2012年6月29日金曜日

米国FDA が肥満症治療剤「BELVIQ®」(一般名lorcaserin HCl)を承認

米国FDA が肥満症治療剤「BELVIQ®」(一般名lorcaserin HCl)を承認
---成人の肥満症に対する処方薬として13 年ぶりの新薬承認---
http://www.eisai.co.jp/news/news201238pdf.pdf


BMI 30 kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の合併症をもつBMI27 kg/m2以上の成人患者の体重管理を目的とした食事療法と運動療法の補助手段としてFDAより承認獲得

セロトニン受容体アゴニスト、選択的に脳内セロトニン2C受容体を刺激することにより接触を抑制し体重を減少。



加えて、Lorcaserin は食事摂取量・体重減少をもたらす5-HT2C選択的アゴニストで用量依存的な効果を齧歯類でしめす。 5-HT2C受容体に対するlorcaserinの高度選択性により、5-HT2Aや5-HT2B受容体活性化をもたらすことがないことが期待される。すなわち、diexfenfluramieの幻覚作用、心臓弁膜症への影響肺高血圧症への影響などが少ないことが期待される。




lorcaserin hydrochloride(Belviq (r))

FDA提出の臨床トライアル結果では、2型糖尿病の無い半数のダイエット施行者で少なくとも5%の体重減少を認めた(vs 対照では23%)とのこと。


夢のような効果は期待できなさそう・・・



To Assess the Effect of Lorcaserin Hydrochloride on Energy Metabolism and Food Intake (TULIP)
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00829140




Lorcaserin, A 5-HT2C Receptor Agonist, Reduces Body Weight by Decreasing Energy Intake without Influencing Energy Expenditure 
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 1, 2011 vol. 96 no. 3 837-845

 57名の肥満・過体重対象の二重盲検プラシーボ対照化トライアルで、エネルギー摂取量(energy intake (EI))を減少させ、エネルギー消費(EE)や呼吸商(RQ)は変わらない






出産前後に訓練保健師早期介入の効果:BMI低下に役立つ

出産前後の保健師訪問介入の有効性



Effectiveness of home based early intervention on children’s BMI at age 2: randomised controlled trial
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3732 (Published 26 June 2012)

RCT:Healthy Beginnings Trial :2007-2010、オーストラリア・シドニー地区

667名の第1子の母親とその子供を対象

介入は、段階的居宅ベース介入における専門訓練保健師
出生前、出産後1、3、5、9、12、18、24ヶ月介入

プライマリアウトカムは子供のBMI(2歳時BMI範囲;男児 14.12-18.41、女児 13.90-18.02)、セカンダリアウトカムは2歳時子供の食事状況・テレビ視聴時間


497名の母親とその子供でトライアル完遂

667名のITT解析、170のフォローアップ喪失、14の喪失データ

BIM平均は介入群の方が対照群より低い  (16.53 vs (16.82)、、差は 0.29 (95% 信頼区間−0.55 ~ −0.02; P=0.04).



鍵となる介入は
  • 授乳が一番
  • 6ヶ月になるまで固形食をあたえるな
  • 毎日、他種類の野菜果物をたべろ
  • Only water in my cup (文脈から考えれば、おそらくソフトドリンクに制限)
  • I am part of an active family.

出生MRI動画




First MRI Video of Birth






First MRI Live Birth Video: Terrifying, or Reassuring?
 http://blisstree.com/live/first-mri-birth-video-terrifying-or-reassuring-813/#ixzz1z8HkEodF



2010.11月 24歳の母親の出産
出生直前に聴力への影響を心配し終了

膣部通過時頭部圧迫など出産プロセスが克明に描出されている

2012年6月28日木曜日

齧歯類:ニコチンワクチンで脳内受容体到達減少

高濃度の抗ニコチンモノクローナル抗体発現遺伝子トランスファーベクターの単回投与で、18週間効果発現し、ニコチンの生理学的影響を 除去できることが齧歯類で示された。

  adeno-associated virus (AAV) gene transfer vectorを使い、抗ニコチン抗体高値状態を作り上げ、脳の受容体到達を防止する方法。

  Fab fragment of the anti-nicotine monoclonal antibody NIC9D9 (AAVantiNic)由来

 脳のnaiveマウスの15%濃度に脳ニコチン濃度を減少し、83%ほどIgGに結合。血圧や心拍、活動性に影響与えず。

AAV-Directed Persistent Expression of a Gene Encoding Anti-Nicotine Antibody for Smoking Cessation
Martin J. Hicks, et. al.
Sci Transl Med 27 June 2012: Vol. 4, Issue 140, p. 140ra87 Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.3003611 




喫煙習慣者に投与すると、喫煙量が増えそうな・・・喫煙習慣を獲得する前の予防のような気がする。


低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす

低GI食は、低脂肪食、低炭水化物食(Atkins食)より負の影響が少なく体重維持効果的 2012年6月27日

上記解説がなされたばかりだが、同様に、いわゆるAtkinsダイエットは、リスクの疑念から、リスク明確化の時代へ変遷していると思う。


今回の報告で、炭水化物制限・高タンパク食は、臨床的アウトカム上のリスクが認められた。

"Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study"  
Lagiou P, et al 
BMJ 2012; DOI:10.1136/bmj.e4026.


ランダム住民サンプルとして43396名のスウェーデン女性(30-49歳)を食事アンケートをとり、15.7年間フォローアップ

炭水化物摂取10分の1減少、蛋白摂取増加、低炭水化物・高蛋白スコア2ユニット増加により統計学的に心血管疾患全体頻度増加と有意に相関 ; 頻度比率推定はそれぞれ  1.04 (95% 信頼区間 1.00 ~ 1.08), 1.04 (1.02 ~ 1.06),  1.05 (1.02 ~ 1.08)

5つの心血管アウトカム研究に関するこれらのスコアとの相関に関し、heterogeneityは存在せず: 虚血性心疾患 (n=703), 虚血性卒中 (n=294), 出血性卒中 (n=70), くも膜下出血 (n=121), 末梢血管疾患(n=82)




 蛋白、炭水化物摂取エネルギー比較は残差法(residual method)を用い行われている。
(Willett W, Stampfer M. Implications of total energy intake for epidemiological analyses. In: Willett W, ed. Nutritional epidemiology. 2nd ed. Oxford University Press, 1998:273-301.)


食事内容はアンケート法なのが限界・・・食事に関する報告はこれがいつも問題になる。





さて、 日本では、極端な糖質制限食がなにかと話題になっているが、果たして、問題はないのだろうか? 変形版low-carb.ダイエットという見方も出来る。

極端な糖質制限で血糖が下がったとしても、心血管疾患リスク増加している可能性がある。

医療関係者なら、臨床実地上助言をするなら、十分確立した事象と、脳内思考とを区別すべきだと思う。軽挙な主張だけを繰り返し、目先の血糖値だけを根拠にしている人たちに遭遇するにつけ情けなくなる。

 極端な糖質あるいは炭水化物制限食は、心血管疾患に関してリスクを有する可能性があることを説明した上で行われるべきである。
血糖や体重の短期的効果だけのメリットだけで 、極端な栄養指導がなされることに、警告が発せられるべきであろう。

コロイド・クリスタル論争:重度敗血症 HES製剤はリンゲルに比べ死亡・腎置換療法リスク増加

コロイド(HES) かクリスタル(リンゲル・アセテート) か?

この議論も長い・・・昨年こんな話題があった。
Boldtスキャンダル:コロイド・”コロイド v クリスタロイド論 2011年 03月 05日


重症敗血症患者において、コロイド(スターチ群)では、クリスタル(リンゲル・アセテート)90日死亡リスク増加、腎置換治療使用増加となった。


Hydroxyethyl Starch 130/0.4 versus Ringer's Acetate in Severe Sepsis

Anders Perner, et.al.
for the 6S Trial Group and the Scandinavian Critical Care Trials Group
June 27, 2012 (10.1056/NEJMoa1204242)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1204242?query=featured_home


Hydroxyethyl starch (HES) 130/0.4 はICUの輸液蘇生剤として広く使用されている。しかし、その安全性・有効性は重度敗血症患者では確立していない。
多施設平行群盲検化トライアルにおいて、重度敗血症患者をランダムに、 6% HES 130/0.4 or Ringer's acetateで、33mL/kg/理想体重で投与

プライマリアウトカム測定は、ランダム化後90日目の死亡/終末期腎不全(透析依存)

ランダム化された804名の内、798名で修正ITT。2つの介入群は同等のベースライン特性。

ランダム化後90日死亡
HES 130/0.4群: 201/398(51%)
Ringer's acetate群:172/400(43%)
(相対リスク, 1.17; 95% 信頼区間l [CI], 1.01 to 1.36; P=0.03); 終末期腎不全は各群1名)

90日間で腎置換療法
HES 130/0.4群: 87 名(22%)
Ringer's acetate群:65 名 (16%)
(相対リスク, 1.35; 95% CI, 1.01 to 1.80; P=0.04)

重度出血
HES 130/0.4群: 38 名(10%)
Ringer's acetate群:25 名 (6%)
(相対リスク, 1.52; 95% CI, 0.94 to 2.48; P=0.09)

この結果は、ベースライン死亡・急性腎障害既知リスク要素補正後、多変量解析でサポートされている。







HES代用血漿剤は、高度に分祀したとうもろこしデンプン成分のアミロペクチンから、加水分解とそれに続くヒドロキシエチル化によって得られる高重合体の糖化合物。グルコース単位(glucose ring)のC4とC1でグリコシド結合(α-1,4グリコシド結合)、主鎖を形成する一方、C6とC1でもグリコシド結合し(α-1,6グリコシド結合)、枝分かれする。
代用血漿剤は、晶質液と異なり、HESに代表されるコロイド成分を含む。このコロイド成分による膠質浸透圧効果によって血管内に水分を引き寄せ、循環血漿量を維持する。
・・・・
分子量が大きいほど毛細血管から漏出しにくいため、循環血液量を長時間維持できる。一方、分子量が小さいと、血管外への漏出や腎臓からの排泄により、投与しても短時間で効果を失う。そのため、分子量は重量平均分子量(Mw)で表す方がより臨床的である。・・・日本では70kDの低分子量のHES製剤が市販されている
(引用:http://www.maruishi-pharm.co.jp/med/libraries_ane/anesthesia/pdf/33/33feature12.pdf)

2012年6月27日水曜日

低GI食は、低脂肪食、低炭水化物食(Atkins食)より負の影響が少なく体重維持効果的

Glycemic Indexについて
glycemic index
炭水化物は全て単一に考えられていたが、果糖やショ糖のような分類法も使われたが、たとえば小麦食品などは複雑であり、単純化が難しい。
単数・複数の炭水化物を糖より血糖を増加させるかどうか、単純化したもの
【方 法】50gの炭水化物と対象食品(白パンか純粋なブドウ糖)を異なる日に同量摂取させ、ブドウ糖測定のため前値と、食後数時間後の採血を行う。時間ととも に血糖値をプロットし、このGIは対象食試験後の血糖カーブの下部面積であらわし、対照食を100とした時の比率である。
(http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/foods/grains/gigl.html)
過体重・肥満若年者に対する糖負荷4種類の比較 Glycemic Index  2006年 07月 25日


低脂肪・低炭水化物より,炭水化物を適当に含む方が、よきせぬ悪影響無しに、体重維持できるという話(JAMA掲載とのことだが・・・)


Not All Calories Equal, Study Shows
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304458604577490943279845790.html

low-glycemic-index食は、地中海ダイエットや魚・フルーツ・野菜・ナッツ・全粒穀物に注目された食事内容と同様。このような食事はオートミールやアーモンド、brown rice、bean、オリーブオイルなどの健康油脂を含む。
21名(18-40歳)、10-15%の3ヶ月間体重減少させ、総カロリーの45%を炭水化物、30%を脂肪、25%を蛋白質とした。

1ヶ月後、1/3の食事を置き換え

・low-fat 食: 総カロリーの20%

・low-carbohydrate 食(いわゆるAtkinsダイエット):炭水化物10%

・low-glycemic-index食:炭水化物を40%、脂肪を40%、蛋白質を20%


low-fat 食はエネルギー消費もっとも悪いく、中性脂肪増加、いわゆる善玉コレステロール低下

low-carb 食は、エネルギー消費のboost最も大きく、low-fat食に比べ300カロリー/日ほど消費し、1時間の中等度運動に匹敵。ただし、コーチゾル、ストレスホルモン増加に働き、cRPなどの炎症指標増加し、心血管・糖尿病発症リスク増加の可能性あり。

low-glycemic-index 食は、low-fat 食より150カロリー/日年燃焼多く、コレステロールレベルやホルモンへの影響少なく、理想的ダイエットである。


The Glycemic Index Diet (Low-Glycemic Diet)
WebMD: http://www.webmd.com/diet/features/glycemic-index-diet

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...