2013年5月30日木曜日

商用飛行機フライト中緊急医療事態のアウトカム

世界でみると、年間 27億5千万名の商用飛行機利用者があり、フライト中の緊急医療事態が起きたときのケアは限定的。飛行中の緊急医療事態とこれらのイベントのアウトカム記載

フライト中の緊急医療事態として多いのは、失神、呼吸器症状、消化器症状で、医師が多くの場合ボランティアとして対応してくれている。
航路変更となる場合や死亡齢は少ない
1/4が病院での追加検査が行われている。

失神・全身失神の中身は「blacking out」(意識消失)や「lightheadedness」(たちくらみ)などを含み、これが一番多い。

Outcomes of Medical Emergencies on Commercial Airline Flights
Drew C. Peterson,  et. al.
N Engl J Med 2013; 368:2075-2083May 30, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1212052

11,920回のフライト中、センターへのコール必要な緊急医療事態が生じている (604フライトあたり1回の緊急医療事態) 
最も多い問題は、失神、前失神状態(37.4%)、呼吸器症状(12.1%)、吐気・嘔吐(9.5%) 
医師乗客がmedical assistantしてくれてるのは、緊急医療事態の48.1%、飛行ルート計画変更は7.3% 
飛行後フォローアップデータ利用可能な10,914名のうち、EMS人員にて病院搬送25.8%、 入院 8.6%、 死亡 0.3% 
入院頻度トリガーは、卒中(オッズ比, 3.36; 95% 信頼区間 [CI], 1.88 - 6.03)、呼吸器症状 (オッズ比, 2.13; 95% CI, 1.48 - 3.06)、 心症状 (オッズ比, 1.95; 95% CI, 1.37 - 2.77)

http://www.nejm.org/action/showMediaPlayer?doi=10.1056/NEJMoa1212052&aid=NEJMoa1212052_attach_1


ディスカッションの中に、以下の部分が存在する。

The risk of medical liability may be a concern for volunteer health care providers. The 1998 Aviation Medical Assistance Act includes a Good Samaritan provision, protecting passengers who offer medical assistance from liability, other than liability for gross negligence or willful misconduct.  Although there is no legal obligation to intervene, we believe that physicians and other health care providers have a moral and professional obligation to act as Good Samaritans.

Aviation Medical Assistance Actは米国内法であり、ドクターコールに応じた医師たちに故意・重過失がなければ責任を負わさないというのは、「よきサマリア人の法」がない我が国内では法的整備不十分なのは意見が一致してるのではないか・・・



テレビや映画では、よく産科的イベントがあるが、やはり、発生数そのものは少ないが、様々に重篤な影響を与えているようだ。特に死亡例比率が多く、妊娠24週未満での流産関連徴候は啓発的な事態と思う。

フライト中医療緊急事態 10,914名フォローアップデータ
乗客3402名(31.2%)は、到着前に症状改善、EMS必要とせず。
EMS人員立ち会いの7508名乗客では、そのうち2804名(37.3%)が病院EDへの搬送
901名(8.6%)は、助言と異なる病院入院、もしくは、ED受診拒否。
心停止に加え、医療問題としては入院だが、卒中症状(23.5%)、産科的症状(23.4%)、心症状(21.0%)
死亡36名中、30名がフライト中発生。平均年齢は59±21歳(range 1ヶ月齢から92歳)
24週未満の妊娠女性が最も多く、60.7%で、流産徴候関連(膣出血など)が多い。
産科的問題の11名中7名が航路変更。11名(18.0%)は妊娠24週を超え、うち3名は航路変更。

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note