と関係し、食事量増大と関連し、腎疾患・心疾患のある患者に多く、管理すべきなのに、不十分管理が目立つ。痛風は急性あるいは間欠的疾患と誤解され、慢性破壊性関節疾患ということが忘れられている。症状出現前に関節内結晶存在する。これを忘れ、多くの医師たちは、古典的スタンダードであるNSAIDsやコルヒチン治療のみを行う。 
尿酸ナトリウム結晶は関節腔や滑液包内に到達し、NALP3 inflammasomeを活性化し、IL-1やTNFなどを遊離炎症を発生させる。尿酸値を飽和濃度未満に維持し、関節・組織結晶形成未満にする治療。 
 American College of Rheumatology (ACR)、 British Society for Rheumatology、 European League Against Rheumatism では、xanthine oxidase inhibitorすなわちアロプリノールを推奨。ACRでは、アロプリノール 100mg/日投与量という少ない量で、尿酸値を 6mg/dL未満とする目標で、 6mg/dL未満を特定の患者に推奨。100−300mg/日を腎機能に応じて調整。アロプリノールは800mg/日まで増量可能(日本では300mgまで?)だが、一度設定するとその後変更は少ない。アロプリノールの有害事象、500名から1千名に約1人という致死的可能性のある全身性過敏症がある。これは薬剤投与量最小開始でかなりの部分回避できると・・・。ACRガイドラインでは、HLA-B*5801 alleleと関連し、漢人に多く、日本人には比較的少ない(漢人 20% vs 日本人 1.2%)。 
帝人ファーマ開発のフェブキソスタット(febuxostat)は、アロプリノール代替だが、ACRガイドラインでは、アロプリノールとともに第1選択と記載された。しかし、高価で有りやはり代替オプションとして考えるべきだろうとされる。


Clinical and epidemiological research
Extended report
Rising burden of gout in the UK but continuing suboptimal management: a nationwide population study
Ann Rheum Dis doi:10.1136/annrheumdis-2013-204463

1997−2012年の英国一般住民調査

数年間痛風罹患・発生数増加。しかし、尿酸低下治療による至適治療率は変化無し。


Age-specific prevalence (A) and incidence (B) of gout in 2012 (Blue: men; red: women; green: total; dotted lines show 95% confidence bounds).




Secular trends of adherence of urate-lowering treatment (ULT) treated patients (blue: adherent; red: partially adherent; green: non-adherent patients).

EBM:口承 ・・・ 語り継ぐべき歴史

(McMasters大学の若きレジデンシー・コーディネーター 1990年4月の"Scientific Medicine"というフレーズからEvidence-based Medicine(EBM)というフレーズへ、この言葉はレジデンシープログラムのカリキュラムの核となったもので、Gordon Guyattらにより採用され、1992年JAMA誌・「The Rational Clinical Examination series」記事が掲載されている。その後、ご存じEBMの父とされる、David Sackettが1955年の「肝炎に対するベッド安静と食事に関するランダム化区分トライアル」報告を例として、患者にこれをどう適応するか解説。これが医者・医学生誰でも読んでるであろう‘clinical epidemiology'書籍。
 Archie Cochraneは、臨床家・疫学者で、Welsh National School of Medicineの教授、1988年79歳で死亡、1972年、Effectiveness and Efficiency: Random Reflections on Health Servicesというセミナー本を出版。
 Bryan Haynes(McMaster大学臨床疫学・生物統計教授)は"Expert-based Medicine"と呼びそのピットフォール認識啓発、1969年、医学校でのEBMの旅が始まった(Evidence-Based Medicine: An Oral History Video)。1960年代、Cochrane collaborationの共同出資者、Iain Chalmersは、後顧的研究主体の当時の研究結果に臨床上役立つツールや知見を見いだせず、怒りを覚えていたと。その後、UK National Perinatal Epidemiology Unitの設立につながった。

Editorial | January 22/29, 2014
Evidence-Based Medicine—An Oral History
Richard Smith, MBChB, CBE, FMedSci, FRCPE, FRCGP1; Drummond Rennie, MD, FRCP2
JAMA. 2014;311(4):365-367. doi:10.1001/jama.2013.286182. 



EBMの進歩(JAMA) 2008年 10月 15日



一方、「EBMに基づく・・・ガイドライン」などと、アホとしか思えない言葉が流布する日本。EBMとは、ガイドラインのための存在ではない。学会や講演会など聴講してると、講演者のEBMの意味はき違えが気になる。ただ、最近では、「EBM」という言葉流行から消えてるのか次第に耳にすることが少なくなってきた。日本には結局、EBMは定着しなかったのだろう。科学性を無視し、権威者の意見に左右されることが多すぎる日本の医療、その矛盾は各方面で、とくにワクチン行政や薬剤行政などでめだつ。



HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...