2020年7月16日木曜日

COVID-19関連ARDSは他のARDSと違うのか?

COVID-19 patient with ARDS (“CARDS”) :P-SILI防止重要!
https://kaigyoi.blogspot.com/2020/04/covid-19-patient-with-ards-cards-p-sili.html

これの続き・・・

patient self-induced lung injury [P-SILI])の存在に関する議論も必要

エラスタンス:弾性の低い、lung recruitmentの無いタイプと逆のタイプに分かれるのではないかという仮説と、COVID-19関連ARDS患者での呼吸管理上のphenotypeの特異性があるかの議論


Respiratory Mechanics of COVID-19– versus Non–COVID-19–associated Acute Respiratory Distress Syndrome
Anne-Fleur Haudebourg , et al.
AJRCCM
https://www.atsjournals.org/doi/full/10.1164/rccm.202004-1226LE
https://doi.org/10.1164/rccm.202004-1226LE       PubMed: 32479162


重度のコロナウイルス疾患(COVID-19)を呈してICUに入院した患者のほとんどは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の基準を満たしており、侵襲的な機械的人工呼吸を必要とする。このような患者では、呼吸力学とlung recruitabilityの可能性についての知識は、人工呼吸器の設定を調整する際の指針となる貴重な情報を提供する可能性がある。

COVID-19の呼吸力学の主な特徴は、重度の低酸素血症と呼吸器系のコンプライアンスの保存であり、lung recruitability が悪いこととの関連性であることを臨床経験から定期的に報告している著者もいる。しかし、呼吸器系コンプライアンスの劇的な低下は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)関連ARDSにおいても報告されている。
Gattinoniらは最近、これらの異なる観察結果を調整することを提案し、異なる表現型は、疾患の時間経過と重症度と患者の呼吸器反応との間の相互作用に起因している可能性があり、
初期のL表現型(低い肺エラスタンス、低いリクルート性)と後期のH表現型(高い肺エラスタンス、高いリクルート性)があるという仮説を立てた。
しかし、COVID-19関連ARDSの生理学的記述や、COVID-19以外の古典的ARDSとの比較については、文献にはほとんど記載されていない。

本研究の目的は、COVID-19関連ARDS患者の呼吸力学と lung recruitabilityを記述し、非COVID-19関連ARDSと比較し、COVID-19の表現型との関連性を探ることである。


Non-COVID-19との明確な違いがあるのは BMI (Non-COVID 19 vs COVID-19 28 (24-31) vs 22 (20-27) 
他有意差のある提示としては
呼吸回数 28(28-30) vs 26 (25-30)
Airway opening pressure ≧ 5 cmH2O 12(40) vs 3 (11)
R/I 比 0.40 (0.23-0.50) vs 0.20 (0.05-0.30)

R/I ratio = recruitment-to-inflation ratio
ARDSを15および5cmH2OのPEEPで換気。圧力-体積曲線を単呼吸法比較
急激にPEEPを解放すると(15~5cmH2O)呼気量が増加する:この呼気量と、低PEEP(または気道開放圧以上)でのコンプライアンスによって予測される呼気量との差から、PEEPによるリクルートされた呼気量が推定される ref.)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31577153/


全体的に、R/I比はCOVID-19を有する患者の方がCOVID-19を有しない患者よりも有意に高かった。しかし、COVID-19患者と非COVID-19患者の間のlung recruitability高値(R/I比≧0.5で定義される)比率としては統計的有意差には達しなかった(9/30[30%] vs. 4/27[15%];P = 0.17)。

COVID-19を有する患者では、R/I比はPaO2/FiO2比と有意に相関したが(Spearmanのρ=-0.44;P=0.001)、呼吸器系コンプライアンスとは相関しなかった(Spearmanのρ=0.29;P=0.12)。

COVID-19の最初の症状が発現してからの時間および呼吸困難が発現してからの時間は、呼吸器コンプライアンス(Spearmanのρ = -0.005および0.162;P = 0.98および0.39、それぞれ)またはR/I比(Spearmanのρ = -0.320および-0.221;P = 0.09および0.24、それぞれ)とは相関していなかった。

疾患の持続期間と評価された呼吸力学パラメータのいずれとの間にも他の相関関係は認められなかった。





2020年7月10日金曜日

コロナウィルス感染症:RAS-SARS-CoV系の仮のまとめ

要約すると・・・こうなるらしい
Summary of renin–angiotensin–aldosterone system interplay with lung injury and disease

  • SARS-CoVは感染中ACE2の表面の遺伝子発現減少
  • ACE2活性の低下は、悪循環の中でAng IIの増加とACE2のさらなるダウンレギュレーションをもたらし、急性肺障害を促進する。
  • 主な侵入経路はACE2が関与しているが、他の受容体が、これと関連無く独立してSARS-CoV感染を媒介する可能性がある

ACE: angiotensin-converting enzyme; Ang II: angiotensin II.




Understanding the renin–angiotensin–aldosterone–SARS-CoV axis: a comprehensive review
Nicholas E. Ingraham,  et al.
European Respiratory Journal 2020 56: 2000912;
DOI: 10.1183/13993003.00912-2020
https://erj.ersjournals.com/content/56/1/2000912



レビューでは、RAAS-CoV軸に関する知識の現状(SARS-CoVに関する先行研究から得られた情報)、それが現在進行中のパンデミックとどのように関係しているか、そしてこれらの知見がエビデンスに基づいた方法で次のステップを導く可能性があるかを探っている。

観察事項
本レビューでは、急性肺障害におけるRAAS-CoV軸の役割、およびこの軸の薬理学的修飾の効果、リスク、および利点について論じている。RAAS阻害薬の様々な側面を活用して、間接的なウイルス誘発性肺損傷を緩和する機会があるかもしれない。このような修飾が疾患を悪化させる可能性があることが懸念されている。現在までの関連する前臨床試験や実験モデルでは、RAAS-CoV軸の阻害が肺損傷と生存率の両方に保護効果をもたらすことが確認されているが、SARS-CoV-2におけるRAAS修飾の役割に関する臨床データはまだ限られている。

結論
SARS-CoV-2に対する治療法として提案されているのは、主にウイルスの微生物学的研究に焦点を当て、ウイルス細胞傷害の抑制を目的としたものである。これらの治療法は有望ではあるが、即効性がない可能性があり、また、有効性の期間も未回答のままである。別のアプローチとしては、罹患率や死亡率につながるウイルスによって引き起こされる特定の下流の病態生理学的効果を調節することである。我々は、RAASをベースとした介入の有効性に関する臨床的な平衡を支持する証拠が多数存在し、COVID-19の急性肺損傷に対するRAAS-CoV軸の阻害を評価するための多施設無作為化比較臨床試験の必要性が差し迫っていることを提案している。

The RAAS in states of health



<略>

The RAAS in cardiovascular disease
<略>

The RAAS in pulmonary disease

  • 慢性肺疾患

COPDにおいて、ARB治療を受けた患者(ACEi投与患者と比較して)は、重度の増悪が少なく、全体的に増悪が少なく、死亡率が低く、機械的換気の必要性が低く、入院回数が少なかった [71]。さらに、肺炎で入院する前および入院中にARBを投与されていた65歳以上の患者は、そのような治療を受けていない患者と比較して死亡率が減少していた [72]。
↵
↵

  • 急性肺損傷

Ang II/AT1受容体経路を介したRAAS活性化は、炎症[50]、血管透過性増加[47]、および重度の肺損傷[10、33]を引き起こすが、ARBはこれらの変化を有意に減衰させる[47-50]。重要なことに、高濃度の Ang II が存在するだけで、ACE2 の発現がさらに調節され、調節された Ang II/AT1 受容体活性につながることがある[73]。マウスでは、ロサルタンは肺障害のプロモーターである可溶性エポキシドヒドロラーゼの Ang II 関連の増加を抑制することで死亡率を低下させた [74]。人工呼吸器関連肺損傷の動物モデルでは、ロサルタンが Ang II 活性と AT1 受容体の発現を緩和することが示されている[75-77]。ほとんどの研究では前処理動物モデルを含むが、レスキューモデルでも ACE2 レベルの回復、動脈性酸素緊張 (PaO2) の低下の鈍化、肺損傷の軽減などの効果が示されている [49]。

ヒト患者では、遺伝的コホート研究により、RAASと急性肺損傷との関係についてのさらなる洞察が得られている。Jerngら[78]は、ACE遺伝子の多型がARDSの転帰と関連していることを発見した。これらの知見はAdamzikら[79]によって裏付けられており、ACE DD遺伝子型(ACE活性の増加と関連している)の患者はARDSに関連した死亡リスクが最も高い(ハザード比5.7)と同定されている。RAAS阻害とARDSとの関連を評価した他のヒトの研究は観察的なものである。Kimら[80]は、ACEiまたはARBを服用しているARDS患者は、RAAS阻害剤を服用していない患者と比較して生存率が高いことを明らかにした。2010年に行われた急性呼吸不全患者を対象とした無作為化対照試験の二次解析では、急性呼吸不全エピソード後の退院時にACEi/ARBを投与することで、1年死亡率が44%減少することが示唆されている[81]。さらに最近では、Hsiehら[82]は、ARBまたはACEi治療を受けている敗血症患者(ショックを伴う場合と伴わない場合)では、病院死亡の調整オッズが低いことを観察した。Mortensenら[83]はまた、入院前にARBを服用している患者では病院死亡のオッズが58%減少することを示した。これらのデータに基づいて、ARDSにおけるACEiとARBの潜在的な利点をさらに解明することが求められている[84]。しかし、この論文を執筆した時点では、このトピックに関する無作為化対照試験は、査読付き文献やClinicalTrials.govレジストリでは確認されていない。


  • 肺炎

インフルエンザおよび他のタイプの肺炎はRAAS軸と相互作用する可能性があるが、動物およびヒトの両方の研究は、特に特定のインフルエンザ株の場合にRAASに明らかな間接的影響を及ぼすことを示している。これまでの研究では、Ang IIレベルが未分化のインフルエンザ患者の死亡率を予測することが示唆されており[85]、入院中のRAAS阻害薬治療の継続は、ウイルス性肺炎症例の病院死亡率および挿管のオッズの低下と関連している[86]。RAASは他のウイルス性肺炎にも意味を持つ可能性があり、Guら[87]は、RSウイルスの小児は健康な小児に比べてAng IIレベルが高い傾向にあることを発見した。この観察に基づいて、彼らは前臨床マウスモデルにおいて、呼吸器性合胞体ウイルス感染に対する組換えACE2療法の有用性を示した。

重要なことに、H7N9およびH5N1インフルエンザは、ACE2のダウンレギュレーション、Ang IIのアップレギュレーション、およびAT1受容体誘導性肺障害を介して肺障害を引き起こすことが示されている[88、89]。H5N1 および H7N9 のマウスモデルでは、ロサルタン投与によりインターロイキン(IL)-6 の減少、肺水腫、肺損傷および死亡率の低下が示された[89, 90]。しかし、ロサルタンが肺損傷を防ぐメカニズムは RAAS 経路のみに存在するとは限らない [50]。Liu ら [91] は、ロサルタンが肺樹状細胞の活性化を阻害することを示唆している。肺炎ラットを対象とした研究では、AT1 受容体遮断薬は AT1 受容体のダウンレギュレーションを伴わないメカニズムで好中球の活性化を抑制した[92]。このような研究では、ロサルタン投与による微生物クリアランスの低下が懸念されていた。これとは対照的に、実際にロサルタン投与による肺損傷モデルでは、ウイルス負荷の減少 [90] と細菌クリアランスの増加 [50] が示されている。これらの相互作用の複雑さを考えると、これらの関係をさらに解明するためには、今後の調査が必要である。



Controversies regarding the causative role of ACE2 in COVID-19
<略>

急性COVID-19症回復後呼吸器症状継続

呼吸器症状遷延めだつようだ



COVID-19からの回復後に退院した患者を対象に、症状の持続性を評価

Persistent Symptoms in Patients After Acute COVID-19
Angelo Carfì, et al for the Gemelli Against COVID-19 Post-Acute Care Study Group
JAMA. Published online July 9, 2020. doi:10.1001/jama.2020.12603
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768351

結果
2020年4月21日から5月29日までの間に、179人の患者がフォローアップ後の急性期ケア評価の対象となる可能性があった;14人(8%)が参加を拒否し、22人が検査結果が陽性であった。 
したがって、143人の患者が含まれた。平均年齢は56.5歳(SD、14.6歳)(範囲、19~84歳)で、53人(37%)が女性であった。入院中、72.7%の参加者に間質性肺炎の証拠があった。 
平均在院日数は 13.5 日(SD、9.7 日)で、21 例(15%)が非侵襲的人工呼吸を受け、7 例(5%)が侵襲的人工呼吸を受けていた。
患者の評価は、COVID-19の最初の症状が発現してから平均60.3日後(SD、13.6日)に行われた;評価の時点で、COVID-19に関連する症状が完全に消失したのは18人(12.6%)のみであり、32%は1または2の症状を有し、55%は3以上の症状を有していた。いずれの患者にも発熱や急性疾患の徴候や症状は認められなかった。QOLの悪化は44.1%の患者で認められた。図は、疲労(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)を報告している人の割合が依然として高いことを示している。




この研究では、COVID-19から回復した患者では、87.4%が少なくとも1つの症状、特に疲労と呼吸困難の持続を報告していた。この研究の限界は、急性COVID-19発症前の症状歴に関する情報が不足していることと、症状の重症度に関する詳細が不足していることである。さらに、本研究は患者数が比較的少なく、他の理由で退院した患者の対照群がない単施設研究である。市中肺炎の患者でも症状が持続することがあり、これらの所見はCOVID-19に限ったものではない可能性を示唆している6。

臨床家や研究者はCOVID-19の急性期に焦点を当ててきたが、長期的な効果を得るためには退院後も継続的なモニタリングが必要である。

2020年7月9日木曜日

COPD:ICS減量 ERSガイドライン

Withdrawal of inhaled corticosteroids in COPD: a European Respiratory Society guideline
James D. Chalmers, et al.
European Respiratory Journal 2020 55: 2000351;
DOI: 10.1183/13993003.00351-2020
https://erj.ersjournals.com/content/55/6/2000351
https://erj.ersjournals.com/content/erj/55/6/2000351.full.pdf







吸入コルチコステロイド(ICS)と気管支拡張剤の併用は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の一部では、増悪の頻度を減らすことができる。しかし、ICSはその有用性が確立されていない患者に頻繁に使用されているという証拠がある。したがって、COPDにおけるICSの使用には個人に応じたアプローチが必要であり、明確な適応症のない患者ではICSの休薬を検討する必要がある。本文書は COPD 患者における ICS の休薬に関する欧州呼吸器学会の推奨事項を報告するものである。

包括的なエビデンスの統合が行われ、「COPD 患者で ICS を中止すべきか」という質問に関連するすべての利用可能なエビデンスをまとめた。エビデンスは GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを用いて評価され、結果はエビデンスプロファイルにまとめられました。エビデンスの総合評価は、COPDとガイドラインの方法論に精通した委員会で議論され、勧告が策定された。


1)頻回の増悪歴のないCOPD患者におけるICSの休薬を条件付きで推奨。
2) 血中好酸球数が300個以上の患者にはICSを中止しないことを強く勧める。
3)ICSが中止された場合は、1~2種類の長時間作用型気管支拡張薬で治療することを強く推奨する。



条件付き勧告は、介入の望ましい結果と望ましくない結果のバランスについての不確実性があったことを示しており、十分な情報を得た患者は、特定の介入を行うか否かについて異なる選択をする可能性がある。

高齢者スタチン使用にて全死亡率改善の可能性

高齢者に於けるスタチン一次予防効果

ARR手計算してみると

  • 全死亡率 51.3
  • 心血管死亡 323.6

程度になると思う


低レベル・エビデンスだが、現時点で高齢者スタチン使用を真っ向から否定することは差し控えたい




医学と技術の進歩に伴い、平均寿命は延び、75歳以上の成人は人口の中で最も急速に成長しているセグメントです。

2050年までに4500万人以上のアメリカ人が75歳以上になり、その増加率は85歳以上で最も高くなります。
動脈硬化性心血管病(ASCVD)の発症率と有病率は年齢とともに上昇し、死亡原因の第一位であり、生活の質の低下と医療費の増加をもたらしています。しかし、高齢者は世界的なASCVDの負担の大部分を担っているにもかかわらず、予防や治療ガイドラインのエビデンスとなる臨床試験にはほとんど参加していません。
 スタチンはASCVDの一次予防の主役であるが、ガイドラインでは75歳以上の高齢者におけるスタチンの役割については、主にデータが少ないために曖昧なままである。このギャップは、すべての主要なスタチン試験に75歳以上の患者が登録されていないことが主な原因である。高齢者におけるスタチン製剤の潜在的な有用性に関するエビデンスの統合はまだ限られており、この疑問に答えることができる試験が行われるまでには数年かかると思われる。


この問題に対処するために、20年間で全国で2400万人以上の利用者を含む医療システムである米国退役軍人健康局(VHA)サービス全体のデータを用いて、75歳以上の高齢者におけるスタチン使用と全死亡、心血管死亡、および非致死的ASCVDイベントの発生率との関連を検討した。


Association of Statin Use With All-Cause and Cardiovascular Mortality in US Veterans 75 Years and Older
Ariela R. Orkaby,  et al.
JAMA. 2020;324(1):68-78.
doi:10.1001/jama.2020.7848
July 7, 2020
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2767861


重要性
75歳以上の成人における動脈硬化性心血管病(ASCVD)の一次予防のためのスタチン療法に関するデータは限られている。

目的
75歳以上の退役軍人における死亡率およびASCVDの一次予防におけるスタチン使用の役割を評価する。

デザイン、設定、および参加者
退役軍人保健局(VHA)のデータを使用したレトロスペクティブ・コホート研究で、75歳以上でASCVDを発症しておらず、2002~2012年に臨床検査を受けた成人を対象とした。追跡調査は2016年12月31日まで継続した。すべてのデータはメディケアおよびメディケイドの請求書および医薬品データにリンクされていた。スタチンの使用歴のある患者を除外し、新規使用者のデザインを用いた。スタチン使用と転帰との関連を評価するために、Cox比例ハザードモデルを適合させた。解析は、ベースライン特性のバランスをとるために、傾向スコアの重複加重を用いて実施された。

エクスポージャー
スタチンの新規処方

主要アウトカムと測定
主要アウトカムは全死因死亡率と心血管系死亡率であった。副次的転帰には、ASCVDイベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈バイパスグラフト手術または経皮的冠動脈インターベンションによる再灌流)を複合したものが含まれた。

結果
対象となった退役軍人326,981人(平均年齢[SD]、81.1[4.1]歳、男性97%、白人91%)のうち、57,178人(17.5%)が試験期間中に新たにスタチン系薬剤を開始した。平均追跡期間6.8年(SD、3.9年)の間に、合計206,902例の死亡が発生し、そのうち53,296例が心血管疾患による死亡で、スタチン使用者と非使用者ではそれぞれ78.7例、98.2例/1000人年であった(加重罹患率差[IRD]/1000人年、-19.5[95%CI、-20.4~-18.5])。1000人年当たりの心血管死は、スタチン使用者で22.6人年、非使用者で25.7人年であった(加重罹患率差[IRD]/1000人年、-3.1 [95%CI、-3.6~-2.6])。複合ASCVD転帰については、スタチン使用者と非使用者でそれぞれ1,000人年あたり66.3件、70.4件のイベントが123,379件であった(加重平均IRD/1,000人年、-4.1[95%CI、-5.1~-3.0])。プロペンシティスコア重複重み付けを適用した後のハザード比は、スタチン使用者と非使用者を比較した場合、全死因死亡率で0.75(95%CI、0.74~0.76)、心血管死亡率で0.80(95%CI、0.78~0.81)、ASCVDイベントの複合体で0.92(95%CI、0.91~0.94)であった。

結論と関連性
75歳以上の退役軍人で、ベースライン時にASCVDを発症していない場合、スタチンの新規使用は全死因死亡および心血管系死亡のリスクの低下と有意に関連していた。ASCVDの一次予防のための高齢者におけるスタチン療法の役割をより明確に決定するためには、無作為化臨床試験を含めたさらなる研究が必要である。

NAFLDとアルツハイマー様神経炎症、心機能低下、免疫・・・

Study shows how non-alcoholic fatty liver disease causes Alzheimer's-like neuroinflammation


Lipocalin 2 induces neuroinflammation and blood-brain barrier dysfunction through liver-brain axis in murine model of nonalcoholic steatohepatitis.
Mondal, A., et al. (2020)
Journal of Neuroinflammation. doi.org/10.1186/s12974-020-01876-4.
https://springernature.figshare.com/collections/Lipocalin_2_induces_neuroinflammation_and_blood-brain_barrier_dysfunction_through_liver-brain_axis_in_murine_model_of_nonalcoholic_steatohepatitis/5049753

解説記事
https://www.news-medical.net/news/20200706/Study-shows-how-non-alcoholic-fatty-liver-disease-causes-Alzheimers-like-neuroinflammation.aspx

サウスカロライナ大学アーノルド公衆衛生学部環境保健科学科のSaurabh Chatterjee准教授の研究室で、同研究室のポスドク研究員Ayan Mondal氏が率いる研究により、これまで確立されていた非アルコール性脂肪肝疾患(すなわちNAFLD、最近では代謝関連脂肪肝疾患またはMAFLDとして再分類されている)と神経学的問題との間の関連性の背後にある原因が明らかになった。彼らが発見したリンク、神経炎症を引き起こすアディポカイン(リポカリン-2)のユニークな役割は、MAFLDを持つ個人の間で神経学的なアルツハイマー病様やパーキンソン病様の表現型の有病率を説明する可能性があります。

Chatterjee氏の環境健康・疾患研究所のメンバーとUofSC全体の研究者を含む研究者たちは、この分野の先駆的なジャーナルであるJournal of Neuroinflammation誌にその成果を発表した。これらの知見は、環境毒素が肝臓病、メタボリックシンドローム、肥満にどのように貢献しているかに焦点を当てて、肝臓と体の他の部分と腸内マイクロバイオームとの間のこれまで知られていなかった経路とメカニズムを発掘した学際的なチームによって行われた長年の研究に基づいて構築されています。

MAFLDは、アメリカ人や世界の人口の25%まで影響を与えており、その多くは自分たちの状態に気づいていません。しかし、この沈黙の病気の影響は広範囲に及んでおり、肝硬変、肝がん/障害、その他の肝疾患につながる可能性があります。今回の研究結果は、最近の研究で確立されたMAFLDと神経炎症/神経変性との間の強い相関関係を確認しただけでなく、このような現象がどのようにして起こるのかを説明しています。

リポカリン 2 は、専ら肝臓で産生され、MAFLD のより進行した形態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を持つ人々の間で全身に循環する重要なメディエーターの 1 つです。MAFLD患者は、高齢になるとアルツハイマー病やパーキンソン病に似た症状を発症することが示されているため、この研究は非常に意義深いものです。科学者たちは、これらの結果を利用して、MAFLDにおける神経炎症性合併症に関する知識を深め、適切な治療法を開発することができます。

サウスカロライナ大学准教授 Saurabh Chatterjee氏







"今回の研究は、NASHの神経炎症性病態だけでなく、慢性炎症性疾患に関連した他の脳の病態にも対応する新たな治療法を設計するのに役立つかもしれません。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。




この指標知らなかったのだが・・・心筋のメカノ・エネルギー効率の指標となるはずで、結果的には、「"stroke volume"÷心拍数」という簡単な指標
MEE was estimated as stroke work (SW = systolic blood pressure [SBP] × stroke volume [SV])/"double product" of SBP × heart rate (HR), as an estimate of O2 consumption, which can be simplified as SV/HR ratio and expressed in ml/sec. Due to the strong correlation, MEE was normalized by left ventricular (LV) mass (MEEi).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31039789/




Non‐alcoholic fatty liver disease is associated with a decreased myocardial mechano‐energetic efficiency
Teresa Vanessa Fiorentino  ,et al.
First published: 07 July 2020 https://doi.org/10.1111/joim.13155
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joim.13155

目的
NAFLDとcompromised MEEとの関連を評価する。

方法
心筋MEEは、超音波検査で定義されたNAFLDの存在により2つのグループに細分化された699人の非糖尿病患者を対象に、有効な心エコー検査に基づく測定法で評価された。

結果
NAFLDを有する被験者は、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)、トリグリセリド、空腹時および負荷後のグルコース、高感度C反応性蛋白(hsCRP)、HOMA-IRおよび肝臓IR指標によるインスリン抵抗性(IR)、および高密度リポ蛋白(HDL)の値がNAFLDを有さない被験者に比べて低かった。
NAFLDの存在は心筋酸素要求量の増加とMEEの低下と関連していた。
MEEは男性の性別、年齢、BMI、ウエスト周囲長、SBP、DBP、総コレステロール、トリグリセリド、空腹時および負荷後のグルコース、HOMA-IRおよび肝臓IR指数、hsCRPと負の相関があり、HDLレベルと正の相関があった。
多変量回帰分析では、NAFLDの存在は、年齢、性別、ウエスト周囲長、SBP、DBP、総コレステロールおよびHDLコレステロール、トリグリセリド、耐糖能、hsCRP(β=0.09、P=0.04)などのいくつかの心代謝リスク因子に関係なく、MEEと関連していたが、IR推定値とは無関係ではなかった。

結論
超音波で定義されたNAFLDの存在は、有害な心血管イベントの予測因子であるMEEの低下と関連しています。NAFLDとMEEの低下との関係は、IRに依存する。

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Regulation of Oxidative Stress by MethylationControlled J Protein Controls Macrophage
Responses to Inflammatory Insults
Nicolás Navasa , et al.
MCJ Regulates Oxidative Stress in Macrophages
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.981.9047&rep=rep1&type=pdf

MCJ(methylation-controlled J protein; DnaJC15としても知られている)は、コシャペロンのDnaJ Cファミリーに属するミトコンドリアタンパク質である。MCJは、ミトコンドリアの内膜を標的とした膜貫通ドメインを持つ小型のタンパク質である。
最近、マウスでヒトMCJのオルソログを同定し、心臓、肝臓、腎臓で高発現していることを示した。免疫系内では、MCJは主にCD8+細胞で発現していますが、骨髄系での発現は報告されていません。ここでは、MCJがマクロファージのミトコンドリアに存在し、腫瘍壊死因子(TNF)の産生に必須であることを示す。マクロファージでMCJが存在しない場合、ミトコンドリア呼吸が増加し、その結果、活性酸素と活性酸素を介したJNK/c-Jun経路の活性化のレベルが上昇します。この増加した活性は、特異的なTNF-α変換酵素(TACE;ADAM17としても知られている)阻害剤であるTIMP-3のアップレギュレーションをもたらし、これは、TNFの形質膜からの脱落を効果的に防止する。したがって、MCJの不在は、可溶性TNFの産生の減少をもたらし、重要なことに、LPS/D-ガラクトサミン(GalN)の注射時の肝障害の減少をもたらす。したがって、MCJは、細菌感染に対するマクロファージの応答の間、ミトコンドリアの恒常性の重要な調節因子である。



ミトコンドリアは、ミトコンドリア呼吸鎖の副産物である活性酸素の発生を介してマクロファージの免疫機能に貢献しています。MCJ(DnaJC15としても知られている)は、呼吸鎖複合体Iの内因性阻害剤として同定されたミトコンドリア内膜タンパク質です。ここでは、MCJがマクロファージの貪食活性に影響を与えることなく、様々なトールライク受容体リガンドや細菌に応答して、マクロファージによる腫瘍壊死因子の産生に不可欠であることを示しています。マクロファージにおけるMCJの損失は、ミトコンドリア呼吸の増加とJNK/c-Jun経路の活性化を引き起こす活性酸素種の基底レベルの上昇をもたらし、TACE(ADAM17としても知られている)阻害剤TIMP-3のアップレギュレーションにつながり、細胞質膜からの腫瘍壊死因子の放出を阻害することにつながる。その結果、MCJ欠損マウスは、リポ多糖を投与しても劇症肝障害を発症しにくくなりました。このように、MCJによるマクロファージのミトコンドリア呼吸鎖の減衰は、感染症に対するマクロファージの応答を絶妙に制御しています。

2020年7月8日水曜日

肺非結核性抗酸菌症治療:ATS/ERS/ESCMID/IDSA 公式臨床実践ガイドライン

日本の医療行政から見放されてる疾患の一つについてのガイドライン

Treatment of nontuberculous mycobacterial pulmonary disease: an official ATS/ERS/ESCMID/IDSA clinical practice guideline
Charles L. Daley, et al.
European Respiratory Journal 2020 56: 2000535;
DOI: 10.1183/13993003.00535-2020
https://erj.ersjournals.com/content/56/1/2000535
https://erj.ersjournals.com/content/erj/56/1/2000535.full.pdf


Remarks: The decision to initiate antimicrobial therapy for NTM pulmonary disease should be individualized based on a combination of clinical factors, the infecting species, and individual patient priorities. Any treatment decision should include a discussion with the patient that outlines the potential side effects of antimicrobial therapy, the uncertainties surrounding the benefits of antimicrobial therapy, and the potential for recurrence including reinfection ( particularly in the setting of nodular/bronchiectatic disease) .

Question II: Should patients with NTM pulmonary disease be treated empirically or based on in vitro drug susceptibility test results?
Recommendations
1) In patients with MAC pulmonary disease, we suggest susceptibility-based treatment for macrolides and amikacin over empiric therapy (conditional recommendation, very low certainty in estimates of effect).
2) In patients with M. kansasii pulmonary disease, we suggest susceptibility-based treatment for rifampicin over empiric therapy (conditional recommendation, very low certainty in estimates of effect).
3) In patients with M. xenopi pulmonary disease, the panel members felt there is insufficient evidence to make a recommendation for or against susceptibility-based treatment.
4) In patients with M. abscessus pulmonary disease we suggest susceptibility-based treatment for macrolides and amikacin over empiric therapy (conditional recommendation, very low certainty in estimates of effect). For macrolides, a 14-day incubation and/or sequencing of the erm(41) gene is required in order to evaluate for potential inducible macrolide resistance. 

Remark: Although in vitro-in vivo correlations have not yet been proven for all major antimycobacterial drugs, baseline susceptibility testing to specific drugs is recommended according to the Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) guidelines for NTM isolates from patients with definite disease.
Testing of other drugs may be useful, but there is insufficient data to make specific recommendations.



MACもAbscessusもマクロライドとアミカシンの感受性試験を重要視すべき



Question III: Should patients with macrolide-susceptible MAC pulmonary disease be treated with a 3-drug regimen with a macrolide or without a macrolide? 
Recommendation
1) In patients with macrolide-susceptible MAC pulmonary disease, we recommend a 3-drug regimen that includes a macrolide over a 3-drug regimen without a macrolide (strong recommendation, very low certainty in estimates of effect). 
Remarks: Although no well-designed randomized trials of macrolide therapy have been performed, macrolide susceptibility has been a consistent predictor of treatment success for pulmonary MAC . Loss of the macrolide from the treatment regimen is associated with a markedly reduced rate of conversion of sputum cultures to negative and higher mortality . Therefore, the panel members felt strongly that a macrolide should be included in the regimen.


といいつつ、MAC治療ではマクロライドを含む治療を勧めている




Question IV: In patients with newly diagnosed macrolide-susceptible MAC pulmonary disease, should an azithromycin-based regimen or a clarithromycin-based regimen be used?

Recommendation 1) In patients with macrolide-susceptible MAC pulmonary disease we suggest azithromycin-based treatment regimens rather than clarithromycin-based regimens (conditional recommendation, very low certainty in estimates of effect). 
Remarks: The panel felt that azithromycin was preferred over clarithromycin because of better tolerance, less drug interactions, lower pill burden, single daily dosing, and equal efficacy. However, when azithromycin is not available or not tolerated, clarithromycin is an acceptable alternative.


アジスロマイシン主体だが、日本では保険適応の関係でクラリスロマイシンベースが主体という現状


ジスロマック600mg錠
【効能・効果】
<適応菌種>
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)
<適応症>
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウ
ム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療
HIV&MAC症しか使えない


abscessusはさらに悲惨

Mycobacterium abscessus (Questions XIX–XXI) Question XIX: In patients with M. abscessus pulmonary disease, should a macrolide-based regimen or a regimen without a macrolide be used for treatment?

Recommendations
1) In patients with M. abscessus pulmonary disease caused by strains without inducible or mutational resistance, we recommend a macrolide-containing multidrug treatment regimen (strong recommendation, very low certainty in estimates of effect).
2) In patients with M. abscessus pulmonary disease caused by strains with inducible or mutational macrolide resistance, we suggest a macrolide-containing regimen if the drug is being used for its immunomodulatory properties although the macrolide is not counted as an active drug in the multidrug regimen (conditional recommendation, very low certainty in estimates of effect). 
Remarks: M. abscessus infections can be life-threatening, and the use of macrolides is potentially of great benefit. Macrolides are very active in vitro against M. abscessus strains without a functional erm(41) gene, and evidence supports use of macrolides in patients with disease caused by macrolide-susceptible M. abscessus [38, 39]. It is important to perform in vitro macrolide susceptibility testing including detection of a functional or nonfunctional erm(41) gene [40–42]


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