以下の論文を勝手に省略・意訳
The Diagnosis and Treatment of Pulmonary Embolism
A Metaphor for Medicine in the Evidence-Based Medicine Era
Vinay Prasad, et. al.
Arch Intern Med. Published online April 2, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.195
" Subsegmental PE Who Have a Negative Serial Bilateral Lower Extremity Ultrasound (SSPE) "に際し、sadle病変から亜区域病変までheterogenousな疾患なのに同じ管理がなされていたという疑問が呈された。
普通に致命的(30%-80%という死亡率)な肺塞栓であり、診断も右心負荷などの所見に基づくものであった。抗凝固療法や換気血流検査、CTPAなど、リスクスコアリングアルゴリズムの開発、そして、より安全案薬剤開発などの成功の歴史。一方では、死後発見がむしろ主であったかつての肺塞栓症。診断根拠困難なまま副作用による死亡が関与していた可能性があった。そしてサンプルサイズと介入・対照群比較の疑問など、アウトカム判定は結論付けできるものではなかった。にもかかわらず、抗凝固療法のベネフィット信念ごり押しで、これが、肺塞栓治療の標準治療になった。
抗凝固療法により死亡率30%から3%未満の時代になったことが治療成功の根拠となっている。
しかし、それは、肺塞栓がレントゲン写真で診断された時代との比較であり、治療成功が過大評価されている部分もある。単に、カバーする疾患範囲が変化したに過ぎないかもしれない。
Prospective Investigation of Pulmonary Embolism Diagnosis II study( JAMA. 2006;295(2):172-179.)により、CTPAの感度 83%、特異度 96%であり、肺血管造影に劣ることが示された。
しかし、非侵襲的modalityが2006年の研究でも支持され、抗凝固剤使用しなかったCTPA negativeな例で、DVTやPE複合指標であるVTE3か月発生頻度はわずか1.3%で実用上問題ないことを示唆。
CTPAは、一方で、過剰診断の側面をもたらした。Nationwide In-patient Sample and Multiple Cause-of-Death database(Arch Intern Med. 2011;171(9):831-837.)によると CTPA出現(1998-2006)以降、肺塞栓の人口当たり発生するは10万対 62.1から112.3と増加し、死亡率は12.3から11.9への減少にとどまった。一方、抗凝固治療による合併症(消化管出血、頭蓋内出血、二次性血小板減少症)は10万対 3.1から5.3へ増加している。 そして、CT技術進歩により、亜区域肺塞栓の発見頻度増加がみられる(Radiology. 2002;222(2):483-490.)。
冠動脈疾患と同様の疑問が肺塞栓領域でも生じており、血管再建術は最重症状態でのベネフィット確立したが、テクノロジーが診断と治療に影響をもたらし、冠動脈疾患診断患者数を貯蔵させ、一方で血管再建技術進歩ももたらされた。過剰診断と経皮的血管再建などに関し、”Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation trial”で一つの結論がもたらされ、安定疾患でのステント治療無施行は安全であるという、パラダイムがもたらされた。
亜区域肺塞栓に関して、同様のパラダイムが待ち受けているか?
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