2012年2月13日月曜日

進行がん患者の“End of Life care discussion”の現状




日本では、終末期と言えば、“がん”についてのみ語られている傾向が強いと思う。だが、心疾患・脳血管疾患、COPD、アルツハイマー病、腎不全なども当然ながら終末期は存在する。むしろ”がん”の終末期比率は22%とされ、少数なのである。

Advance Care Planning
Preferences for Care at the End of Life
http://www.ahrq.gov/research/endliferia/endria.htm


日本に於ける終末期ケアの議論は偏りすぎている。ただ、非がん疾患では、終末期の判断が難しいことが多いのも確か。だが、“終末期”の判断は、患者の苦痛を与えるだけの終末期医療を回避し、それに関わる時間を節約し、患者の残り少ない時間を有効に使うことにつながる。そして、医療コストの適正化にも役立つ。日本における“がん”に偏った終末期議論が様々な弊害を生んでいる。


がんに話はもどるが、進行がん患者の“End of Life care discussion”の現状



End-of-Life Care Discussions Among Patients With Advanced Cancer
A Cohort Study
Ann Int Med. February 7, 2012 vol. 156 no. 3 204-210 


2003-2005年肺がん・直腸結腸がん患者の前向きコホート
北カリフォルニア・LA、カリフォルニアなど在住

2155名検討

73% が ”EOL care discussion”を少なくとも一つの情報源で見いだした。
1470名フォローアップ中死亡のうち、87%がEOL care discussionを有し、フォローアップ終了時生存685名では41%。

カルテ記載初回EOL care discussion1081のうち、55%が病院で行われている。

oncologistは27%しか記載せず

フォローアップ中死亡したEOL記載されていた959名で、discussionが行われたのは死亡前中央値33日前



“End-of-life discussion”は、死が近い状態で、患者が受けたい医療ケアの目標・期待を明確化する機会を与えること。

だが、現実には、多くの研究でも医師や患者とも死について曖昧なままで、この議論を避けたままということが多い。 End-of-life discussionは、積極的医療を減少させ、ホスピスへの受け入れ早期化をもたらす(JAMA. 2008;300(14):1665-1673. )。


practical 4-step approach to conducting end-of-life discussions with patients and their families:
(1) Initiating Discussion,
(2) Clarifying Prognosis,
(3) Identifying End-of-Life Goals
(4) Developing a Treatment Plan.
 J Gen Intern Med. 2000 March; 15(3): 195–200. 






適切に“終末期”discussionがなされていたら・・・

(いんちき)“免疫療法”や“霊療法?”などに貴重な時間や金銭をかけることなく、尊厳を保てる時間が過ごせるはず。

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