2016年1月3日日曜日

人工呼吸器関連肺炎早期診断のための超音波検査

まず、復習・・・

Ultrasound for “Lung Monitoring” of Ventilated Patients
Belaïd Bouhemad, et. al.
Anesthesiology 2 2015, Vol.122, 437-447.


肺炎患者における、肺超音波パターン
(A, B) 上葉: Bラインと関連した胸膜下コンソリデーションの存在(C)下葉 横断  (D) 長軸ビュー肺コンソリデーション (°) は、高エコー管状イメージ (*) を伴う組織構造として観察され、 dynamic air bronchograms (D)に相当
ここで、bronchogramは、arborescent:樹枝状及び液含有構造として見られる、これを fluid bronchogramと呼ぶ

・・・ということで、VAP早期診断のための超音波検査の能力確認



Lung Ultrasound for Early Diagnosis of Ventilator-Associated PneumoniaSilvia Mongodi, et. al.
Chest. 2015. doi:10.1016/j.chest.2015.12.012



多施設前向き研究、VAP疑診 99名
感染所見、胸膜下コンソリデーション、葉性コンソリデーション、dynamic arborescent/linear air-bronchogramといったLUS所見の診断パフォーマンス

気管内吸引物(EA)の直接微生物検査と結びつけたLUS所見を評価

LUS 所見と EA スコア
-Clinical-LUS score (VPLUS Ventilator-associated Pneumonia Lung Ultrasound Score):
胸膜下コンソリデーション ≥2 区画以上  1 点
dynamic arborescent/linear air-bronchogram ≥1 区画以上 2 点
膿性気管内吸引物(EA) 1 点

- VPLUS-EAgram:
胸膜下コンソリデーション ≥2 区画以上  1 点
dynamic arborescent/linear air-bronchogram ≥1 区画以上 2 点
膿性気管内吸引物(EA) 1 点
気管内吸引物(EA)グラム染色陽性所見 2点



VAP診断に対して、胸膜下コンソリデーションとdynamic arborescent/linear air-bronchogramでは、PPV 86%、陽性尤度比 2.8
2つのdynamic linear/arborescent air-bronchogramではPPV 94%、陽性尤度比  7.1

曲線下面積は VPLUS-EAgram 0.832 、 VPLUS  0.743

VPLUS-EAgram ≥3 では、特異度 77% (58-90)、感度 78 (65-88)
VPLUS ≥2 では、特異度 69% (50-84)、感度 71% (58-81)




2016年1月2日土曜日

下気道in vivo研究: ディーゼル排気物は誘導性アレルギー性炎症促進

これはヒトのアレルギー性鼻炎での知見だが・・・
グルタチオン抱合酵素(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、GST)の遺伝子、Glutathione S-transferase (GSTs) theta 1 (GSTT1)は、アレルギーの原因物質であるアレルゲンの増強作用をの働きをディーゼル排出物質による増強作用の個人差と関連する
"The Lancet ,Volume 363, No. 9403, p119–125, 10 January 2004 "

下気道in vivo研究での検討。
ディーゼル排気物はアトピー患者患者でアレルゲン誘導性アレルギー性炎症を促進する



Diesel exhaust augments allergen-induced lower airway inflammation in allergic individuals: a controlled human exposure study
Chris Carlsten, et. al.
Thorax 2016;71:35-44 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207399

序文 交通関連大気汚染は、アレルギーや気道疾患を促進する。しかし、ディーゼル排気物によるアレルギー作用促進はヒトの肺でのin vivo実験では不明、この明らかなsynergyの下部構造詳細は不明

目的 アトピー例において、ディーゼル排気物の2時間吸入によりセグメント化アレルゲン暴露による下気道炎症、免疫細胞活性化を促進するかを検証

方法 18 名のブラインド化アトピーのボランティアに、ランダム形式で、フィルター化空気、もしくは、ディーゼル排気物 300 µg PM2.5/m3 を暴露
1時間暴露、希釈対照セグメント化アレルゲン暴露を行い、2日後、暴露セグメントから得たサンプルをBALにて採取。サンプルを、アレルギー性炎症のマーカーあるいはmodifier(eosinophils, Th2 cytokines) とadaptive immune cell activationを分析
これらエンドポイントにおける序数コントラストによるMixed effects modelで、単一・組み合わせ暴露効果を検討

結果 ディーゼル排出物は、気道好酸球、IL-5、ECPのアレルゲン誘発的増加促進させ、、GSTT1 null genotypeは促進されたIL-5反応と有意に相関する。
ディーゼル排出物単独はまた非アレルギー性炎症のマーカーやmonocyte chemotactic protein (MCP)-1 を促進し、マクロファージ活性や骨髄樹状細胞を抑制する

結論 環境的問題となる濃度でのディーゼル排出物吸入は、アトピー体質の人の下気道でのアレルゲン誘導性アレルギー性炎症を促進し、GSTT1 genotypeはこの影響を促進する。
アレルギーの場合、ディーゼル排気物は気道への悪影響感受性が高い。


COPD:ネットワーク・メタアナリシス LABA/LAMA合剤の有効性安全性

副作用などから例外は存在するだろうが、基本的に全例LABA/LAMA合剤でよいではないか・・・と極論されそうな話


特に、長期安全性に関してはもう少し知見が必要だと思う。


だが、合剤への潮流は変わらない・・



Efficacy and safety of long-acting β-agonist/long-acting muscarinic antagonist combinations in COPD: a network meta-analysis
Yuji Oba, et. al.
Thorax 2016;71:15-25 Published Online First: 21 October 2015



背景 COPD安定期患者に於る、長時間作用βアゴニスト/長時間作用ムスカリン作用アンタゴニスト(LABA/LAMA)の立場は実ははっきりしてない。
LABA/LAMA合剤の有効性、安全性をシステマティックにレビュー

方法 明確な臨床トライアルをいくつかのデータベースと業者ウェブサイト調査。LABA/LAMA合剤とプラシーボ and/or 単剤との比較した、12週以上のランダム化対照トライアル。メタアナリシスのネットワーク手法、従来の直接比較手法によるデータをpool化

結果 27,172名、23トライアルをこの解析に含めた。LABA/LAMA合剤は、単剤より、肺機能、 St. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ) score、 Transitional Dyspnoea Index (TDI) をを有意に改善
対 LABAs比較で、 OR 1.23 (95% credible interval (CrI) 1.06–1.39)、 OR 1.34 (95% CrI 1.19–1.50) 
対LAMAs比較で、 OR 1.24 (95% CrI 1.11–1.36), OR 1.31 (95% CrI 1.18–1.46)

LABAs比較で中等度〜重症急性増悪回数減少  (HR 0.82 (95% CrI 0.73–0.93))するも、対LAMAs比較では減少有意差なし(HR 0.92 (95% CrI 0.84–1.00))

LABA/LAMA合剤と各々の単剤との比較に関して、安全性アウトカム、重症急性増悪に関して統計学的有意差無し
結論 合剤治療が肺機能改善、QOL、症状スコア、中等度〜重症急性増悪発生率に関して、各々の単剤より、プラシーボより最も有効。安全性アウトカムと重症急性増悪に関して同等効果。


β遮断剤はCOPD急性増悪を減少

点眼を含めたβ遮断剤使用により喘息において気道閉塞を生じる可能性がある一方、COPD患者においては死亡率・急性増悪減少を生じ比較的安全と考えられる。

喘息・COPDオーバーラップ症候群でその使用はどう考えるべきか、課題が残る。


後顧的研究というエビデンスレベルのやや劣る報告だが、β遮断剤使用は、GOLD stage 3、4及び在宅酸素患者・Stage BでCOPD急性増悪減少が示された。




β-Blockers are associated with a reduction in COPD exacerbations
Surya P Bhatt,et.al.
Thorax 2016;71:8-14 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207251

【序文】 後顧的研究の中にはβ遮断剤は急性増悪の頻度減少し、死亡率減少するという報告もある。一方、在宅酸素の重症COPD患者への使用は有害性があるかどうか関心がある。

【方法】 COPDGene cohort(現行喫煙・喫煙既往者登録・多施設観察コホート)の前向きフォローアップにおけるChronic Obstructive Lung Disease (GOLD) stage 2–4 COPD被検者において、多センター観察コホート
急性悪化総数・重症悪化率を、負の二項回帰解析を用いた長軸的フォローアップによる、β-遮断剤使用にてカテゴライズされた群間を住民統計、気道閉塞、CT上%気腫、冠動脈疾患存在、うっ血性心不全、冠動脈石灰化補正後比較とβ遮断剤処方の propensity補正比較。

【結果】 3464 名を含め、フォローアップ期間中央値 2.1年間において、β遮断剤は急性悪化総数減少l (incidence risk ratio (IRR) 0.73, 95% CI 0.60 to 0.90; p=0.003)、重症急性増悪数減少(IRR 0.67, 95% CI 0.48 to 0.93; p=0.016)と関与

GOLD stage 3 及び 4および在宅酸素使用者において、β遮断剤は 急性悪化総数減少l l (IRR 0.33, 95% CI 0.19 to 0.58; p<0 .001="" 0.16="" 0.35="" 0.76="" 95="" ci="" p="0.008)と関与</p" to="">
急性増悪減少は、GOLD stage Bにおいて特に大きい。

β遮断剤使用による全原因死亡率の差を認めず

【結論】 気道閉塞重症度にかかわらずβ-Blocker使用は、COPD急性増悪における有意減少と関連。この研究の所見はランダム化、プラシーボ対照トライアルにおいて検証されるべき。


2015年12月29日火曜日

癌背胸膜炎胸膜癒着:オピオイド使用vs NSAIDs使用、チェストチューブサイズ

癌性胸膜炎管理における胸膜癒着術:Pleurodesisにおいて、疼痛コントロールは必要だが、NSAIDsはできるだけ有効性を減弱しそうなので避けたいという序文

NSAIDs使用はオピオイド使用と比べ胸膜癒着成功率に関して非劣性
ただ、レスキュー使用必要数多くなる
一方、チューブサイズ小さいとトラブル増える


Effect of Opioids vs NSAIDs and Larger vs Smaller Chest Tube Size on Pain Control and Pleurodesis Efficacy Among Patients With Malignant Pleural Effusion
The TIME1 Randomized Clinical Trial
Najib M. Rahman,  et. al.
JAMA. 2015;314(24):2641-2653. doi:10.1001/jama.2015.16840.


オピオイド群 (n = 150) vs  NSAID群 (n = 144) の疼痛スコアは有意差を認めず (mean VAS score, 23.8 mm vs 22.1 mm; adjusted difference, −1.5 mm; 95% CI, −5.0 to 2.0 mm; P = 0.40)

しかし、NSAIDs群ではよりレスキュー鎮痛剤が必要 (26.3% vs 38.1%; rate ratio, 2.1; 95% CI, 1.3-3.4; P = .003)

胸膜癒着失敗は、オピオイド群 20% はvs NSAIDs群 23%比較で非劣性クライテリアに一致 (difference, −3%; 1-sided 95% CI, −10% to ∞; P = 0.004 for noninferiority)

chest tubeのサイズ、 12F (n = 54)は、vs 24F群 (n = 56) において疼痛スコアは少ない (mean VAS score, 22.0 mm vs 26.8 mm; adjusted difference, −6.0 mm; 95% CI, −11.7 to −0.2 mm; P = 0 .04)

12Fは、対 24F chest tubeに比べ癒着失敗率高い  (30% vs 24%), failing to meet noninferiority criteria (difference, −6%; 1-sided 95% CI, −20% to ∞; P = .14 for noninferiority).

chest tube挿入中合併症は12Fチューブで多い (14% vs 24%; odds ratio, 1.91; P = 0.20)

ヨガとセルフコンパッション瞑想:アルツハイマー型認知症介護家族へのQOLやセルフコンパッションへの効果


セルフ・コンパッション尺度日本語版の作成と 信頼性,妥当性の検討
Neff(200 ) は,セルフ・コンパッション自分へのやさしさ (self-kindness), 共 通 の 人 間 性(common humanity), マインドフルネス(mindfulness)という三つの特性か らなると考え,それぞれの対極となる特性,すなわち 自己批判(self-judgment),孤独感(isolation),過剰同 一化(over-identification)を組み入れた 因子からな るセルフ・コンパッション尺度(Self-Compassion Scale: SCS)を作成
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/1/85_50/_pdf





アルツハイマー病患者の家族介護者のcompassion meditationを伴うヨガ実践による、QOL、attention(注意力)、vitality、self-compassionへの効果評価






Yoga and compassion meditation program improve quality of life and self-compassion in family caregivers of Alzheimer's disease patients: A randomized controlled trial
Marcelo AD Danucalov ,et. al.
Article first published online: 21 DEC 2015
Geriatrics Gerontology International
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ggi.12675/abstract


計46名のボランティアをランダムに2群割り付け
ヨガ・compassion群 (n=25)、 対照群(CG: n = 21)
プログラムは、8週継続、週毎に3回のヨガと瞑想実践、セッション時間は1時間15分

結果:ヨガ・compassion瞑想プログラムにより有意にCG群よりquality of life、 attention,、vitality、self-compassion score改善(p < 0.05)

介入後time-pointでは統計学的有意差でなかった


今回の知見:アルツハイマー型認知症家族介護者において8週間のヨガ・compassion瞑想プログラムは、QOL、vitality、attention、self-compassion改善





ヨガ・compassionの対照が、Sham-Yogaじゃないから・・・真にヨガ・compassion瞑想によるものかエビデンス的疑念が挟まれるのは仕方が無い。
ただ、なにかと悩み深い認知症家族介護者へ何もしないよりははるかに利益性は高いということだけはわかった。

2015年12月28日月曜日

COPDの”ロコモ”:ミトコンドリア機能障害


Contribution of the mitochondria to Locomotor Muscle Dysfunction in COPD patients
Tanja Taivassalo, et. al.
CHEST (2016), doi: 10.1016/j.chest.2015.11.021.



COPD locomotor muscleのmtROS遊離量実測報告は少ない

permeabilizeされた外側広筋のミトコンドリアあたりのH2O2遊離ネット量は、中等症COPD患者で対照者に比べ増加。これは、ベースラインの Complex-II-driven 呼吸中(State 2)に当てはまる。
superoxide産生速度増加、アクティブなリン酸化(State 3)と相関する

日々の身体不活発は、State 2呼吸の比率を増大させ、電子伝達系によるmtROS産生を増加させる。ROSによるmtDNAダメージにより電子伝達系(I, III, IV, V)機能障害を生じ、ミトコンドリアのoxidative capacity低下させ、ROS産生促進する。mtROS産生促進は、permeability transitionを誘導し、mPTPを合成、pro-apoptotic factorだるCytochrome-Cを流離し、effector caspaseの活性化、myonuclear apoptosisと繊維の萎縮を生じる。ミトコンドリア由来ROSはFoxO、NFκB transcription factor、autophagy-lysosome proteolytic pathwayを活性化し、繊維萎縮を生じる
加齢細胞における酸化ストレスと炎症は、COPDの筋肉の病態生理と類似



COPDミトコンドリアを介したlocomotor muscle dysfunctionの治療戦略
PGC-1α、PPAR signaling pathway1をターゲットに生理学的運動、薬物学的に調整し
1)ミトコンドリア生合成促進、脂肪代謝促進、Type 1筋線維比率を改善し筋肉oxidative capacityを増加:多価不飽和脂肪酸、PPAR isoformの内因性リガンドはミトコンドリアの生合成促進、筋肉のoxidative capacityを誘導する
2)ROS産生、Oxidative stress抑制:ミトコンドリア標的抗酸化物質によりROS過剰産生を中和し、COPD筋肉内のoxidative stressを改善
3)NFκB経路を阻害し、筋萎縮を抑制






Chance & Williamsの酸素電極を用いた生理的状態(State)下の観察

Respiratory enzymes in oxidative phosphorylation. III. The steady state.

State 3:呼吸基質、Pi、 ADP及び酸素が十分にあり、酸化的リン酸化反応、呼吸速度が極めてて早い
State 4:ADPが全てリン酸化され、呼吸速度がゆるやかに、呼吸鎖の電子伝達系とリン酸家系が平衡状態:制御呼吸状態

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note