2012年2月27日月曜日

NHKの愚挙続く:認知症と漢方


漢方の一律健康保険適応はおかしい・・・という意見まで抹殺される風潮 2009年 11月 30日
http://intmed.exblog.jp/9332057/


抑肝散に関して、NHKでこういう放送をしたそうだ。

~漢方スペシャル~2月25日放送【漢方パワーで不調改善
有働治療初体験でアレに効果▽トリンドルも驚がく認知症に漢方!▽体質改善でアトピー治りピースが大興奮▽中国の不老長寿生薬?】


ウェブ検索すると、“東京女子医科大学 東洋医学研究所”、“漢方専門医:木村容子先生”という名前が上がる。

“抑肝散”の話だと思うのだが、一般大衆に訴求すべきほどのエビデンスがいつの間にか構築されたのであろうか?自分の知識がちょっと心配になって調べてみた・・・


"yokukansan" pubmed検索: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=yokukansan
MeSH登録記載されてない。
pubme検索で、67件の検索、うち、認知症での報告47件

トライアルの中身をみても“open-label”だらけで、エビデンスレベルとしても必ずしも高いとは言いがたい報告だらけである。


たとえば
Open label trial to evaluate the efficacy and safety of Yokukansan, a traditional Asian medicine, in dementia with Lewy bodies.
Iwasaki K, Kosaka K, Mori H, Okitsu R, Furukawa K, Manabe Y, Yoshita M, Kanamori A, Ito N, Wada K, Kitayama M, Horiguchi J, Yamaguchi S, Fukuhara R, Ouma S, Nakano S, Hashimoto M, Kinoshita T.
J Am Geriatr Soc. 2011 May;59(5):936-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=yokukansa%20dementia

よくとり上げられる論文

認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療における漢方薬・抑肝散のランダム化クロスオーバー試験
A randomized cross-over study of a traditional Japanese medicine (kampo), yokukansan, in the treatment of the behavioural and psychological symptoms of dementia.
Mizukami K, et al.

Int J Neuropsychopharmacol. 2009; 12: 191-199.
ランダム化を名乗ってるが、交差対照試験で、washout期間が短すぎる。


以下は、例数が少ないが、行動・心理的所見改善効果を示した報告。
Effect of yokukansan on the behavioral and psychological symptoms of dementia in elderly patients with Alzheimer's disease 
A Monji et. al. 
Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry Volume 33, Issue 2, 17 March 2009, Pages 308–311
この報告の結論に、二重盲検ランダム化トライアルが必ず必要と書かれている。




いずれにせよ、中核症状である記憶障害に関する報告は乏しく、また、生命予後や身体的指標、介護者への負担随伴症状やコスト効果などの検討は少ない。



一般向けに、派手派手しく、認知症治療=抑肝散(あるいは 漢方)と言えるほどの知見が累積しているとは思えない。

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