2013年1月4日金曜日

妊娠中抗うつ薬SSRIは、子供の死産・新生児死亡に関連せず

 多変量補正後のオッズ比をみれば、むしろ、SSRI使用の方が周産期に関わる子供のアウトカムは改善するようにも見えるが・・・いいすぎなのかもしれない。

母体へのSSRIの副事象を考えれば、あまねくSSRIをといえない ・・・


Selective Serotonin Reuptake Inhibitors During Pregnancy and Risk of Stillbirth and Infant Mortality
Olof Stephansson,  et. al.
JAMA. 2013;309(1):48-54. doi:10.1001/jama.2012.153812.

【重要性】 母体の精神疾患は、妊娠における負のアウトカムと関連する。妊娠中SSRI使用のは先天異常、新生児禁断症候群(neonatal withdrawal syndrome)、新生児持続性肺高血圧症と関連するとされる。しかし、母体精神疾患既往を考慮上の死産や胎児死亡率リスクに関しては不明。

【目的】 死産・新生児死亡率と、妊娠中SSRI使用との相関

【デザイン・セッティング・登録者】 住民ベース研究(ノルディック全地域 デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)、1996年から2007年の異なる期間。単胎出産女性のみ。処方登録上の母体のSSRI使用情報取得。母体特性、妊娠、新生児アウトカムを親・医療出産登録データから取得。

【主要アウトカム測定】母体特性・精神疾患入院既往考慮後妊娠中SSRI使用による死産、新生児死亡、出生後死亡のロジスティック回帰による相対リスク推定

【結果】 1633877名の単胎出産のうち、死産 6054、新生児死亡 3609、出生後死亡 1578。母体29228(1.79%)で、妊娠中SSRI処方調剤済み。
SSRI暴露女性は死産率、出生後死亡率ともに未暴露群より高い(4.62 vs 3.69 per 1000,p= .01、1.38 vs 0.96 per 1000,p= .03)。新生児死亡率は両群同様 (2.54 vs 2.21 per 1000,p= .24)
多変量モデルで、SSRI使用は死産、新生児死亡、出生後死亡と相関認めず (補正オッズ比o [OR], 1.17; 95% CI, 0.96-1.41;p= .12、 1.23; 95% CI, 0.96-1.57;p= .11、 1.34; 95% CI, 0.97-1.86;p= .08)。
推定値は精神疾患入院既往層別化後さらに減弱。

精神疾患入院既往女性の死産補正オッズ比 0.92 (95% CI, 0.66-1.28;p= .62) 、精神疾患入院既往無しの死産補正オッズ比  1.07 (95% CI, 0.84-1.36;p= .59)。同様に、新生児死亡のオッズ比は、既往有り 0.89 (95% CI, 0.58-1.39;p= .62)、既往無し 1.14 (95% CI, 0.84-1.56;p= .39)。出生後死亡は、既往有り 1.02 (95% CI, 0.61-1.69;p= .95) 、既往無し 1.10 (95% CI, 0.71-1.72;p= .66)

【結論・妥当性】
北欧諸国の単胎出産女性において、妊娠中SSRI使用と、死産、新生児死亡率、出生後死亡率の相関は有意で無い。
しかし、妊娠中SSRI使用に関しては、周産期アウトカムと母体の精神疾患リスクを斟酌して考慮すべき。

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