2016年9月7日水曜日

妊娠初期MRIの安全性と、造影MRIの胎児リスク




Association Between MRI Exposure During Pregnancy and Fetal and Childhood Outcomes
Joel G. Ray, et. al.
JAMA. 2016;316(9):952-961. doi:10.1001/jama.2016.12126.


研究意義  妊娠1st trimesterにおけるMRIの胎児安全性、ガドリニウム造影時の全妊娠期安全性不明
目的 1st trimester中のMRI後、妊娠全時期のガドリニウム造影時の長期安全性
デザイン・セッティング・被検者 カナダ・オンタリオ州 Universal health care database、2003-2015年20週間超生存児同定
暴露 妊娠1st trimester中のMRI、妊娠全期間ガドリニウムMRI暴露
主要アウトカム・測定 1st trimester MRI暴露に対し死産・新生児死亡(28日内)、先天異常、腫瘍、聴力・視力障害:4歳まで評価
妊娠全時期ガドリニウムMRI暴露に対しては、 nephrogenic systemic fibrosis (NSF-like) 様結合織・皮膚疾患(参考:http://emedicine.medscape.com/article/1097889-overview#showall)やより広範なリウマチ関連、炎症性、浸潤性皮膚疾患を同定
結果 1,424,105出産(女児 48%; 平均妊娠期間 39週)、MRI包括発生率 1千対3.97
no MRIに対する1st trimester MRI比較
死産・死亡 19 vs 9844(補正相対リスク[RR], 1.68; 95% CI, 0.97 to 2.90)、補正リスク差 1千人年 4.7s (95% CI, −1.6 to 11.0)
リスクは先天、新生物、視力・聴力障害で有意な増加見られず

no MRI (n = 1 418 451)に対するガドリニウム MRI(n=397)では
NSF-様アウトカムハザード比統計学的有意差認めず

リウマチ関連、炎症性、浸潤性皮膚疾患のより広いアウトカムは 123 vs 384,180(補正HR, 1.36; 95% CI, 1.09-1.69)、補正リスク差は1千人年で 45.3(95% CI, 11.3 - 86.8)
死産・児死亡は、 7 vs 9844(補正RR 3.70; 95% CI, 1.55 - 8.85) 、補正リスク差は1千人年あたり47.5 (95% CI, 9.7 - 138.2)

結論・知見 妊娠1st trimesterでのMRI暴露は非暴露に比べ胎児へ有害性リスク増加と相関せず
全妊娠期ガドリニウムMRI暴露はリウマチ関連、炎症、浸潤性皮膚疾患リスク、死産・児死亡リスク増加と関連
稀な副事象アウトカム検出不能な研究の可能性あり


添付文書上「妊娠、産婦、授乳婦等への投与」に関して、曖昧な「診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」とある。

https://www.medicallibrary-dsc.info/di/omniscan_intravenous_injection_syringe_10ml/pdf/pi_oms2_1109.pdf

2016年9月6日火曜日

好酸球性急性増悪は予後良好?:血中好酸球とCOPD急性増悪入院アウトカム

Blood Eosinophils and Outcomes in Severe Hospitalized Exacerbations of COPD
Mona Bafadhel, et. al.
Chest. 2016;150(2):320-328. doi:10.1016/j.chest.2016.01.026

COPD急性増悪入院37名
好酸球性急性増悪(200個/μL以上 and/or 2%以上)層別化
入院詳細、血中CRP、滞在日数、以降の再入院を群差比較

COPD 243名(117名男性)、平均年齢(range) 71 (44-93)

入院死亡率 3% (死亡までの平均期間 12日間 , range 9-16日)

好酸球数絶対数 100 個/μL(range 10 - 1500 個/μL)と好酸球性急性増悪クライテリア合致比率25%


この対象(好酸球性急性増悪)では、入院期間平均は非好酸球性急性増悪より短い (5.0 (1-19) vs. 6.5 (1-33),45 p=0.015)、経口ステロイド使用なされ、入院前治療とは関連せず

12ヶ月時点での再入院率は群間同等



好酸球

Salford Lung Study:COPD中等症/重症急性増悪発生減少効果 レルベア・エリプタ(ICS/LABA) vs 通常ケア

Salford Lung Study


  • ランカルボン酸フルチカゾン(吸入ステロイド:ICS)+ビランテロール(長時間作用β2アゴニスト:LABA)の合剤である、レルベア・エリプタ
  • 対照:通常ケア


なにかと批判の多い、吸入ステロイドのCOPDへの処方・使用



European Respiratory Society (ERS) International Congress
関連:Medpage Today

Effectiveness of Fluticasone Furoate–Vilanterol for COPD in Clinical Practice Jørgen Vestbo,et. al., for the Salford Lung Study Investigators
New Engl. J. Med. September 4, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1608033


同時発表


GP 75、2799名の、1日1回吸入レルベア治験

プライマリアウトカム:中等症/重症急性増悪 1年以内経験
セカンダリアウトカム:プライマリケア・コンタクト率(GP、看護師、他の医療職業者コンタクト)、セカンダリケア・コンタクト率(入院、専門家外来、ED受診)、COPD初期治療変更、3年内急性増悪患者のうち急性増悪率、time-to-event analysis分析


COPD患者の中等症/重症急性増悪を8.4% (95% 信頼区間 : CI, 1.4 - 14.9 , p=0.02)減少
COPD関連プライマリケア・コンタクト、セカンダリケア・コンタクト年間発生率に有意差なし

time-to-event analysisにおいて、初回中等症/重症急性増悪率、初回重症急性増悪発生率に有意差無し

エリプタ群に関する、肺炎に関する超過副事象認めず

他の重症イベント数は群間差認めず










好酸球、eosinophilの記載見当たらない・・・

2016年9月2日金曜日

COPDにおける肥満のインパクト

COPDにおける肥満のインパクト

Obesity is Associated with Increased Morbidity in Moderate to Severe COPD
Allison A.
Lambert, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.1432



多施設前向きコホート研究:3631名 COPDGene

肥満35%、class I (BMI 30-34.9kg/m2)肥満 21%、 Class II(BMI 35-39.9kg/m2) 肥満 9%、 class III  (BMI ≥ 40kg/m2)肥満 5%

併存症数は肥満class増加とともに増加  (p<0 .001="" p="">
肥満class増加は、呼吸器特異的QOL、全般QOL悪化と相関 (QOL; St. George’s Respiratory Questionnaire score 、Short Form-36 score v2)、6分間歩行距離 (6MWD)低下、呼吸困難 (modified Medical Research Council score of ≥2)増加と相関、COPD重症急性増悪(AECOPD)オッズ増加

肥満とアウトカム悪化の関連性は併存症から独立
例外はSF-36と重症急性増悪症例





東洋人にはありえない肥満だから・・・参考にならない? 逆に、肥満不耐性のアジア人だから参考になる?

2016年9月1日木曜日

小児喘息 VESTRI研究:アドエア vs フルタイド 安全性検討:重大喘息<入院>イベント非劣性、急性増悪減少有意差無し

重症喘息イベント:シムビコート(ICS/LABA併用)はICS単独に比べ重大喘息イベント発生抑制 2016/9/1

こちらは小児限定だが、ほぼ同様の安全性非劣性の結果
しかしプライマリではないが急性増悪予防効果に有意差認めなかった


長時間作用性β作用薬:LABAは成人では喘息関連死、小児では喘息関連入院リスク増加の懸念あり
LABAのICSへのadd-on治療の安全性検討



Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma
David A. Stempel, et. al.., for the VESTRI Investigators
N Engl J Med 2016; 375:840-849September 1, 2016 


小児(4-11歳)の連日喘息治療必要な症例、26週間の検討

プライマリアウトカムは、重症喘息急性増悪 (定義: deterioration of asthma leading to the use of systemic glucocorticoids (tablets, suspension, or inject ion) for at least 3 days (up to 10 days) or a single depot glucocorticoid injection.);微妙に「シムビコート vs パルミコート」と違う



6208名のうち重大喘息関連イベント(全例:入院)
アドエア:フルチカゾン-サルメテロール 27
フルタイド:フルチカゾン 21
ハザード比 1.28 (95% 信頼区間 [CI], 0.73 to 2.27)
非劣性 (P=0.006)


重大喘息急性増悪
アドエア:フルチカゾン-サルメテロール 265 例 (8.5%)
フルタイド:フルチカゾン 309例(10.0%)
(ハザード比, 0.86; 95% CI, 0.73 to 1.01)




・・・小児はICS単独優先すべきという議論に向かうのか?


重症喘息イベント:シムビコート(ICS/LABA併用)はICS単独に比べ重大喘息イベント発生抑制

2009年、FDAは市販後調査からLABA含有薬剤の安全性への懸念が呈された。アストラゼネカから宿題提出ということらしい

同様に、アドエア(フルチカゾン+サルメテロール) vs フルタイド(フルチカゾン)の宿題提出は

Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma
David A. Stempel, et. al.., for the VESTRI Investigators
N Engl J Med 2016; 375:840-849September 1, 2016 
DOI: 10.1056/NEJMoa1606356



喘息死自体はICS/LABA(ブデソニド・ホルメテロール)で出現しているが、ICS(ブデソニド)単独では出現していない。5千名以上のサンプルなので統計学的な有意性は示されてない。そもそも、のかなりの重症喘息なので、リスキーな被検者たちということなのだろう。


一方で、こういう論文の結語が採用されると言うことは、言い換えれば、喘息治療目標は、死なないための治療とともに、<一定期間ステロイド治療や入院必要なほどの>重症喘息イベントを起こさせにくい治療ということなのだろう。



Serious Asthma Events with Budesonide plus Formoterol vs. Budesonide Alone
Stephen P. Peters, et. al.
N Engl J Med 2016; 375:850-860September 1, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1511190


多施設二重盲験26週間研究
12歳以上、持続性喘息(連日喘息治療) 、直近1年間1-4喘息急性増悪:但し生命危機発作例を除く

プライマリエンドポイントは初回重症喘息関連イベント(死亡、挿管、入院を含む;本文中記載は、3日以上全身ステロイド投薬必要な状況、喘息による入院、結果としてステロイド投与必要となった救急部受診):time-to-event analysis



ランダム化:11,693例

  • ブデソニド/フォルメテロール群 5846
  • ブデソニド群 5847


重症喘息関連イベント

  • ブデソニド/フォルメテロール群 43
  • ブデソニド群 40

 (ハザード比, 1.07; 95% 信頼区間 [CI], 0.70 to 1.65]); ブデソニド/フォルメテロール群はブデソニド単独比較非劣性

2例の喘息関連死、両群ともブデソニド/フォルメテロール群:1例は喘息関連挿管施行

喘息急性増悪のリスクは、ブデソニド単独よりブデソニド/フォルメテロールで16.5%少ない (ハザード比, 0.84; 95% CI, 0.74 to 0.94; P=0.002)





今日は、夏休みの宿題提出日ですね。夏休みぼけで、手ぶらで9月1日学校に行ったことのある人→私

COPDの合併症としての心房細動

COPD患者において、心房細動はコモンな合併症で、下記報告を参考にすると、1割強に合併していることとなる。

コントロールとしては抗血栓と心拍コントロール、他心不全対策となるのだろうが・・・

厳格に言えば、アーチスト(カルベジロール)の禁忌は「気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支筋 を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を 起こすおそれがある。]」であり、COPDのみでは禁忌とはならない。喘息合併:ACOSなどの問題点からやはりβ遮断剤処方忌避することとなるのだろう。メインテート(ビソプロロール)の禁忌項目に喘息/気道攣縮認めない。

COPD患者の心房細動治療不十分が示唆される


Impact of Chronic Obstructive Pulmonary Disease on Prognosis in Atrial Fibrillation: A Report from the EURObservational Research Programme Pilot Survey on Atrial Fibrillation (EORP-AF) General Registry
Marco Proietti, et. al. , on behalf of EORP AF Investigators
AHJ American Heart Journal, 08/31/2016

EORP-AF Registry Pilot Phase登録患者の検討

AF患者のうち、COPD診断 339(11.0%) 
COPDのうちAFはリスク要素/合併症 burden多い、例えば、糖尿病、うっ血性心不全(p < 0.001)
COPD患者においてβ遮断薬処方少ない (p=0.0007)

COPD/AF患者はCV死亡、全原因死亡高リスク( p <  0.0001)、同様に、血栓塞栓/出血/CV死亡組み合わせアウトカムリスク増加 (p=0.0003)

Cox regression analysis にて COPDは全原因死亡リスク増加と独立して関連 (ハザード比1.55, 95%CI 1.05–2.28; P = .0269)





atrial fibrillation (HR 1.6).として表示されている





http://journal.copdfoundation.org/jcopdf/id/1022/Defining-COPD-Related-Comorbidities-2004-2014

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note