2013年12月3日火曜日

男性性腺機能低下症(男性更年期):アンドロゲン欠乏は除脂肪(筋・骨格筋)量・筋強度減少、エストロゲン欠乏は脂肪増加、両者欠乏は性腺機能低下と関連

タイトルのごとき結論となるが、テストステロン補充効果は個体ばらつきが大きい

男性・性腺機能低下症を「男性更年期」などと称して、単に男性ホルモン補充だけで解決などというような単純すぎる理念展開しているのは、なにも民間業者だけでなく、国内では一流とされる国公立大学のお偉いさんまで主張しているが、その臨床的・実験的エビデンスは希薄。ことは、そう簡単ではないのだ。

昨今、男性性腺機能低下症は、テストステロン→エストラジオール転換が重視され、相互的作用が議論となっている。
性腺ステロイドホルモンと体組成・筋肉量、性機能の関連性 → 男性でも低エストロゲンが問題 2013/0/12

NEJMで、男性ホルモンと女性ホルモン、そして、その両者に関連する酵素介入による影響報告で、比較的純粋に両者の体組成、体重、筋強度への影響が明らかになった。

Gonadal Steroids and Body Composition, Strength, and Sexual Function in Men
Joel S. Finkelstein, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1011-1022September 12, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1206168

【背景】テストステロン欠乏診断現行アプローチは、テストステロン値による生理学的影響をもたらすか、また、テストステロン、エストラジオール、あるいはその両方の凌駕臨床的所見と関連するかは不明。
【方法】20−50歳健康男性 198名
16週間投与
・goserelin acetate(内因性テストステロン・エストラジオール抑制のため利用)

・ランダム割り付け:プラシーボ・ゲル vs テストステロンゲル1.25g、 2.5g、 5g、 10g

別の202名を、geserelin acetate、プラシーボ、テストステロン・ゲル、anastrozole(テストステロン→エストラジオール転換抑制)割り付け

プライマリアウトカム:体脂肪、lean mass比率
皮下−、腹腔内脂肪面積、大腿筋面積、強度、性的機能も評価

【結果】体脂肪比率は
・anastrozole投与無し + プラシーボ群、テストステロン 1.25g、2.5g連日投与で、増加。(テストステロン値平均 : 44±13 ng/dL 、19±78 ng/dL、337±173 ng/dL)
lean massと大腿筋面積は
・anastrozole投与無し + プラシーボ群とtestosteron 1.25g連日投与群で、減少

下肢プレス強度は、プラシーボ投与群でのみ減少

・一般的に、テストステロン投与量少ないほど性欲減少

【結論】 lean mass、脂肪量、筋強度、性的機能維持のためのテストステロン総量は男性でばらつきがある。

アンドロゲン欠乏は、lean mass、筋肉のサイズ、筋肉強度の減少となり、
エストロゲン欠乏は、主に体脂肪増加となる
両者欠乏は、性的機能減少となる

以上の知見は、男性の性腺機能低下管理に関して評価・管理上のアプローチの変化をもたらす。


 ある横断的研究報告で、高齢者においても、テストステロンのみが筋強度関連性が指摘されている。主に骨格筋筋肉の量と質における、男性ホルモンの関連性はわかったが、その投与有効性・安全性が担保され居るわけではない。


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