2012年3月8日木曜日

反復ストレスは前頭前野グルタミン酸伝達への悪影響を与え認知機能に障害を与える

慢性ストレスは、記憶障害を生じるが、これは、前頭前野(PFC)のグルタミン酸シグナル化によるものであることを示した報告。

前頭前野は反復ストレスに鋭敏な領域で、特に、成長期で・思春期では、この部分の発達が急速な時期である。慢性ストレスが、遂行機能、記憶・注意などに影響を与え、ストレス関連のメンタル疾患に関連する不適応を示すことにもつながる可能性がある。


繰り返すストレスにより、グルタミン酸受容体turnoverを促進することで、PFCグルタミン酸神経伝達を抑え、PFCにもとづく認知過程に対し負の影響をもたらすことがわかったとのこと。

Yuen EY, et al "Repeated stress causes cognitive impairment by suppressing glutamate receptor expression and function in prefrontal cortex" Neuron 2012; DOI: 10.1016/j.neuron.2011.12.033. 

 慢性ストレスは、ストレス関連精神疾患と関連する不適応性変化をもたらすが、その基礎となるメカニズムはあいまいだったが、若年雄ラットで、反復ストレスで、 temporal order recognition memory、前頭前野(PFC)による認知過程を障害することを示した。同時に、反復ストレスを受けた動物からのPFC錐体ニューロンにおいて、AMPAR- 、NMDAR-によるシナプス伝達・グルタミン酸受容体発現の減少が生じた。

このような影響はすべてglucocorticoid receptor活動性に依存し、続いて、GluR1、NR1 subunitのubiquitin/proteasome-mediated degradationを促進する。それらは、それぞれ、 E3 ubiquitin ligase Nedd4-1と Fbx2により調整される。

ストレス下動物では、PFC内のproteasome抑制、Nedd4-1とFbx2のknockdownにより、グルタミン反応・認知記憶は喪失する。


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