2012年3月8日木曜日

アルツハイマー認知症:メマンチン+ドネペジル併用しても意味が無い? ・・・薬価を考えれば日本ではメマリー有利?

 ドネペジル投与の中等症・重症アルツハイマー病患者で、ドネペジルを継続割り当て群の方が、ドネペジル中止割り付け群の方より認知機能低下は少ない。
ドネペジルとメマンチン併用は、ドネペジル単独を凌駕するベネフィットを認めない


Donepezil and Memantine for Moderate-to-Severe Alzheimer's Disease
Robert Howard et. al.
N Engl J Med 2012; 366:893-903March 8, 2012

295名の施設でなく地域居住のドネペジル3ヶ月最低使用している中等症・重症アルツハイマー疾患(SMME(0-30スコア) 5-13)

・ ドネペジル継続(10mg/日)
・ ドネペジル中止
・ ドネペジル中止+メマンチン開始(week 1では5mg、その後週5mgずつ増量し10mg/日)
・ ドネペジル継続 +メマンチン開始

52週継続

プライマリアウトカムは、SMMSEと Bristol Activities of Daily Living Scale (BADLS, レンジ 0 ~ 60, 最大スコアが最大障害を意味する)
最小有意臨床差は、SMMSE 1.4、BADLS 3.5点

ドネペジル継続は、ドネペジル中止と比較すると、SMMSEスコア 1.9点s (95% 信頼区間 [CI], 1.3 ~ 2.5) 高く、BADLSは3.0点(95% CI、1.8-4.3)低下(P<0.001)。 

メマンチン投与割り付け群は、メマンチン・プラシーボ はSMMSEで平均 1.2点(95% CI、0.6-1.8 P<0.001)高く、BADLSスコアは1.5点(95% CI、0.3-2.8; P=0.02)低い。

ドネペジルと、メマンチン有効性に互いの有無の差を認めない。

ドネペジルとメマンチン併用に関してドネペジル単独を上回る効果を認めない



BBC newsでは、中等症程度の認知症なら、薬物を変更すべきではないという話で報道されている。
http://www.bbc.co.uk/news/health-17275807 

しかし、見方を変えると、違う結論づけも可能?


ドネペジルにはアリセプト後発がある。維持は5mg~10mgで、製薬会社は10mgをいかにも推奨。先発だと、1日 764円。後発でも500円台。


メマンチンの薬価は
メマリー錠  5mg  133.90円
メマリー錠10mg  239.20円
メマリー錠20mg  427.50円
で、維持量20mgが推奨されている。

薬価を考えれば、ドネペジルが推奨されるかと言えば、そうでもないと思う。

ただ、アリセプト後発は現時点では「高度アルツハイマー型認知症患」への適用は認められてない。

しかし、薬価だけで比べれば、 後発推奨が必ずしも、コスト削減につながらないことがありえる。

2 件のコメント:

  1. いつも拝見させていただき、勉強させていただいております。しがない開業医です。
    一つ気になったのですが、ドネペジル後発品は特許の関係で10mgは許可されていないと思っていたので、後発品10mg500円の比較は出来ないのかなと思いますが、私の勘違いでしょうか。

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  2. ご指摘の通りで、誤解を招く表現でした。
    先発/後発の用法用量の違いの一つとして、「l高度アルツハイマー型認知症」への適応の違いがあります。

    http://yama-yaku.or.jp/reference/tekiouchigai.pdf

    加筆訂正いたします

    返信削除

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