2012年7月19日木曜日

現局性前立腺癌:手術 vs 観察 ・・・ 手術で生存予後改善せず

PSA増加を発見端緒とした700名超の現局性前立腺癌を、根治的前立腺手術と観察に振り分け
経過観察10年間中央値で、全原因死亡率・前立腺癌死亡率群間差は有意でない。


1994年11月から2002年1月までの731名の現局性前立腺癌・男性(67歳平均年齢、PSA平均 7.8ng/mL)を割り付け


Radical Prostatectomy versus Observation for Localized Prostate Cancer
Timothy J. Wilt, et.al.
for the Prostate Cancer Intervention versus Observation Trial (PIVOT) Study Group
N Engl J Med 2012; 367:203-213July 19, 2012
フォローアップ中央値10.0年間

死亡:
根治的手術割り付け 171/364(47.0%)
観察割り付け 183/367(49.9%) 
 (ハザード比, 0.88; 95% 信頼区間 [CI], 0.71 to 1.08; P=0.22; 絶対的リスク減少, 2.9  %ポイント)

前立腺癌および治療関連死亡
根治的手術割り付け群:21/364(5.8%)
観察割り付け群内:31/367(8.4%)
 (ハザード比, 0.63; 95% CI, 0.36 to 1.09; P=0.09;絶対的リスク減少, 2.6%ポイント)

全原因・前立腺癌死亡率治療影響は、年齢、人種、合併状況、自己報告PS、腫瘍組織学的特性により違いは見られない。

根治的前立腺切除術は、PSA>10ng/mL超男性で全原因死亡率減少(P=0.04 for interaction )、中間・高リスク腫瘍でも減少と関連の傾向(P=0.07 for interaction)

手術後30日内副事象は、死亡1例を含む 21.4%





PSA検査にたよる前立腺発見など、早期前立腺がん治療に関しては、議論の多いところである。 システマティック・レビューでは治療有効性・有害性に着眼した情報に関して適切さに欠く。
一方で、前立腺癌診断の生涯リスクは17%程度とかなり大きく、死亡リスクとして3%程度である。一方、保存的治療が多くでなされている。


PSA検診に関して日本でも議論盛んだが、 “助かる人がいるから続ける”という疫学的根拠に基づかない主張がなぜかまかり通ってる。“日本人のデータが十分でないから続ける”という根拠も、有害性に関する懸念を無視した主張である。

少なくとも公費を一部でも利用するような一律検診は差し控える時期はとうに過ぎていると私には思えるのだが・・・



Bloonberg日本語版で紹介されていた。日本のメディアには期待しないけど...


前立腺がんの手術による救命率、経過観察とほぼ変わらず
Bloomberg 7月19日(木)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120719-00000046-bloom_st-bus_all

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