2020年6月10日水曜日

dysanapsis:不釣り合いな気道と肺の発達変化 喘息に続き、COPDと関連性報告

気道の発達不均一性、dysanapsisは、小児喘息の罹病率や治療不応性と関連する
https://kaigyoi.blogspot.com/2017/02/dysanapsis.html


 dysanapsisとは,ギリシャ語のdys=unequalとanap—tixy=growthをつないだ言葉で,別名allometryとも呼ばれる。肺のdysanapsisは,肺の成長過程で気道と肺胞が不つり合いとなることをさしている。肺胞の大きさ(肺気量)が大きい個体で必ずしも気道サイズ(気道体積)が大きい訳ではなく,同一個体の成長過程でこの割合が変わり,また個体間でも大きなバラツキがある。このゼミナールでdysanapsisをとり上げた理由は,正常人において気道と肺胞のつり合いについていくつかの興味ある研究が成され,肺疾患における意義も今後明らかにされようとしているからである。
 まずdysanapsisの表現法について。最も実際的で生体で用いうる方法は,胸部レ線写真(正,側)で気管のサイズおよび断面積を実測し,これと肺気量との比を求めるものである。胸郭内気管の正面および側面からみた直径を0.5cm間隔で測り,平均値を求める。測定の下限は分岐部から2〜3cm口側である。気管の断面積は,半月形とみなして計算出来る(Osmanliev D,et al.Am.Rev.Resp.Dis.126:179,1982)。

dysanapsisについては、CTでの評価が簡単となりより広範に分析できるようになった

https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1404204399

つぎはCOPDとの関連性

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、完全には逆転しない空気の流れの制限によって定義され、世界的に罹患率と死亡率の主要な原因となっています。
 喫煙タバコは COPD の主要な危険因子であるが、多くの国で数十年にわたって喫煙率が低下しているにもかかわらず、それに対応する疾患負担の減少は緩やかなものであった。
 さらに、生涯喫煙者のうち、スピロメトリーで定義された COPD を有する者は少数派であり、1987 年から 1988 年までと 2005 年から 2009 年までの人口ベースの観察サンプルでは、喫煙しなかった人の中で最大 30%が発生していた。
COPDには他の因子(例えば、副流煙、環境汚染物質や職業汚染物質、喘息)も関連しているが、COPDリスクの変動の多くは未だに説明されていない。
3年間の肺機能の軌跡研究では、高齢者のCOPDの50%は加速的な肺機能の低下ではなく、ベースラインの肺機能の低下に起因していることが示された。
低ベースライン肺機能に関連する因子を特定することは、地域社会における高齢者のCOPDリスクの大きな割合を説明するのに役立つかもしれない。
dysanapsisとは、肺の大きさに対する気道樹の口径の不一致を指し、最初は健康な成人の間でのスピロメトリーのばらつきから推測されていた。
肺機能障害は人生の早い時期に発生すると考えられており、閉塞性肺疾患の罹患率に関与しており、コンピュータ断層撮影(CT)を用いて直接定量化することが可能である。
本研究では、平均気道内腔径と肺総容積の比(気道対肺比)として CT で定量化されたdysanapsisが、強制生命能力(FEV1:FVC)比に対する 1 秒目の強制呼気量の変動の有意な割合を統計的に説明し、一般の高齢者における COPD の発症と関連しているという仮説を検討


Association of Dysanapsis With Chronic Obstructive Pulmonary Disease Among Older Adults
Benjamin M. Smith, et al.,  for the MESA Lung, CanCOLD, and SPIROMICS Investigators
JAMA. 2020;323(22):2268-2280. doi:10.1001/jama.2020.6918
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766866

Key Points
  • 疑問点 dysanapsis、気道という樹木の管が肺のサイズ(airway tree caliber to lung size)とmismatchがその後COPDのリスクと関連するか?
  • 知見:高齢者6529人を対象とした後顧的御観察研究で、たばこ曝露およびその他の標準的な危険因子調整後、dysanapsis(コンピュータ断層撮影での気道と肺の比率:airway to lung ratio on computed tomography)の定量的な測定値は、COPDの発症(1秒目の強制呼気量と強制生命力[FEV1:FVC]、呼吸器症状を伴う0.70未満)と有意に関連していた。
  • 意義:高齢者においてdysanapsisはCOPDのリスク要素と思われる


意義
喫煙は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主要な危険因子であるが、COPD リスクの多くは未だに原因不明である。

目的
高齢者におけるCOPDの発症およびCOPDの肺機能低下と、CT(コンピュータ断層撮影)で評価される気道樹の口径と肺の大きさの不一致であるdysanapsisが関連しているかどうかを明らかにする

デザイン、設定、および参加者
2つのコミュニティベースのサンプルからなるレトロスペクティブコホート研究:Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA) Lung Study、2531人の参加者(米国6施設、2010-2018年)、およびCanadian Cohort of Obstructive Lung Disease (CanCOLD)、1272人の参加者(カナダ9施設、2010-2018年)、およびCOPDのケースコントロール研究の2つのコミュニティベースのサンプルからなるレトロスペクティブコホート研究。COPDの症例対照研究:The Subpopulations and Intermediate Outcome Measures in COPD Study(SPIROMICS)では、2726人の参加者(米国12施設、2011年~2016年)

暴露
 Dysanapsisは、19ヶ所の標準的な解剖学的位置で測定された気道内腔径の幾何学的平均値を肺容積の立方根(気道対肺比)で割ったものとしてCT上で定量化

主要アウトカムと測定法
プライマリアウトカムは、気管支拡張後FEV1/FVC 0.70未満で呼吸器症状有りをCOPDと定義
セカンダリアウトカムは長軸的な肺機能
すべての解析は、人口統計学および標準的な COPD 危険因子(一次および二次たばこ煙暴露、職業および環境汚染物質、喘息)で調整

結果
MESA Lungサンプル(平均[SD]年齢 69歳[9歳]; 女性 1334名 [52.7%])でCOPD有病者 237/253 (9.4%)、airway to lung ratio(気道/肺比率) 平均(SD) 0.033(0.004)、FEV1平均減少量 -33mL/年(31 mL/年)
COPD有病のないMESA Lung被験者 2294名のうち、その後 6.2年間中央値期間においてCOPD発症 98(4.3%)

airway to lung ratio(気道/肺比率)最大4分位に比べ、最小4分位では有意にCOPD発症頻度高い (1000人年あたり 9.8 vs 1.2 ; rate ratio [RR], 8.12; 95% CI, 3.81 to 17.27; rate difference, 1000人年あたり 8.6 例; 95% CI, 7.1 to 9.2; P <0.001) だが、FEV1減少に関しては有意では無かった  ( −31 vs −33 mL/y; 差, 2 mL/年; 95% CI, −2 to 5; P = 0.30).
CanCOL被験者(平均[SD]年齢 67歳[10歳]、女性 564 [44.3%])のうち、期間中央値 3.1年間においてCOPD発症 113/752(15.0%)、FEV1減少平均(SD)   −36 mL/年 (75 mL/年)
airway to lung ratio(気道/肺比率)4分位最小でのCOPD発症は最大4分位より有意に高率(1000人年あたり 80.6 vs 24.2 例; リスク比 3.33; 95% CI, 1.89 to 5.85; rate difference, 1000人年あたり 56.4 ; 95% CI, 38.0 to 66.8;  P <0.001)
しかし、FEV1減少では有意差無し  (−34 vs −36 mL/年; 差, 1 mL/年; 95% CI, −15 to 16; P=0.97)
 
COPDのあるSPIROMICS被験者 1206名(平均 [SD] 年齢 65歳[8歳]; 女性 542 [44.9%])ではフォローアップ期間中央値 2.1年間において、airway to lung ratio(気道/肺比率)最小4分位では、平均FEV1減少 -37 mL/年(15 mL/年)で、MESA Lung被験者の減少速度と有意差なし(P=0.98)
しかし、最大4分位ではMESA Lungより迅速に低下 (−55 mL/年 [16 mL/年 ]; 差, −17 mL/年; 95% CI, −32 to −3; P = 0.004)

結論と関連性
高齢者では、脱力症は COPD と有意に関連しており、肺の大きさに対する気道樹の口径が低いと COPD のリスクが高かった。ダイアナプシスはCOPDと関連する危険因子であるように思われる。

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住民ベース研究MESA Lung StudyでのCOPDリスク要素なしの被験者
代表的冠状断CT画像;区分化された中心部気道樹(色づけピンク)、対応する気道/肺比でdysanapsis測定、FEV1/FVC比 

A, A participant in the first percentile (percent-predicted airway tree size, 78%) and FEV1:FVC of 0.55.
B, A participant in the 25th percentile (percent-predicted airway tree size, 91%) and FEV1:FVC of 0.68.
C, A participant in the 50th percentile (percent-predicted airway tree size,100%) and FEV1:FVC of 0.80.
D, A participant in the 75th percentile (percent-predicted airway tree size,105%) and FEV1:FVC of 0.81.
E, A participant in the 99th percentile (percent-predicted airway tree size, 120%) and FEV1:FVC of 0.91.
For geometric mean calculations, see the Methods section.

2020年6月9日火曜日

Covid-19:右室機能の重要性



自発呼吸下では、右室は、左室に比べ、心室壁が薄く伸展性が良く、レジスタンスとして低い血管系システムである。右室の高負荷は、肺血管抵抗により決定され、ARDSでは機械式人工呼吸により胸腔内圧増加し静脈系還流減少する。またこのような状況では、右室後負荷増加するが、trans-pulmonary pressureの増加や肺血管抵抗の増加、低酸素性および高炭酸ガス性の血管収縮に基づく二次性の増加である。
心室相互依存性(interdependence)と奇異性中隔により説明される。
この場合、心拍出量の低下が起こり、全身の灌流を低下させ、患者をRV虚血にさらす。さらに、COVID-19の患者では凝固亢進状態が認められ、肺血栓性合併症の発生率が高く、RV後負荷が悪化する。右室機能障害とRV拡張(急性心肺機能障害[ACP])の発症は、ARDSの超過死亡と関連する。ACPはdriving pressure、PaCO2,PaO2/FiO2比とも古典的記述だと関連。最近では、右室機能はtricupsid annular plane systolic excursion(PAPSE)、right ventricular fractional area change (RVFAC) と右室longitudinal strainにより測定しCovid-19死亡率予測因子としての意味をもつ

左室機能解析に加えて、COVD-19感染者の右室、特に重篤な状況下でのチェックと評価の重要性を提示した報告

he Right Ventricle in COVID-19 Patients
Abdallah FAYSSOIL,et al.
Am. J. Cardiology Published:June 08, 2020
DOI:https://doi.org/10.1016/j.amjcard.2020.06.007
https://www.ajconline.org/article/S0002-9149(20)30563-4/fulltext





小児:川崎病関連疾患とは異なる新しい臨床特性を有する小児重症炎症性多臓器症候群:PIMS-TS

Clinical Characteristics of 58 Children With a Pediatric Inflammatory Multisystem Syndrome Temporally Associated With SARS-CoV-2
Elizabeth Whittaker, et al.; for the PIMS-TS Study Group and EUCLIDS and PERFORM Consortia
JAMA. Published online June 8, 2020.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2767209
doi:10.1001/jama.2020.10369

疑問点:コロナウィルス疾患2019パンデミック中の炎症性多臓器症候群は重症小児患者の臨床的・検査特性は何?
所見:58名の集中治療必要なサブセット、発熱、炎症、臓器障害を含むpediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (PIMS-TS)の定義クライテリア合致する、入院小児を含むこの症例シリーズ
この子供たちの内、全例発熱、非特異的症状、例えば腹痛(31,53%)、発疹(30,52%)、結膜充血(26,45%)、ショック発症 ・昇圧サポート・輸液蘇生必要 29(50%)、川崎病診断クライテリア合致 13(22%)、冠動脈拡張・動脈瘤 8(14%)
川崎病、 Kawasaki disease shock syndromeやtoxic shock syndromeと明確に異なる臨床的・検査特性があり
意義:入院PIMS-TS重症児の臨床的特性の特徴化を助け、臨床的に新しい症候群と考える知見である



(後 機械語翻訳)

重要性
コロナウイルス疾患2019の発生率が高い地域では、発熱と炎症の異常な症候群を持つ小児の報告が出てきている。

目的 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に一時的に関連する小児炎症性多系統症候群(PIMS-TS)の基準を満たした入院小児の臨床的・検査的特徴を記述し、他の小児炎症性疾患と比較する。

デザイン,設定,および参加者
英国の 8 つの病院から,2020 年 3 月 23 日から 5 月 16 日までの間に入院し,PIMS-TS の公表されている定義を満たす持続的な発熱と炎症の臨床的証拠を有する 58 例の小児の症例シリーズ。追跡調査の最終日は2020年5月22日であった。臨床的特徴および検査室的特徴をカルテレビューで抽出し、2002年から2019年までに欧米の病院に入院していた川崎病(KD)(n = 1132)、Kawasaki disease shock syndrome(n = 45)、中毒性ショック症候群(n = 37)の患者の臨床的特徴と比較した。

曝露
英国、米国、世界保健機関(WHO)のPIMS-TSの定義基準を満たした小児の徴候および症状、臨床検査所見および画像所見。

主なアウトカムおよび測定法 PIMS-TSの定義基準を満たした小児の臨床的、臨床検査的、画像学的特徴、および他の小児炎症性疾患の特徴との比較。

結果
PIMS-TS の基準を満たした 58 人の小児(年齢中央値、9 歳[四分位間範囲 {IQR}、5.7-14]、女児 33 人[57%])が同定された。
SARS-CoV-2ポリメラーゼ連鎖反応検査の結果は 58 例中 15 例(26%)で陽性であり、SARS-CoV-2 IgG 検査の結果は 46 例中 40 例(87%)で陽性であった。

合計で、58人中45人(78%)の患者にSARS-CoV-2の現在または過去の感染の証拠があった。
すべての小児は発熱と嘔吐(26/58人[45%])、腹痛(31/58人[53%])、下痢(30/58人[52%])を含む非特異的な症状を呈していた。
発疹は58例中30例(52%)に、結膜充血は58例中26例(45%)に認められた。
臨床検査値は、C反応性蛋白(229 mg/L [IQR、156~338]、58例中58例で評価)およびフェリチン(610 μg/L [IQR、359~1280]、58例中53例で評価)などの著しい炎症と一致していた。
58人の小児のうち、29人がショック(心筋機能障害の生化学的証拠を伴う)を発症し、強心薬の投与と体液蘇生を必要とした(機械的人工呼吸を受けた23人/29人[79%]を含む);13人が米国心臓協会のKDの定義を満たし、23人はショックや川崎病の特徴を伴わない発熱と炎症を有していた。
8人の患者(14%)が冠動脈拡張または動脈瘤を発症した。
PIMS-TSと川崎病との比較では、臨床的および検査的特徴に違いが認められ、年齢の高齢化(年齢中央値、9歳[IQR、5.7~14歳]対2.7歳[IQR、1.4~4.7歳]、3. 8 歳 [IQR、それぞれ 0.2-18])、および C-反応性タンパク質などの炎症性マーカーの上昇が大きい(中央値、229 mg/L [IQR 156-338] vs 67 mg/L [IQR、40-150 mg/L] vs 193 mg/L [IQR、83-237])ことを特徴としています。



結論と関連性
PIMS-TSの基準を満たした入院中の小児を対象とした本症例シリーズでは,発熱や炎症から心筋損傷,ショック,冠動脈瘤の発生に至るまで,様々な徴候や症状,重症度が認められた。川崎病およびKawasaki disease shock syndromeの患者との比較から、この症候群についての洞察が得られ、この疾患は他の小児炎症性疾患とは異なることが示唆された。

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2020年6月8日月曜日

ケンサーズ;感度の高い検査でなきゃ感染拡大につながる ・・・ というのが分かってない

知識のある人には当然のことだが、マスコミなどではこの常識が分かってないのが多い

無症状対象者への検査が今後拡大することになるのだろうが、この記事を再認識することは重要と思う


34人院内感染の原因は“偽陰性”か 収束後初めて取材に応じた副院長「PCR検査を過信しすぎてはいけない」
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6361955
院内感染の原因として浮上したのが、個室から大部屋に移動した1人の患者だった。4月中旬、発熱と肺炎の症状がありPCR検査を受けたところ、結果は陰性。症状も改善され、6人の大部屋に移り(4日間)その後退院したが、自宅療養中に再び発熱し、再度PCR検査を受けた結果は陽性だった。その後、一緒の大部屋にいた患者5人の感染も確認されたのだ。
 「PCRが主な検査だったが、陽性率が6~7割。裏を返すと、2割3割は陽性であってもそう出ない『偽陰性』として出てしまう」(同)





NEJM誌 6月6日 記事

False Negative Tests for SARS-CoV-2 Infection — Challenges and Implications
List of authors.
Steven Woloshin, et al.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2015897



グラフは、感染の検査後確率が検査前確率により、感度の低い70%想定と高い95%想定でしめしたもの
閾値は、非常に感度の高い診断検査が必要な理由が明確であることを示す

低感度検査では陰性の結果が出た場合、検査前の確率が15%を超えると閾値を超えるが、高感度検査では、検査前の確率が33%までであっても、5%の閾値を仮定すると、他人と接触しても安全であると考えられる。



のグラフはまた、テスト前の確率を下げる努力(例えば、社会的な距離を置く、マスクを着用するなど)が重要である理由を浮き彫りにしています。検査前の確率が高すぎると(例えば50%を超えると)、陰性の結果では閾値に達するほど感染の確率を下げることができないため、検査はその価値を失ってしまう。


Third, measuring test sensitivity in asymptomatic people is an urgent priority. 
It will also be important to develop methods (e.g., prediction rules) for estimating the pretest probability of infection (for asymptomatic and symptomatic people) to allow calculation of post-test probabilities after positive or negative results. 






急性肺塞栓診断のための新しい心電図スコア(nECGs)

心電図が急性肺塞栓症(acPE)の検査前確率の推定に役割を果たすことが示唆されたために新しい心電図スコア(nECGs)を考案

nECG単独または陰性dダイマー検査(DDT)との併用では、以前に発表されたECGスコアや最良の臨床予測ルールよりも急性肺塞栓症をより適切に除外することができた。nECGは、以前に発表された心電図スコアおよび予測規則よりもDDTの偽陽性をよりよく示すことができたというもの


Covid-19関連でもacPE注目されているし、されるべきだと思う
所見そのものは従来の所見だが、組み合わせがめんどくさいので、自動心電図判定に入れて欲しいと思う



Usefulness of a Novel Electrocardiographic Score to Estimate the Pre-Test Probability of Acute Pulmonary Embolism
András Vereckei, et al.
Published:June 07, 2020
DOI:https://doi.org/10.1016/j.amjcard.2020.05.042
Am J Cardiology
https://www.ajconline.org/article/S0002-9149(20)30553-1

これまでの経験から、12本の心電図は急性肺塞栓症(acPE)の検査前の確率を推定するために使用される可能性がある。この目的のために、我々は急性肺塞栓症の主要な病態を最もよく特徴づける5つの既知の心電図基準からなる新しい心電図スコア(nECGs)を考案した。
nECGの考案と検証には、acPE患者136人を含むレトロスペクティブな派生コホートと、連続した149人の患者を含むプロスペクティブな検証コホートを使用した。
後者のコホートは、acPEを有する76人の患者と、acPEの特徴的な症状を呈する73人の対照者で構成され、検査でacPEは除外された。

nECGの診断値を、別の心電図スコア(Daniel-ECG-score)および最良の予測ルール(3つのWellsスコアおよび2つのGenevaスコアの変種)の診断値と比較

心電図の感度(98.7%),陰性予測値(98%),検査精度(84.4%),陰性尤度比(LR)(0.019)は,他のすべての検査法と比較して優れていた.LRの陽性率には群間差はなかった。

nECGの特異度(69%)はDaniel-ECGスコアおよびWellsスコアに劣り,Genevaスコアの変種に差はなく,また優っていた.
nECGの正の予測値(77.3%)は2つのGENEVAスコアよりも優れており,他の方法との差はなかった.

結論として,nECGsは感度,負の予測値,検査精度,負のLRに優れているため,Daniel-ECGスコアや予測規則よりも試験前のacPEの確率を良好に推定することができた。

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acPEの診断にはより高い(>4)nECGsの値を設定した。

新規 ECGスコア・シート
  1. S1Q下壁T下壁 or  S1+T波陰転 (V1-3)
      • もし上記所見2つ同時存在するなら     ①
    • もし上記所見の3つが同時存在するなら     ②

2) 下壁誘導 and/or aVR and/or V1-3誘導のST部位上昇  or 下壁誘導 and/or V1-3のT波陰転
    • もし、上記部位のいずれかひとつのST上昇 or T波陰転存在するなら     ①
    • もし、上記部位の2つ以上でST上昇 or T陰転あれば、もしくは、上記部位の1つでも”ST上昇 and T波陰転”あれば     ②
    • もし、2部位以上でST上昇および1部位以上でT陰転あるか、もしくは、2部位以上のT陰転および1部位でのST上昇あれば     ③
    • もし、2部位以上で同時にST上昇及びT波陰転あれば     ④
3)V1誘導での、QR or qR or R/S >1 
    • 上記いずれかの異常が存在すれば     ①
4)  aVR誘導終末 r’波 and/or S1S2S3 syndrome and/or aVL、V4-6 のS波 、aVR ,V1-3 and or 下壁誘導 のfragmented or slurred QRS複合 
    • もし、 aVR terminal r’波 and/or S1S2S3 syndrome and/or aVL、V4-6のS波 or fragmented、slurred QRSが存在すれば     ①
    • もし、aVR誘導終末 r’波 and/or S1S2S3 syndrome and/or aVL、V4-6のS波 + fragmented、slurred QRSが同時存在すれば     ②
5) RV4-6primary ST部位上昇 and/or QS or QR complex
    • 上記存在するなら     ①



RBBBパターンでの新規ECGスコア・シート
  1. Q下壁 primary T下壁
    • もし、Q下壁 or  T下壁 だけなら     ①
    • もし、上記所見Q下壁 と T下壁2つが同時存在するなら     ②

2) 下壁誘導 and/or V1-3誘導のprimary ST上昇   and/or 下壁誘導のT波陰転
    • もし、上記部位のいずれかひとつのST上昇 or T波陰転存在するなら     ①
    • もし、下壁誘導のST上昇 and T波陰転両者あり or 2部位以上でのST上昇あれば  ②
    • もし、2つ以上でST上昇 and T陰転あれば      ③
3)V1誘導での、QR or qR
    • 上記存在すれば      ①
4)  aVR誘導終末 r’波 and/or S1S2S3 syndrome and/or aVL、V4-6 のS波 、aVR ,V1-3 and or 下壁誘導 のfragmented or slurred QRS複合 
    • もし、新規RBB or fragmented or slurred QRSのいずれか存在すれば     ①
    • もし、新規RBB or fragmented and  slurred QRSのいずれか存在すれば    ②
5) RV4-6primary ST部位上昇 and/or QS or QR complex
    • 存在するなら     ①

脳科学:task-fMRI手法への疑念

“脳科学者”というのがテレビにごく普通にでるようになり 、
文科省のライフセンス科で研究指針が昨年公表されるほど認知されてしまった
(実は中身は認知症や統合失調症などへの創薬プロジェクトで 、一般的な人間の脳とこころ・行動の学問ではない、人間科学的には狭小なプロジェクトへのネーミングに脳科学をつかうところの浅はかさ)
https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n2203_03.pdf


懐疑的にならざるえない分野がある、そかもこの分野が今まで科学性の証明のように用いられてきた手法 であるtask-fMRI手法への疑念が報告されたらしい




2020年06月08日 07時00分サイエンス
脳活動をfMRIによって測定する従来の方法に問題があるとの指摘
https://gigazine.net/news/20200608-brain-activity-unuseful/



ハリリ氏は「fMRIで人間の脳をスキャンすることで、例えば名前を覚えたり数を数えたりするときに、脳のどの部分がより活発に動いているかを正確に知ることができます」と述べています。しかし、人の脳活動パターンは常に同じではなく、測定されるたびに測定値が変化していることから、活動パターンを正確に捉えられていない可能性がある



What Is the Test-Retest Reliability of Common Task-Functional MRI Measures? New Empirical Evidence and a Meta-Analysis
Show all authors
Maxwell L. Elliott, et al.
https://doi.org/10.1177/0956797620916786
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0956797620916786


疾患リスクの脳内バイオマーカーを同定することは、神経科学の分野でますます優先度が高まっている。有意義なバイオマーカーを同定する能力は測定の信頼性によって制限されており、信頼性の低い測定値は臨床転帰の予測には不向きである。
タスク機能MRI(fMRI)を用いた脳活動の測定はバイオマーカー開発の主要な焦点となっているが、タスクfMRIの信頼性は体系的に評価されていない。 
本研究では、タスクfMRIの信頼性の低さを示すエビデンスを提示する。

第一に,90の実験(N = 1,008)のメタアナリシスにより,全体的な信頼性の低さが明らかになった(平均クラス内相関係数(ICC) = 0.397).
第二に、Human Connectome Project(N = 45)とDunedin Study(N = 20)で収集した11の一般的なfMRI課題のうち、前もって関心のある領域における活動のテスト-テスト信頼度は低い(ICC = .067-.485)ことがわかった。 
 これらの知見をまとめると,普通に使われている task-fMRI測定は,現在のところ脳のバイオマーカー探索や個人差研究には適していないことが明らかになった。このような状況がどのようにして生じたのかを検討し、タスク-fMRIの信頼性を向上させるための道筋を明らかにした。

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こういう報道があったんだ!

Apple Watchの心電図機能、まもなく日本でも利用可能に?
アップルが医療機器外国製造業として認定
ブラジルと同時かも
https://japanese.engadget.com/applewatch-ecg-081035190.html


2020年6月6日土曜日

特発性肺線維症:CT上牽引性気管支拡張進行の臨床的意義

強制肺活量(FVC)の低下が特発性肺線維症(IPF)患者の予後評価として用いられているが、明確でない、境界的、この場合はmarginalなという表現だが、そういう軽度なFVC低下の場合でも、連続CT解析上の牽引性気管支拡張所見が生命予後推定に重要な役割を果たすようだという分析



Serial CT analysis in idiopathic pulmonary fibrosis: comparison of visual features that determine patient outcome

Joseph Jacob ,et al.
Thorax (BMJ journals) http://orcid.org/0000-0002-8054-2293
https://thorax.bmj.com/content/early/2020/06/04/thoraxjnl-2019-213865


目的
特発性肺線維症(IPF)で抗線維化薬の投与を受けている患者および非IPF線維化肺疾患の患者では年次FVCの低下率は測定値の変動範囲内(5.0%~9.9%)であることが多い。視覚的CT変数の変化が、marginalなFVC減少が純粋な臨床的進行を意味し、測定上の雑音ではないことを確認したいという趣旨の報告


方法
 2つのIPFコホート(コホート1:n=103、コホート2:n=108)において、別々の放射線科医がペアのvolumetric CT(ベースラインから6ヵ月から24ヵ月の間に取得)施行
間質性肺疾患、蜂巣肺、網状陰影、すりガラス状陰影(GGO)、牽引性気管支拡張症の重症度の変化を5ポイントスケールを用いて評価し、死亡予測を単変量および多変量Cox回帰分析を用いて分析
2つのIPFコホート複合検討にて、CT変数変化がmarginal FVC減少を示す患者の予後推定となりえるかを分析

結果
単変量解析では、GGOを除くすべてのCT変数の変化が両コホートで死亡推定可能であった

一つの多変量解析(年齢、性別、抗線維化薬剤使用有無、ベースライン疾患重症度(DLCO)補正後)牽引性気管支拡張所見はFVC減少に独立した死亡予後因子であった


牽引性気管支拡張症の重症度の変化は、スコア測定者間で、良好な観察者間の一致を示した。

FVCのmarginalな低下のすべての患者において、牽引性気管支拡張症の重症度の変化は死亡率を独立して予測し、蜂巣肺変化の程度よりも、悪化患者が多く同定された

結論
牽引性気管支拡張症の重症度の変化は疾患の進行度を示す指標であり、FVC低下の臨床的重要性の解明に役立つ可能性がある。




特発性肺線維症患者における連続axial CT画像

  • 抗線維化薬を投与されておらず、年率10%以上のFVC低下を示した50歳男性患者では、6ヵ月間隔で撮影された画像(Ai,ii)は、放射線科医によって著しく悪化した(スコア=5)と分類された牽引性気管支拡張症の変化を示している。
  • 抗線維化薬を投与された62歳男性患者(Bi,ii)では、13ヶ月間隔で撮影された画像は年率FVC低下率が5.0%から9.9%の間であり、牽引性気管支拡張症の変化は軽度に悪化している(スコア=4)と分類された。 
  • 抗線維化薬(Ci,ii)を投与されておらず、15ヶ月間隔でCTを撮影した77歳の男性では、牽引性気管支拡張症の重症度の変化(Score=3)と年率FVC低下(-5.0%~4.9%)はともに安定していると考えられた。CT上に見られる実質細胞の変化は、疾患の進行ではなく、疾患の成熟を反映している可能性がある。


ベースラインCTスキャン時からのFVCの縦方向の変化を示すSpaghetti plot
患者を牽引性気管支拡張症の変化なし(赤)
牽引性気管支拡張症の変化あり(青)に分類した。
縦断的解析で考慮した開始および終了時のFVC測定は、それぞれのCTスキャン日から3ヵ月以内であった。

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