2013年5月22日水曜日

特発性肺線維症:MUD5プロモーター多形型と生存率

 MUC5Bに関しては、NEJMで報告されている。

 A Common MUC5B Promoter Polymorphism and Pulmonary Fibrosis
Max A. Seibold, et. al.
N Engl J Med 2011; 364:1503-1512
April 21, 2011DOI: 10.1056/NEJMoa1013660
MUC5B のプロモーターにみられる頻度の高い多型が,家族性間質性肺炎と特発性肺線維症に関連している.本研究の結果から,肺におけるMUC5B の発現調節障害が,肺線維症の発症に関与している可能性が示唆される.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

mucin 5B (MUC5B)をエンコードするpromoterのcommon variantと、sporadic IPFの関連性

1)SNPとMUC5B過剰産生の関連から考え、粘膜宿主防御を生害する結果、吸入物質からの肺障害過剰となる可能性 
2)呼吸細気管支MUC5B過剰状態により肺胞修復を障害し、気管支肺胞ユニットのcollaplseを生じ、II型肺胞上皮細胞による再上皮化による修復がなされる。 この上皮修正の失敗による、肺胞collaplseと近接気管支肺胞ユニットの線維化
3)IPFの病変の特徴の空間的heterogenousであり、MUC5Bはやはりtranscription-factor binding siteと一致する。
・・・などが 考察されている。




MUC5B promoter polymorphism (rs35705950)は、有意に生存率改善と関連

Association Between the MUC5B Promoter Polymorphism and Survival in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Anna L. Peljto, et. al.
JAMA. 2013;():1-8. doi:10.1001/jama.2013.5827. 

後顧的生存率分析
INSPIREコホート(interferon-γ1b trial登録者):n = 438; December 15, 2003–May 2, 2009; 81 centers in 7 European countries, the United States, and Canada)
・Chicago cohort, consisting of IPF participants recruited from the Interstitial Lung Disease Clinic at the University of Chicago (n = 148; 2007-2010)

INSPIRE: GG、GT、TT遺伝子型群 は、それぞれ 148 (34%)、 259 (59%)、 31 (7%)
Chicago: 41 (28%)、 98 (66%)、 9 (6%)

フォローアップ中央値は、INSPIREで1.6年、 Chicagoで2.1年
フォローアップ中、INSPIREでは73名(CG 36、GT 35、TT 2)、Chicagoでは64名( GG 26、GT 36、TT 2)

非補正2年間累積死亡頻度 は、INSPIREコホート、Chicagoコホートとも、IPF risk allele (T) 1コピー以上では低い
INSPIRE cohort (0.25 [95% CI, 0.17-0.32] for GG, 0.17 [95% CI, 0.11-0.23] for GT, and 0.03 [95% CI, 0.00-0.09] for TT) 
・ Chicago cohort (0.50 [95% CI, 0.31-0.63] for GG, 0.22 [95% CI, 0.13-0.31] for GT, and 0.11 [95% CI, 0.00-0.28] for TT)

INSPIREコホートでは、TT及びGT genotype (IPFリスク)は、GGに比べ生存率改善と相関  (ハザード比, 0.23 [95% CI, 0.10-0.52] 、 0.48 [95% CI, 0.31-0.72]; P < .001)
この知見は、Chicago コホートでも再現  (ハザード比 0.15 [95% CI, 0.05-0.49] 、0.39 [95% CI, 0.21-0.70]; P < .002)

MUC5Bと生存率の観察相関は、年齢、性別、FVC、DLco、MMP-7、治療状態に独立。

MUC5B  遺伝子型を生存率モデルに加えると、INSPIREコホート、Chicagoコホートともに有意に予測正確性改善(C = 0.71 [95% CI, 0.64-0.75] vs C = 0.68 [95% CI, 0.61-0.73]; P < .001、C = 0.73 [95% CI, 0.62-0.78] vs C = 0.69 [95% CI, 0.59-0.75]; P = .01)



Gene Linked to Lung Fibrosis and Its Survival
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATS/39316


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