2012年2月29日水曜日

尿中ビスフェノールA濃度と、冠動脈疾患に相関

bisphenol A (BPA)は、食品産業のプラスティックとして存在する化学物質で、心疾患との関連が報告されている。BPAと虚血生心疾患関連性を示す3つめの報告(Association of Urinary Bisphenol A Concentration with Heart Disease: Evidence from NHANES 2003/06 PLoS One. 2010 Jan 13;5(1):e8673. 、Circulating levels of bisphenol A and phthalates are related to carotid atherosclerosis in the elderly. Atherosclerosis. 2011 Sep;218(1):207-13. Epub 2011 May 10.  )であり、ラットやマウスで安全性試験がなされているが、人では腎排泄であり、齧歯類での安全性試験がなされていることに対する疑問が存在する。飲水、歯のシーラント、皮膚暴露、家庭内粉じん吸入などから暴露される可能性。


Urinary Bisphenol: A Concentration and Risk of Future Coronary Artery Disease in Apparently Healthy Men and Women  
Circulation. 2012;CIRCULATIONAHA.111.069153published online before print February 21 2012
758名の冠動脈疾患(CAD)発症例と861名の対照を10.8年フォローアップ
European Prospective Investigation of Cancer - Norfolk UK

40-74歳、ベースラインでのCAD・卒中・糖尿病無しのスポット尿中サンプル

尿中(u)BPA 濃度(中央値 1.3 ng/ml)は低く、uBPA SDあたり (4.56ng/ml)増加で、年齢、性別、尿中Cr補正モデルで、CAD発症と相関 (n=1919, OR=1.13 95% CI 1.02 to 1.24, p=0.017)

CADリスク要素補正(教育、職業的社会階層、BMIカテゴリー、収縮期血圧、脂質濃度、運動)でも同様だが、両側有意差やや消失  (n=1744 OR=1.11 95% CI: 1.00 to 1.23, p=0.058).

完全補正モデル感度分析にて、早期CAD(3年以上フォローアップ)、BMI≧30、腎機能障害、ビタミンC負荷補正、CRP、アルコール摂取を除外後、同様な推定となり、すべて相関性を示した(p≦0.05)。



BPAは内分し攪乱物質として、ホルモン調整の阻害をもたらす。エストロゲン拮抗作用、アンドロゲン拮抗作用などが知られてきたが、他に、肝障害、膵β細胞障害、甲状腺細胞障害、肥満促進効果なども記載されている。BPAが摂取され、可溶性代謝物となった場合、成人男女では5.3時間の半減期で、腎排泄型。倫理的事情で、暴露実験が出来ないが、ラットでは、非抱合BPAがbisphenol A-glucuronideとなり、尿排泄されていると考えられる。尿中排泄濃度高値なら人への影響、肝臓・インスリン関連、心血管疾患、肥満への影響があるはず。そういうことで、尿BPA濃度が重視されている。


BPAは Maxi-Kチャンネルを活性化し、毒性を示す可能性(Br J Pharmacol. 2010 May;160(1):160-70. Epub 2010 Mar 19.)

厚労省:ビスフェノールAについてのQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

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