2012年8月2日木曜日

“精神的苦痛”の死亡率への影響は、量反応的・・・

 この報告のキーワード、“psychological distress”をどう訳すか迷ったが、一応NCCNのガイドラインで“精神的苦痛”とあるので、それに倣うことにした。

 精神的苦痛は自殺だけで無く、心血管死などでも量反応的関連性を認め、がんの場合も高度の精神的苦痛の場合関連性を認めるという報告。

Association between psychological distress and mortality: individual participant pooled analysis of 10 prospective cohort studies
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4933 (Published 31 July 2012)

【目的】 低レベル、臨床的な状況まで至らない症状、精神的苦痛(psychological distress)と、原因特異的死亡率の関連性を大規模住民ベースにて定量化した報告

【デザイン】 ealth Survey for Englandの10の大規模前向きコホート研究のメタアナリシス
ベースラインの12項目General Health Questionnaire scoreによる精神的苦痛評価、死亡統計からの死亡率

【被験者】 ベースラインで、35歳以上成人、心血管疾患・癌を有さない、英国内の個人住宅住人である一般住民68 222 名

【主要アウトカム測定】 全原因死亡(n=8365), 脳血管疾患を含む心血管疾患死亡(n=3382), 癌による死亡 (n=2552), 他の原因による死亡(n=386)
フォローアップ平均8.2年 (standard deviation 3.5)

【結果】 あらゆる重症度全般的に精神的苦痛と死亡率との間に量反応関係が見られる(年齢・性別補正ハザード General Health Questionnaire スコア 1-3 v scoreスコア 0: 1.20, 95% 信頼区間 1.13 ~ 1.27; スコア 4-6: 1.43, 1.31 ~ 1.56; スコア 7-12: 1.94, 1.66 ~ 2.26; P<0 .001=".001" br="br" for="for" trend="trend">
この相関は身体合併症+行動的要素、社会経済的要素補正後も維持。

心血管死と外的要素による死亡で同様の相関がみられる。

がん死のみが精神的苦痛でのみ相関性を認める


【結論】 精神的苦痛は、量依存的に、死亡率増加に関し、重度の主要要素となる。死亡率はdistressの低い状況でも増加する。




外的要素をコントロールすることともに、内的な要素への取り組みも大事だと思う。

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これなどが、ヒントになると思うのだが・・・ 
“新型うつ”が話題になってるが、各職場、ラジオ体操と共に、瞑想の時間を設けたらどうだろう・・・

ただ、こういった介入には偏狭なドグマが入り込む危険性があるのは留意が必要だが・・・

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