国の基準には合理性があるが、行政が認めない場合は、裁判所が独自に患者 を認定することができる」とする統一判断という表現は、フジテレビ系列以外目立たない。事実なら、司法と行政との力関係はかなり崩れたことになる。医学的判断の経験の裁判官たちが、ゴールデンスタンダードに基づく情報学上に確立する診断学の基礎知識、現時点であるはずもない。彼らは病理学的な事象学に対してはある程度理解するかもしれないが、情報論理判断ができるのだろうか・・・危惧を感じる。そして、彼らはややもすると直感的一方的な判断を行うのだろう・・・それはそれで恐ろしい気がする。
ただ、水俣病でも、病理至上主義で主張を通してきた行政側やJT・企業側主張に対して
司法から以下の見解からはまっとうと思える判断がでてきたことはうれしいことと思う。
医学生や医師や健康施策に関わる行政、司法、インフォーマルな活動に参加する者が疫学・統計学に関する基礎知識を持つことを必要条件にしなければならないことを痛感する。
マスコミたちはどのような報道をするだろうか?今回も、疫学・統計学の問題を無視して、情緒的報道を繰り返すだけだろうか?
最高裁 水俣病と認める判決 4月16日 15時25分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130416/t10013953751000.html
最高裁判所第3小法廷の寺田逸郎裁判長は、「国の現在の認定基準には一定の合理性があるが、それ以外のケースでも個別に判断して水俣病として認定する余地はある。裁判所は証拠に基づいて具体的に検討し、水俣病かどうか判断ができる」と指摘し、女性を水俣病と認めた判決が確定しました。
以下の意見に、共感を覚える部分がある
衛藤光明氏による平成19年3月1日付意見書の 問題点について
平成 19年 7月 7日 岡山大学大学院環境学研究科・教授 津田敏秀
http://www.okayama-u.ac.jp/user/envepi/dl/15_20120217.pdf
上記部分なのだが、この部分をみて、「タバコ病裁判」における横浜市立大学名誉教授蟹澤成好「病理学的には証明されていない」を思い出す。
津田教授は、今回と同様に、「横浜地裁判決の根本的問題点-高校生レベルの科学の誤解 」と称している。
http://www.okayama-u.ac.jp/user/envepi/dl/07_20120217.pdf
2006年・JT訴訟の時、声がないのが不思議だった・・・疫学・統計・公衆衛生など専門家たちの反論
「“原因”は病理によってのみ確定されるのであり、“疫学”によっては確定されないのである」2006年 10月 28日
http://ntmed.exblog.jp/4585565/
今後の「因果関係」に関する裁判に、疫学的判断・統計学的判断が加味されることを願う。司法関係者の中にも、ベイズ理論に詳しい方たち多かったような気がするのだが・・・
表-1 52年判断条件の解説図
水俣病の範囲に考える症候野組み合わせ
症状の 組合せ | 感覚 | 運動 | 平衡機能 | 求心性 | 中枢性 | 中枢性 | その他 |
障害 | 失調 | 障害 | 視野狭窄 | 眼科障害 | 聴力障害 | 組合せ | |
ア | ○ | ○ | |||||
イ | ○ | △ | ○ | ||||
○ | △ | ○ | |||||
ウ | ○ | ○ | ○ | ||||
○ | ○ | ○ | |||||
エ | ○ | △ | ○ |
水俣病の医学ー病像に関するQ&Aー ぎょうせい 1995年刊
水俣病医学研究会(編):荒木淑郎・井形昭弘、衛藤光明 著
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