2014年12月4日木曜日

家族制カイロミクロン血症:APOC3ターゲット療法




Targeting APOC3 in the Familial Chylomicronemia Syndrome
Daniel Gaudet, et. al.
N Engl J Med 2014; 371:2200-2206December 4, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1400284

実質上は、極端な食事性脂質制限しか治療法のない、lipoprotein lipase (LPL)欠損にともなうカイロミクロン血症



 APOC3 messenger RNA (mRNA)の阻害剤、 ISIS 304801 にてAPOC3増加効果


TG 1406 mg/dL~2083 mg/dLの患者3名に投与


13週間後、血中APOC3濃度を71~90%減少し、TG値は56~86%減少
全患者では治療により 500mg/dL減少


これらの結果は、LPL-非依存経路でのAPOC3の鍵調整因子としての役割を示唆する。


関連:
APOC3遺伝子異常にて食後TG抑制、心血管疾患リスク減少
http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/06/apoc3tg.html

2014年12月3日水曜日

FACTOR-64ランダム化トライアル:糖尿病の冠動脈造影CTスクリーニングは正当化できない

タイトルのごとく、糖尿病であれば、即、冠動脈造影CTってのは、正当化できない。
無症候性が対象ということは明確にする必要はあるが・・・


Effect of Screening for Coronary Artery Disease Using CT Angiography on Mortality and Cardiac Events in High-Risk Patients With Diabetes
The FACTOR-64 Randomized Clinical Trial
Joseph B. Muhlestein, et. al.
JAMA. 2014;312(21):2234-2243. doi:10.1001/jama.2014.15825.

【意義】 Coronary artery disease (CAD) :冠動脈疾患は、糖尿病患者にとって併発症・死亡率の重大要素であるが、CADは心筋梗塞(MI)や冠動脈死前は無症候性であることが多い

【目的】 1型・2型糖尿病患者のCT冠動脈造影によるCADのルーチン・スクリーニングは、高度新リスク状況と見なせるか、そして、CCTA指向治療により死亡・非致死性冠動脈アウトカムを改善できるか評価

【デザイン・セッティング・被験者】 FACTOR-64 study は、ランダム化臨床トライアル(1型・2型糖尿病900名、3-5年の病歴、CAD症候なし、45クリニック・単一医療システム (Intermountain Healthcare, Utah))。単一コーディネーティングセンターにて登録し、ランダム割り付け:CCTAによるCADスクリーニング (n = 452) と標準国内ガイドラインに基づく適正糖尿病ケア(n = 448) (targets: 糖化HbA1c <7 .0="" br="" dl="" hg="" ldl="" mg="" mm="">すべてのCCTA画像は、コーディネーティングセンターで施行。
標準治療もしくは積極治療 (targets: 糖化HbA1c <6 .0="" dl="" hdl="" ldl="" mg="">50 mg/dL [women] or >40 mg/dL [men], TG <150 br="" dl="" hg="" mg="" mm="">侵襲的冠動脈造影を含む積極治療をCCTA所見に基づき行う
登録は2007年6月から2013年5月まで、フォロアップは2014年8月まで


【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、組み合わせ(全原因死亡率、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症・入院必要状況
セカンダリアウトカムは、虚血性重大心血管副事象(CAD死、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症)


【結果】 フォローアップ期間平均   4.0 (SD, 1.7) 年間。

プライマリアウトカムイベント発生率はCCTA群と対照群で有意差なし (6.2% [28 events] vs 7.6% [34 events]; ハザード比, 0.80 [95% CI, 0.49-1.32]; P = .38)

虚血性重大イベントの複合セカンダリエンドポイントイベント発生率においても群間差認めず (4.4% [20 events] vs 3.8% [17 events]; ハザード比, 1.15 [95% CI, 0.60-2.19]; P = .68)


【結論・知見】
1型・2型糖尿病/無症候患者において、CCTAを用いた冠動脈疾患スクリーニングは全原因死亡率・非致死性心筋梗塞・入院必要不安定狭心症の組み合わせイベント発生をすくなくともフォローアップ4年程度では減少させない。
以上から、これらの患者を対象にしたCCTAスクリーニングは推奨しない

2014年12月2日火曜日

心停止後のアドレナリンはアウトカム悪化させるかもしれない・・・

successful return of spontaneous circulation (ROSC)にとってエピネフリン(アドレナリン)は必須だが、心停止後回復中の薬剤の影響について議論が必要。死亡全体を増やすか、脳損傷を生じる可能性など存在する。


成功ROSC(return of spontaneous circulation)達成の院外心停止患者(OHCA: out-of-hospital cardiac arrest)の収容前アドレナリン使用と機能的生存を検討



Is Epinephrine During Cardiac Arrest Associated With Worse Outcomes in Resuscitated Patients?
Florence Dumas, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2014;64(22):2360-2367. 
1556名を検討
アドレナリン使用 1134(73%)、良好アウトカム:194(17%)
アドレナリン未使用 244/422(63%)
 (p < 0.001)

アドレナリンの副作用相関は、蘇生時間、院内施行介入に関わらず、観察される。

未使用患者に比較して、intact survivalの補正オッズ比 
アドレナリン 1mg 0.48 (95% 信頼区間 [CI]: 0.27 to 0.84)
2-5mg 0.30 (95% CI: 0.20 to 0.47)
> 5 mg   0.23 (95% CI: 0.14 to 0.37)



アドレナリン投与遅延はアウトカム不良と相関

結論:ROSC達成患者大規模コホートにて、収容前アドレナリン使用と、生存率低下の関連性は一致している。蘇生後介入の有無にかかわらず、量効果的・持続的作用。





現行の国際的ガイドラインは、エピネフリン(アドレナリン)1mgを3-5分毎に投与となっている。アドレナリンは最初の数分はかなり良好なインパクトを示す。しかし、使用後有害性増大する。 特定条件下の特定患者にとっては有益だろうから、アドレナリン全部を悪者にするわけにはいかない

・・・との評( Study Shows Epinephrine May Do More Harm Than Good in Cardiac Arrest December 1, 2014 )


スタチンの骨折抑制効果示されず・・・

スタチンのpleiotropic effect効果候補の一つ



Statin Therapy and Risk of Fracture
Results From the JUPITER Randomized Clinical Trial
Jessica M. Peña,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 01, 2014.


意義:  骨粗鬆症と心臓血管疾患は、発症上役割を果たす共通の生物学的経路を共有する。観察研究でスタチンは骨折リスク減少との示唆もあるが、この問題に着眼したランダム化トライアルは乏しい。

目的: スタチン治療は骨折リスク減少させるか、そして、二次解析では、炎症性バイオマーカーとして、ベースラインのhs-CRP濃度が骨折リスクと関連するか?


デザイン・セッティング・被験者: JUPITER (Justification for the Use of Statins in Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin) トライアル、国際的ランダム化二重盲験、プラシーボ対照化研究
17,802名の50歳以上の男性、60歳以上の女性、hr-CRP 2mg/以上
2003年から2006年まで篩い分け、5年間前向きにフォローアップ(フォローアップ中央値 1.9年間)


介入: Rosuvastatin calcium, 20 mg daily, or placebo.
主要アウトカム・測定項目: 骨折発症をJUPITERの事前設定二次エンドポイントとしている。 骨折はレントゲン・CT・骨Scan、他検査法で確認、 
Cox proportional hazards modelにて、ランダム化治療割り付けによる骨折リスクに関わるハザード比(HRs)、95%信頼区間を求め、hsCRP3分位増加毎評価、寄与共訳要素補正を行う。


結果:研究期間中、骨折発生の記録・確認事例 431例
ロスバスタチン割り付け群 221 100人年あたり1.20
プラシーボ割り付け群 210 100人年あたり1.14
補正ハザード比 1.06 [95% CI, 0.88 - 1.28]
P = .53
ベースライン hs-CRPは骨折リスク増加と相関せず 3分位比較 1.06 [95% CI, 0.94-1.20]; P for trend, .34)



結論:hs-CRPレベル髙値という心臓血管臨床治験参加者では、スタチン治療は骨折リスク減少しない。hs-CRP高値は骨折頻度リスク増加とは関連しない。

2014年12月1日月曜日

慢性咳嗽治療: P2X3受容体アンタゴニスト:AF-213 ・・・ 効果はあるようだが、味覚障害ほぼ全員?


P2X3受容体はATP-gated channelで、疼痛感覚経路に多く限定的に発現し、その拮抗剤であるAF-213はまず変形性関節症疼痛への効果から示され、その後、治療不応性慢性咳嗽、 interstitial cystitis/bladder pain syndrome (IC/BPS)に応用されつつある。




P2X3 receptor antagonist (AF-219) in refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2 study

Rayid Abdulqawi et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 25 November 2014
doi:10.1016/S0140-6736(14)61255-1


24 h 携帯咳嗽記録計計測
34名を1年2ヶ月ほど評価し、24名を割り付け


咳回数75%ほど減少(p=0.0003)


昼間咳嗽回数は37回/時間から11(8)へ減少。

 Daytime cough frequency fell
昼間咳嗽平均数 
P2X3 receptor antagonist (AF-219) :37(SD 32) 回/時間 → 11 (8)  回/時間
プラシーボ: 65 (163)  回/時間 → 44 (51)  回/時間


6名味覚障害にて中断。AF-219服用者全員訴え








J Physiol October 1, 2007 vol. 584 no. 1 191-203

2014年11月29日土曜日

ジルコニウム塩(ソロケイ酸塩):高カリウム血症治験

Sodium Zirconium (ジルコニウム塩):Cyclosilicate (ソロケイ酸塩)は高カリウム血症治療効果


軽度高カリウム血症(5.0-5.9 mmol/L)では監視必要、それ以上なら厳格な管理が必要である。RAASなどの薬剤介入上も問題になり、高カリウム血症治療にあたらしい介入法があれば・・・


心不全高カリウム血症での多施設2相性二重盲験第3相ランダム化治験
48時間後平均血中濃度主要測定項目
Sodium Zirconium Cyclosilicate in Hyperkalemia
David K. Packham,  et. al.
N. Engl. J. Med. Nov. 21, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1411487
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1411487
48時間後、平均K濃度は  5.3 mmol/L  at baseline → 4.9 mmol/L   (2.5 g of ZS-9) , 4.8 mmol/L ( 5-g group),  4.6 mmol/L (10-g group)
平均減少 0.5, 0.5, 0.7 mmol/L (P<0 .001="" all="" blockquote="" comparisons="" for="" nbsp="">







Effect of Sodium Zirconium Cyclosilicate on Potassium Lowering for 28 Days Among Outpatients With Hyperkalemia
The HARMONIZE Randomized Clinical Tria
JAMA. Published online November 17, 2014. doi:10.1001/jama.2014.15688
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1936753
多国・高カリウム血症外来患者
オープンラベル治験相48時間、1日3回
8-29日め血中カリウム平均値
平均K < 5.1 mEq/Lの到達比率は、治験薬群VSプラシーボ (36/45 [80%], 45/50 [90%], and 51/54 [94%] for the 5-g, 10-g, and 15-g groups, vs 38/82 [46%] with placebo; P < .001 for each dose vs placebo)
副作用は同等だったが、浮腫が15g群で多い  (edema incidence: 2/85 [2%], 1/45 [2%], 3/51 [6%], and 8/56 [14%] patients in the placebo, 5-g, 10-g, and 15-g groups)


2014年11月26日水曜日

院外心肺停止:一次蘇生施行の方が、二次蘇生より、生存率・神経学的機能の成績良好

より高度の心肺蘇生をなるたけ早く施行した方が生存予後機能予後も良さそうだが、ハーバードの研究はその常識に疑問が生じることとなった。



Basic Life Support(一次救命処置)とALS(二次心肺蘇生法)の比較


米国メディケアの後顧的コホート研究にて、院外心停止患者の生存率調査

院外BLS患者の方が、 30日生存退院率、90日生存退院率とも成績が良い (BLS 13.1% vs ALS 9.2% ; 4.0 [95% CI, 2.3-5.7] パーセントポイント差、   8.0% vs 5.4%  ; 2.6 [95% CI, 1.2-4.0] パーセントポイント差) 
さらに、BLSでは入院中神経機能も良好  (神経学的機能不良比率 21.8% vs 44.8% ; 23.0 [95% CI, 18.6-27.4] パーセントポイント差) 
1年後付加的生存率得るためのALS比較BLSでの医療費は  $154 333。



Outcomes After Out-of-Hospital Cardiac Arrest Treated by Basic vs Advanced Life Support
Prachi Sanghavi, et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 24, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.5420




後顧的検討の性・・・ バイアスを含む可能性があるが、結構な成績差ではある



HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...