2017年12月8日金曜日

J-STARS Echo 研究:二次予防トライアル


スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制
日本の常用量・多施設ランダム化オープントライアル

二次予防トライアルということを強調したいため記載



Long-Term Effect of Pravastatin on Carotid Intima–Media Complex Thickness
The J-STARS Echo Study (Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke)
Masatoshi Koga, et al.
Stroke. 2017;STROKEAHA.117.018387
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2017/11/29/STROKEAHA.117.018387.long

登録基準

  •  45-80歳、男女
  • 臨床的非心原性塞栓虚血性卒中 前月〜3年間内発症
  • スタチン未使用時血中コレステロール持続性に  4.65 〜 6.21 mmol/L (180 〜 240 mg/dL




プラバスタチン(10mg/日、日本の通常量) vs スタチン未使用(対照群)
プライマリアウトカムはI5年間観察中の総頸動脈MT変化


結果:このサブ研究に864名登録、71名はベースラインの超音波にて除外
プラバスタチン群 388名、対照群 405名に割り付け
ベースライン特性は有意差無しだが、2群間にt National Institute of Health Stroke Scale scoreで有意差あり p=0.019
ベースラインIMT プラバスタチン群 (平均± SD) 0.887 ± 0.155 mm vs 対照群 0.887 ± 0.152 mm (P=0.99)
5年時受診時IMT年次変化はプラバスタチン群で有意減少  (0.021 ± 0.116 versus 0.040 ± 0.118 mm; P=0.010).






スタチンに関して、糖尿病発症リスクはっきりしてきたため、再び雲行きが怪しい
スタチン治療正当化の一つは、IMT退縮効果なのだが、まだ本邦での一次予防根拠乏しいと考える。アホなアンチ・スタチン・プロパガンダ(宗教)の人たちは二次予防まで否定しているようだが・・・

2017年12月7日木曜日

DiRECT: 減量で2型糖尿病寛解

ベースラインの体重は、介入群 101.0kg、対照群 98.8kgなので・・・
体重1割程度の減量で2型糖尿病の半数が寛解の可能性・・・となるのだろうか?

肥満・2型糖尿病診療の基本はやはり減量指導が第一ということをあらためて確認!
製薬メーカー主導講演会に塗れている日本の医学生涯教育あらためて見直すべきと思う

このダイエット効果は発症後数年で鈍化する可能性があるため、糖尿病になり立て或いは予備軍にインパクトある減量が必要となるだろう


Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial
Michael EJ Lean, et al.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)33102-1
The Lancet 5 Dec. 2017 ; DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(17)33102-1
【背景】2型糖尿病は生涯治療必要な慢性疾患である。ルーチンのプライマリケア内の集中的減量管理で2型糖尿病の寛解到達できるか評価

【研究方法】 open-label, cluster-randomised trial (DiRECT)
49ヶ所のプライマリケア(スコットランド、 イギリス・タインサイド地方)
被検者を1:1ランダム割り付け(コンピュータ作成リストにより、減量管理プログラム(介入)、ガイドラインに基づくベスト臨床ケア(対照)
研究サイト(タインサイド、スコットランド)、臨床リストサイズ(5700超、以下)による による層別化
被検者、ケア担当、アウトカムデータ収集研究アシスタント群割り付けで配慮;しかし、割り付けは研究層別から秘匿。
直近6年内に2型糖尿病診断された20-65歳で、BMI 27-45 kg/m2、インスリン未使用者をリクルートした。
介入は、抗糖尿病・降圧剤中止終了、食事の全置換( 3-5ヶ月間 825-853 kcal/dayのformula diet)、ステップ化された食事reintroduction(2-8週間)、長期減量メンテナンス構成化サポート
Co-primaryアウトカムは、 15kg以上の減量、糖尿病寛解(定義:HbA1c < 6.5% )
アウトカムはヒエラルキー解析
登録:ISRCTN registry, number 03267836.

【結果】
 2014年7月25日から2017年8月5日まで306名リクルート
介入GP n=23、対照GP n=26
群あたり149名のITT群を含む

12ヶ月時点で15kg以上の減量 は36名(24%)で、対照群では0名 (p< 0.0001)

寛解は、研究全体のpopulationで、減量によりばらつきあり、体重増加の76名では0、0-5kgの減量で6名/89名(7%)、5-10kgの減量では19/56(34%)、10−15kgの減量では16/28(57%)、15kg以上の減量では31/36(86%)

介入群では 減量平均 10.0 kg(SD 8.0)、対照群では 1.0kg(3.7)(補正差 -8.8 kg, 95%信頼区間 ,CI ; -10.3 〜 -7.3 ; p< 0.001)

QOL( EuroQol 5 Dimensions visual analogue scale測定)では、介入群 7.2 (SD 21.3 )改善、対照群では 2.9 (15.5)減少 (補正差 6.4、 95% CI, 2.5 - 10.3 ; p=0.0012)

9つの重大副事象: 介入群 7/157 (4%)、 対照群 2 (1%)
2つの重大副事象は、胆汁疝痛、腹痛で同じ被検者に生じ、介入に関連した可能性ありと見なされた

研究終了による重大副事象なし

【結論】 12ヶ月時点では、被検者の半数が非糖尿病状態へ寛解し、抗糖尿病薬終了できた。2型糖尿病の寛解はプライマリケアの臨床上の目標である。

 
<48 12="" 2="" after="" all="" antidiabetic="" at="" baseline="" from="" least="" medications="" mmol="" mol="" months.="" months="" nbsp="" o="" p="" to=""><0 19="" 68="" 7="" 95="" achieved="" and="" ci="" control="" diabetes="" group="" in="" intervention="" nbsp="" odds="" p="" participants="" ratio="" remission="" six="" the="" was=""><0 nbsp="" p=""> <48 12="" 2="" after="" all="" antidiabetic="" at="" baseline="" from="" least="" medications="" mmol="" mol="" months.="" months="" nbsp="" o="" p="" to=""><0 19="" 68="" 7="" 95="" achieved="" and="" ci="" control="" diabetes="" group="" in="" intervention="" nbsp="" odds="" p="" participants="" ratio="" remission="" six="" the="" was=""><0 nbsp="" p="">






2型糖尿病は成人期体重増加と肝臓と膵臓への脂肪過剰蓄積が強く関係し、twin-cycle hypothesis、肝内・膵臓内過剰脂肪による、600-700 kcal/日の食事でエネルギーバランスをマイナスにして、7日内で肝臓インスリン抵抗性・膵臓脂肪蓄積は正常化し、第1相のインスリン反応、膵臓脂肪含量正常化は8週間かけて正常化する。

Taylor R. Pathogenesis of type 2 diabetes: tracing the reverse route from cure to cause. Diabetologia 2008; 51: 1781–89.

遺伝的、あるいは、環境的要素により筋肉のインスリン抵抗性が生じると、エネルギーバランスがプラスに傾くと脂肪肝を促進する。一度、この抵抗性が確立すると、血統維持のためインスリン分泌増加し、血糖を維持しようとし、さらに、肝臓への脂肪沈着が促進する。脂肪肝は肝内のブドウ糖アウトプットのインスリン抑制への抵抗性増加させ、脂肪酸の増加をもたらす。


血中あるいは組織的沈着による脂肪酸の増加にβ細胞が暴露されると、ブドウ糖によるインスリン分泌を抑制し始める。
これは初期には可逆性だが、ある時期を超えると永続的になる



2017年12月5日火曜日

インフルエンザ:院内併発感染症のリスク要素:リンパ球減少、重症度、年齢、貧血、ICU使用など・・・

インフルエンザ(H1N1、 pdm09)患者の院内感染の予測因子、高リスク要素の検討
中国の国内ネットワークを通した前向き収集データによる解析




Risk factors for nosocomial infection among hospitalised severe influenza A(H1N1)pdm09 patients
Fei Zhou, et al. , for the National Influenza A(H1N1)pdm09 Clinical Investigation Group of China
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.rmed.2017.11.017

 2,146名、年齢中央値 36.0才、男性 50.2%、院内感染合併 232 (10.8%)
 主な感染病原は、Acinetobacter baumannii、 Pseudomonas aeruginosa、 Stenotrophomonas maltophilia 、 Staphylococcus aureus 
 侵襲性真菌感染も30例(12.9%)認めた
 
 
 院内死亡率は、院内感染無しに比べ、院内感染有りでは大きく増加  (45.7% vs 11.8%, P < 0.001). 
 


  •  人工呼吸必要性  (OR: 3.336; 95% CI 2.362-4.712)
  • 敗血症(OR: 2.125; 95% CI 1.236-3.651)
  • 初日ICU入室 (OR: 2.074; 95% CI 1.425-3.019)
  • リンパ球減少  (OR: 1.906; 95% CI 1.361-2.671)
  • 年齢 > 65 years (OR: 1.83; 95% CI 1.04-3.21)
  • 貧血(OR: 1.39; 95% CI 1.39-2.79) 
以上の要素は、院内感染と独立相関
 







当方地域では、中核となる病院職員にインフルエンザワクチン行き渡ってないと聞いている。厚労省の失策の一つだと思う。
パンデミック対応だけでなく、通常のインフルエンザワクチンでもリスク層別化された供給が必要で、まずは、中核医療機関の職員配布が先行されるべきと思うのだが・・・



2017年11月22日水曜日

COPD:禁煙状況とCOPD自然史

COPD患者、特に、高齢者での禁煙指導は困難を極める。納得してもらうしかないのだろうが・・

呼吸困難度や運動耐容能、QOL検討も含まれていたら、もっとよかったのに...


ちなみに、COPDと電子タバコに関して肯定的な報告も見られつつある


Smoking cessation affects the natural history of COPD
Bai J, Chen X, et al.
 International Journal of COPD | November 21, 2017
Published 16 November 2017 Volume 2017:12 Pages 3323—3328
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S150243
https://www.dovepress.com/smoking-cessation-affects-the-natural-history-of-copd-peer-reviewed-fulltext-article-COPD


204名の長期喫煙歴を有する患者、死亡・生存群と、禁煙或いは喫煙継続群を喫煙ギブアップしたかしないかで分け検討

死亡群患者は喫煙期間が長く、禁煙率低く、COPD症状後期発症、喫煙年齢高齢、FEV1%予測値低下、FEV1/FVC低下

年齢、禁煙年齢、FEV1%予測比は独立してCOPD死亡率と相関



喫煙継続群に比べ、禁煙群は死亡率低下、COPD経過長く、COPD症状発症早期、残気量予測比低値

5年フォローアップ時、禁煙群(n=92, 死亡 40)、喫煙群(n=112, 死亡 73)



死亡率リスクは有意に禁煙群より喫煙継続群で高い(log-rank test, 13.59; P=0.0002)

結論:喫煙期間は、COPD死亡率と関連
禁煙がCOPD自然史に与える影響としては最大の要素の可能性



電子タバコ:COPD患者への使用



非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/hikanetsu_kenkai.pdf

 新型タバコは、従来の燃焼式タバコに比べてタール(タバコ煙中の有害物質のうちの粒子成分)が削減されていますが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する製品です。従って、使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は推奨できません。
 以下の記載は上記見解とは異なる



EC:電子タバコ(ここでは E-cigaretteの訳として表現)

ECは通常のタバコによる喫煙に比べれば有害性少ないと予想されるが無害ではない
禁煙および喫煙再発防止のため使用することをCOPD患者やCOPD易発症性の対象者に可能なら使用することも考えられる。ただ、情報量が少なすぎる。
EC使用による健康への影響、主観的、客観的アウトカムとの関連性などの情報入手困難。

それらのディスカッション

E-cigarettes in patients with COPD: current perspectives
JB Morjaria, et al.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017; 12: 3203–3210.
Published online 2017 Nov 1. doi:  10.2147/COPD.S135323
PMCID: PMC5677304
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5677304/

最近の知見だと、ECは既存肺疾患喫煙者に対してさえ、通常使用なら気道へ有意な健康関連性取り上げられる可能性は少ない。特に、COPDや慢性喘息での最近の研究では、主観的・客観的疾患関連アウトカムを緩和し、急性増悪率を高め、長期間の禁煙継続を改善する可能性が示唆される。




引用文献 85〜90代あたりに、COPDにおけるEC有害性検討論文が含まれる




2017年11月21日火曜日

NOACはほんとに安全で有効?

NOAC全般に言えることだが、ダビガトラン(プラザキサカプセルなど)はほんとにワーファリンに比較して安全で有効なのだろうか?



Outcomes of Dabigatran and Warfarin for Atrial Fibrillation in Contemporary Practice: A Retrospective Cohort Study

Alan S. Go, et al.
Ann. Int. Med. Original Research |14 November 2017
http://annals.org/aim/article-abstract/2662108/outcomes-dabigatran-warfarin-atrial-fibrillation-contemporary-practice-retrospective-cohort-study?doi=10.7326%2fM16-1157
ダビガトラン服用者(25,289)はワーファリン開始者(25,289)propensity score-match化比較にて、虚血性卒中発生率で明確な差を認めない (0.80 vs. 0.94 イベント/100人年; ハザード比 [HR], 0.92 [95% CI, 0.65 to 1.28]) 、同様に、頭蓋外出血 (2.12 vs. 2.63 イベント/100人年; HR, 0.89 [CI, 0.72 to 1.09])でも差を認めない。
しかし、頭蓋内出血の尤度低下 (0.39 vs. 0.77 イベント/100人年; HR, 0.51 [CI, 0.33 to 0.79]) あり、心筋梗塞発生率増 (0.77 vs. 0.43 イベント/100人年; HR, 1.88 [CI, 1.22 to 2.90])
感度分析、exposure definitionで、ダビガトラン服用と心筋梗塞の高強度・有意な関連性判明(HR range, 1.13 [CI, 0.78 to 1.64] to 1.43 [CI, 0.99 to 2.08])
さらに、ダビガトラン服用と胃腸出血率増大が、高齢者・腎疾患患者でみられた。



MR出入り制限している医局は北朝鮮を笑える?

医師全てに情報リテラシー、批判的吟味スキルがあれば、誤った情報に左右される確率は減る。むしろ、情報制限にてupdateされない環境下におこうとしている医療管理体制を疑問に思うと・・・ある病院群に対する個人的感想。

また、ある病院の循環器科は当方がINRコントロールしている高齢患者に対する処方をむりやりプラザキサへ変更。上記論文など存在しない数年前だが・・・。この変更に合理性はあったのだろうか?

・・・など、個人的に感慨深い後顧的コホート研究報告

そもそも、Ann. Int. Med.記事だからそれなりに影響を与えるだろうとは思う。

2017年11月15日水曜日

米国高血圧ガイドライン:目標血圧を“140/90→130/80”へ設定変更

米国内ガイドラインで、一般国民の目標血圧を“140/90→130/80”へ設定変更


米国内成人において、JNC 140/90 mmHgでは31.9%だが、今回の基準で 45.6% に 有病率増加(http://circ.ahajournals.org/content/early/recent)


SPRINT研究の影響が大きい(高齢者において転倒や起立性低血圧への悪影響リスク増大エビデンスみとめず、高リスク高齢者への心発作・卒中・死亡リスク軽減が120mmHg未満目標で達成されたとの報告)

一般住民でのtrade-offとして 130/80の目標設定となったと説明
(曖昧さが残る・・・)


さらに、SPRINT研究での血圧測定は、日本で行われている一般的血圧測定とは異なるため日本の日常診療ではそのまま数字を当てはめられないという日本の専門医たちのクレームも有り、今後日本でのローカルな議論がなされるだろう




2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults
A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines
Paul K. Whelton, et al.
Journal of the American College of Cardiology
November 2017 DOI: 10.1016/j.jacc.2017.11.006
http://www.onlinejacc.org/content/early/2017/11/04/j.jacc.2017.11.005







Stage 1高血圧は、130/80 〜 139/89 mmHgのレンジで非薬物的療法を推奨
臨床的心血管疾患の存在症例 と コレステロール治療使用前提でのACC/AHA動脈硬化性心血管疾患リスク(10年間)10%以上の場合は薬物治療考慮

Stage 2高血圧は、ACC/AHA動脈硬化性心血管疾患リスク(10年間)不問で薬物治療推奨、収縮期血圧 120-129 mmHgの場合はライフスタイル主体の非薬物治療を推奨

ライフスタイル修正は、減量、DASH食、減塩、食事性カリウム摂取、身体活動、適度の飲酒(女性1ドリンク、男性2ドリンク内に制限)









SPRINTはAutomated Office Blood Pressure(AOBP)測定法による評価
50歳以上の糖尿病以外対象で、高齢サブグループは75歳以上対象
この場合で強化治療(AOBP測定法目標 収縮期血圧 < 120 mmHg)でのベネフィットあり



「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/advpub/0/advpub_54.G2/_pdf
SPRINTに言及しているが・・・日本の診療に適応できないと・・・無視の構え


年齢区切りが、エビデンス・ソースと推奨でバラバラなのは情けない
65歳から74歳、75歳以上という区切りが主だが
エビデンスソースにはかなりの比率で60歳、80歳などそれ以外の区切りが用いられている。この日本のガイドラインに矛盾を感じるのは渡しだけだろうか?

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note