2012年3月27日火曜日

認知症:非定型向精神薬と心筋梗塞の関連 時間的関連性認めた

2005年以降、 非定型向精神薬:atypical antipsychotics (eg, risperidone, olanzapine, quetiapine fumarate)と死亡率増加との関連性に関連するエビデンスが出現し、安全性に関する議論が盛んになってきている。薬理的なドパミン作働性、セロトニン作働性、ムスカリニック作動性、アドレナリン作動性などとの関連性に関する原因考察と共に現象論的把握のための研究も進められている。


後顧的研究により、コリンエステラーゼ阻害剤治療高齢認知症患者では、向精神薬使用は心筋梗塞リスクとして、軽度で、時間限定的に関連性を認めた。


Antipsychotic Use and Myocardial Infarction in Older Patients With Treated Dementia
Antoine Pariente, et. al.
Arch Intern Med. Published online March 26, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.28
コリンエステラーゼ阻害剤開始 認知症高齢地域住居者の後顧的コホート解析

37138名のコリンエステラーゼ阻害剤使用患者コホートのうち、10969(29.5%)で向精神薬(AP)使用。


AP開始1年以内に、1.3%で心筋梗塞発症、ハザード比は30日以内 2.19 (95% CI, 1.11-4.32) 、 60日内 1.62 (95% CI, 0.99-2.65)、90日内 1.36 (95% CI, 0.89-2.08、365日内 1.15 (95% CI, 0.89-1.47)


自己対照症例シリーズ研究を新規AP使用者中804名の心筋梗塞発症例で行い、31-60日期間の 発症rate ratioは、 1.67 (95% CI, 1.09-2.56) で、61-90日では 1.37 (95% CI, 0.82-2.28)
 
論文としての評価は、後顧的研究なんで、AP利用の理由に関する寄与要素補正が行われているかどうかが問題。



非定型抗精神病薬より以前の抗精神病薬の方が死亡リスク高い 2005年 12月 01日
http://intmed.exblog.jp/2743476/

非定型向精神薬のアルツハイマー病への治療:メタアナリシス 2006年 02月 21日
http://intmed.exblog.jp/3232695/

非定型抗精神病薬も心臓突然死リスク増加と関連 2009年 01月 15日
http://intmed.exblog.jp/7817314/

向精神薬と血栓塞栓リスク 2010年 09月 22日
http://intmed.exblog.jp/11317501/

“非定型精神病薬”:糖尿病に関する量依存的関係 ジプレキサに特に影響 2012年02月27日
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/02/blog-post_3304.html

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