2013年4月17日水曜日

【骨粗鬆症診療】企業人としては正しいのかもしれないが、医療関係に関わってほしくない医療情報担当者

4月某日、所属企業からのレクチャーを盲信するMRに出くわした。企業人としては正しいのだが、社会的役割から言えば有害。


具体的には、「弊社薬剤にて、骨粗鬆症治療は万全です」という言葉にかちんと!

さらに、薬物療法が、骨粗鬆症の一次予防として、死亡率や合併症などの重大アウトカムに 影響を与える報告があるようなことを賜った。
骨粗鬆症薬物治療というのは全人的に影響を与えるほどのインパクトあったっけ?



要するに、「エビスタ」、「フォルテオ」だけで、骨粗鬆症治療は万全だそうだ。
そして、薬物一次予防治療はすでに確立しているそうだ。

骨粗鬆症に関してそれほど上記薬剤って立派なクリニカルエビデンスあっただろうか?



NGCのガイドライン
「Alendronate, etidronate, risedronate, raloxifene and strontium ranelate for the primary prevention of osteoporotic fragility fractures in postmenopausal women.」
http://www.guidelines.gov/content.aspx?id=13581

これには、
Interventions and Practices Considered
1. Alendronate
2. Alternative treatment: etidronate, risedronate, or strontium ranelate
Note: Raloxifene was considered but not recommended
すなわち、「ラロキシフェン(エビスタ)は考慮しても良いが、推奨されない」一次予防薬なのである。




Teriparatide(フォルテオ)に関しては,骨折治癒促進がその目的。non-union(偽関節)、delayed(遷延癒合)が検討されているわけだが、pubmed検索しても、未だ、臨床的エビデンスというレベルではないことがわかる。

例えば、今年記載の論文でもこの程度なのである。
non-union予後に関して「動物実験から推定される」
A conceivable positive effect of teriparatide on fracture healing is well-documented on animals, and very likely on humans, however further studies are needed to confirm these hopeful hypotheses.
Teriparatide in the treatment of non-unions: scientific and clinical evidences.
Injury. 2013 Jan;44 Suppl 1:S54-7. doi: 10.1016/S0020-1383(13)70013-5. 




そもそも、骨粗鬆症一次予防に関しては、まず、骨塩定量スクリーニング対象設定が問題になってるわけで、その後、その間隔の問題も持ち上がっている。
参考:正常骨密度なら15年以上DXA検査しなくてよい ・・・ これへの反論


DXA初回検診検討事例
・ 65歳以上全女性 ・ 脆弱性骨折既往、骨粗鬆症1つ以上のリスク(身長低下、BMI < 20、 骨粗鬆症既往、喫煙歴、過剰アルコール摂取)を有する全女性 ・ 疾患合併(e.g. 関節リウマチ)あるいは、低骨量・骨喪失の関連する医薬品 (e.g. プレドニゾロン日々投与量 5mg以上、同等量3ヶ月以上など)服用成人 ・ 骨粗鬆症治療考慮された全て、骨粗鬆症治療(エストロゲンを含む)中断例全て、骨粗鬆症治療中、治療効果モニター
例:RAX calculator : www.shef.ac.uk/FRAX. 
など・・・


一次予防のための検査さえ、はっきりしないのに、薬物で全て解決と発言する社員がいる製薬会社なんて・・・信用できるはずもない

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